【ナポリを見てから死ね】二泊三日でナポリ&周辺都市旅 ローマ交換留学
皆さんは、「ナポリを見てから死ね(ナポリを見ずして死ぬこと勿れ)」ということわざを聞いたことがありますか?少々過激に聞こえるこの言葉、南イタリアのナポリの美しさを称賛したもので「美しいナポリの風景を見ることなく死んでしまっては勿体ない」、という意味だそうです。
というわけで、いつか死んでしまうときに後悔しないよう、ローマから二泊三日でナポリ旅行に行ってきました。
また、ナポリはローマよりも更に治安が悪いと言われている場所でもあるため、治安面で気が付いたことについても紹介します。
初日 ローマからナポリへ。
ローマからナポリまではイタリア版新幹線フレッチャロッサ(「赤い矢」という意味。)で約70分。若者割引(フレッチャ・カード所有者のみ)や平日往復割引を利用すれば、片道19ユーロ程度で乗車できます。とてもお得!貧乏学生にはありがたい。
ナポリ中央駅はナポリの東側にあります。イタリアのどの都市にも言えることですが、基本的に街の中央駅周辺は治安が悪めです。特にナポリ中央駅の前のガリバルディ広場は、午前中からホームレスや怪しげな移民がふらふらと彷徨っており、ローマのテルミニ駅以上に何とも危険な感じがしました。地球の歩き方にも「ガリバルディ広場は要注意」と書いてあります。あまり長居しないようにしましょう。
荷物を滞在先のホステルに置いて、街の散策開始。ちなみに利用したお宿はこちら。
Ostello Belloはミラノ、フィレンツェ、ローマ、ジェノヴァ、ナポリなどイタリアの諸都市で展開しているホステルで、私はイタリア国内旅行の際に何度も利用しています。ただ、値段だけを見るなら、Airbnbなどで部屋を借りた方が安いかも…?
情緒あふれる下町の路地 スパッカ・ナポリ
スパッカ・ナポリは狭い路地に、飲食店や工芸品売り場、教会が乱立した、熱気溢れる旧市街の下町です。試食を誘う店員の声、頭上にはためく旗や洗濯物、不思議な土産物店、教会の鐘の音…何とも言えない異国情緒を感じられます。まさに「祈りの声、蹄の音、歌うようなざわめき~」という感じ。
お昼はこのお店で大きな揚げピザ、ナポリ名物のPizza Frittaをいただきました。中にリコッタチーズと野菜類が入っています。
路地の喧騒から離れ、近くの教会に入ってみます。人がほとんどいない静かな教会で、幻想的なステンドグラス越しの光に癒されます。
海辺の歴史的建築物
夕方にはスパッカ・ナポリを抜け、海辺のヌオーヴォ城、ウンベルト1世のガッレリア、プレビシート広場を散歩してみました。
宿へ戻る前に、プレビシート広場の近くのGambrinusという素敵なカフェに行ってみました。創業は1890年、美しい内装と美味しいドルチェが楽しめる人気店です。テーブルでゆっくりするのも素敵ですが、行列ができていたので、立食式のバールで冷たい飲み物だけいただきました。
ちなみに、ナポリの街は基本的に徒歩で観光可能です。ただ、車の運転が荒く、歩行者用信号機が青になっていても横断歩道ギリギリまで車やバイクが詰めてきますし、信号が変わる前に走り出す車両もあります。信号機が無い場所で道を渡るときは、地元民と一緒でないとタイミングがつかめません。また、常時いたるところでクラクションが鳴り響いています。ナポリっ子の荒い運転には名古屋の車もびっくりです。
また、大通りから一本入った路地ではゴミが散乱していたり、(不法)移民らしき人たちがたむろしていたり、大麻の匂いがしたりしました。ミラノやヴェネツィアなど北部の観光都市ではあまり見ない光景です。また、女性の場合、陽気な客引きや物売りにCiao!Bella!!(やあ、お嬢さん/そこの綺麗なお人!!)と声を掛けられるかもしれませんが、Ciao!と軽く挨拶して去るか、商品を押し付けられたらNo Grazieとキッパリ断っておくのが無難です。声をかけてくれるのは悪い人ばかりではありませんが、良い人だとも限りません。
2日目 ソレント日帰り旅行
ソレント日帰り旅行
2日目はナポリ中央駅の地下部分(なぜか駅名が異なり、Napoli Piazza Garibaldi駅と呼ばれる)から電車でソレントへ日帰り旅行に行きます。ソレントへは電車で70分ほど。観光客が多く、初めは座席に座れませんが、半分以上が途中のポンペイ遺跡の駅で降りていきます。入れ替わるように、随分とくたびれたTシャツを着た男性が乗ってきて、黄ばんだ歯をのぞかせてニヤリと笑いながら車両をうろうろし始めました。別の座席の方のスマホを凝視していたので、(もしかしたらスリかも)と思い、カバンをぎゅっと握りしめます。結局何事もなくその男性は下車し、まもなく我々もソレントへ到着しました。
行きの電車で些か不安になった今回の日帰り旅行ですが、ソレントの街はまさに「高級リゾート地」の風格を備えており、道や案内板は綺麗に整備され、テラス席で優雅に食事をする人、輝くレモンの木々、海風にそよぐ草花と木漏れ日の下を走り去る馬車…と、何ともたおやかな雰囲気の、たいへん美しい街でした。若干の猥雑さが拭いきれないナポリの街とは大違いです。
中央駅から歩いて10分、海辺の崖の上にある公園へ向かいます。
展望台からは紺碧のナポリ湾を一望できます。また、公園から坂道を下ると崖の下に降りることができ、少しリッチな海水浴場エリアへ向かうことができます。桟橋の上にはレストラン等もあり、私はここでランチをいただきました。
公園の隣には、サン・フランチェスコの回廊という入場無料建物があり、その名の通り綺麗な回廊を歩くことができます。
公園から東へ歩くと、Museo Correale di Terranovaという美術館があります。ここがまた素晴らしかった。
他にも古代の彫刻や17世紀頃の陶器人形、蒔絵と螺鈿が施された日本の箪笥など、興味深い展示品が沢山置いてありました。美術品を見終わったら美術館の中庭へ出ます。よく見ると、小さな道が奥へ続いているのです。この道を見逃さないで!
