キャベツの小さな成功譚
回鍋肉を作ろうと思い立った私は、キャベツを手に入れるべく、近所の八百屋にでかけました。
開店間際の店内は、まだお客さんはまばらです。
私は、店の奥でお兄さんがキャベツ丸ごと一個を山のようにゴロゴロと積み上げているのに気づき、近寄っていって、きょろきょろとあたりを見回しました。
が。
1/2キャベツがない…。
一人暮らしにキャベツ丸ごと1個は多すぎる。
毎食キャベツを利用すれば別だろうけれども、私はそこまでキャベツ料理を作らないので、まるまる1個は全部食べ切る前にダメにする自信があります。
私は勇気を出してみることにしました。
キャベツの積み上げ作業を続けるお兄さんに「あの、すみません」と声をかけ、「キャベツ半分ってありますか?」と聞いてみたのです。
そうさ100%勇気。
「エッ、それくらいで!?」と言われそうですが、私にとっては勇気100%なのです。
お兄さんは一瞬きょとんとしましたが、すぐに「ちょっと待ってくださいねー!」と店の奥へ行き、先輩であろうお姉さんを連れてきました。
お姉さん「1個90円くらいになっちゃうんですけど、いいですか?」
私「ハッハイ!!大丈夫です!!(裏返る声)」
お姉さん「少々お待ちくださいね〜」
お姉さんはキャベツ1個を抱えて再び奥へ引っ込み、まもなく半分に切られてビニールに包まれたキャベツを持って戻ってきて、私に手渡してくれたのでした。
私「あっありがとうございました!!(裏返る声)」
お姉さん「いいえ〜」
お兄さん「またどうぞ!」
そんなこんなで私は無事に1/2キャベツを手に入れ、家に帰ったのでした。
この話はこれで終わりなんですけど、店員さんとコミュニケーションを取るのが苦手な私にとって、「お願いをしてみる」というのはかなり勇気が必要でした。
昔の人は「今日のおすすめは?」と聞くとか、値段交渉するとか当たり前にやっていただろうし、今だって気軽にやれる人はたくさんいるんだろうけども、私には難しいことでした。
が、キャベツによって、そのメンタルブロックが1枚破られたわけです。
お兄さんとお姉さんに感謝。
自分グッジョブ。
本当に小さいことですが、私には嬉しい成功譚だったのでした。