美術館の中庭の奥の奥、この秘密の展望台にはほとんど人がいません。美術館に来た人も気が付かずに帰ってしまうのでしょうか。この場所に気が付かずに帰ってしまうなんて、もったいない!それではまるで仁和寺にある法師…。地球の歩き方で予習しておいてよかったです。本当に、「少しのことにも先達はあらまほしきこと」ですね。
帰りはソレント駅から再び電車に乗ってナポリへ帰ります。
夜はナポリで1ユーロのスプリッツ
ナポリに帰り、宿で一休みした後は、スプリッツを飲みに街に繰り出します。夜のナポリは、一人歩きや暗い路地こそ注意が必要ですが、地下鉄トレド駅の周辺は人が多く、相変わらず雑多な感じこそすれ、身の危険はあまり感じませんでした。この辺りに1ユーロでアペロール・スプリッツが楽しめるバーがあり、友人らとともに出かけます。通りには若者が多く、音楽と笑い声が響き渡ります。
3日目 エルコラーノ遺跡見学
ナポリ考古学博物館
3日目の午前中は、ナポリの国立考古学博物館へ地下鉄で向かいます。ナポリの地下鉄はローマのそれとは違い、車両も駅も新しく使いやすいです。特にトレド駅は「世界で最も美しい地下鉄駅」と言われるほど芸術的で、エスカレーターの装飾は確かに美しかったです。是非確かめてみてください。
さて、ナポリの考古学博物館の目玉は、何と言ってもポンペイ遺跡から発掘された古代ローマの品々。ヴェスヴィオ山の噴火によって、長い間火山灰の下に埋まっていた古代都市。是非入館しておきたいですね。入場料は22ユーロと目が飛び出るほど高額ですが、18歳から25歳の間で、EUの長期滞在ビザを持っている場合はたったの2ユーロで入場できます(2024年4月現在)。差額20ユーロ!?ありがたい!!!
余談ですが、私はヴェスヴィオ山の噴火について、マジックツリーハウスという児童書で初めて知りました。世代の方いるかな…?同作アニメ映画版も、ポンペイのシーンがかなりシリアスで、小学生の頃トラウマになりました。
ちなみに、2022年に上野の東京国立博物館で大規模なポンペイ展が開催されたとき、このナポリ考古学博物館の所蔵品が大量に来日していました。私も嬉々として日本オリジナルグッズの「炭化したパンのクッション」を購入した覚えがあります。当時上野で観た品々とも、このナポリで再開しました。
電車でエルコラーノ遺跡へ
ヴェスヴィオ山の噴火で火山灰に埋まった街、と言えばポンペイが有名ですが、その近くのエルコラーノという街もまた、貴重な考古学地域として世界遺産登録されています。ナポリからは、昨日のソレント行きのと同じ電車で約20分。
エルコラーノ遺跡はあまり混雑しておらず、じっくり散策することができます。また、比較的小規模ですが、ポンペイ遺跡よりも保存状態が良いそうです。貴族の保養地として栄えたものの、一瞬にして火山灰に埋まり、千年以上忘れ去られていたエルコラーノ。約2000年経った今でもかつての生活の様子を伺えるなんて、まさに奇跡です。
ナポリ中央駅からローマへ戻る。
夕方、ナポリ中央駅に戻り、そこからローマへ帰宅します。ローマ・テルミニ駅には21時頃到着。帰りはフレッチャロッサではなく、インターシティ(IC :Intercity)という特急列車で2時間ほどかけて帰りました。うーん、やはり、フレッチャロッサの方が快適です。今回見逃したポンペイ遺跡は、いつか、ローマから日帰りで行けるかな、と思っています。
それではまた。