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人生最後に残るのは思い出だけ。今しかできないことは、今やっちゃえ。

友だちがSNSで紹介していた『Die with zero 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社)を一気読み。自分がこのところ感じていた気持ちとあまりにも近くて、「これだ!」と声を上げてしまった。これはミッドライフ研究会の課題図書にします。みなさんしっかり読んでおくように。

人生を楽しむのも、「期限」がある

ミッドライフに差しかかったら――いや、ほんとうはもっと若いうちに気づくべきなんだけど――最優先でするべきこと、それは、全力で人生を楽しむこと。
「老後資金が足りない問題」「年金財政が破綻するかもしれない問題」「定年延長」……
自分も含め、いろいろな「将来への不安」で「今」を楽しめない人たちのなんと多いことか。「無駄遣いをしないように節約して」「まあ会社にしがみついていればお給料はもらえるし……」
そうして、思い切って挑戦することもできず、ほんの一歩さえ踏み出せず、「有給休暇」の範囲でちまちまと息抜きをし、好きなことより「諸条件」を優先してものごとを決め……と、時間と自由を売ってお金にしているうちに気づけば年を取り、若さも健康も体力も、ときめく気持ちも失い、もはや人生を味わうことなんてできなくなっている。そんなときになって、いくばくかのお金があっても、もはや使うこともできない、という。
著者が祖母に1万ドルをプレゼントした話は興味深い。老いた祖母には使いみちもなく、その1万ドルのなかで著者に一着のセーターを買ってくれただけだった……。

人生の時間は少しずつ消えていく

「老後資金不安病」「身過ぎ世過ぎ心配病」という死に至る病

日本では、少子高齢化と脅されているけれど、冷静になってみると、国民皆保険で、さらには介護保険もある国で、あてにならないとはいえ年金もある国で、本当にそんなに大金が必要になるとは考えにくい。超豪華老人ホームに入るのが夢、という人はがんばればいいけど。
「子どもに少しでも残してやりたいから」という人には、著者は「子どもに残したいなら死ぬまで待つ必要なんてない」と喝破する。子どもにしても、本当にお金が必要なのは生活費や教育費など、なにかと物入りな若いうち。ならば、さっさとあげればいい。自分が死ぬころには子どもたちも人生のピークを過ぎていて、そのころに少々遺産としてもらっても、やはり「生き金」として使えない。「アリとキリギリス」の童話の話が出てくるけれど、私たちはお金を失う不安で、「何か」に備えて、もっともっと……と貯めようとする。アリ塚ができたころには、病院に横たわっていて、もうお金に意味なんてないかもしれない。
ターミナルケアの看護師が、余命の迫った患者たちに「人生で後悔していること」を丁寧に聴いたところ、後悔の多くは、「仕事をし過ぎなければよかった」であり、「もっと家族と過ごせばよかった」であり、「もっと好きなことをすればよかった」であった。逆に「もっと働けばよかった」と後悔する人はいなかったそう。

時間とお金を気持ちよく使い、人生を楽しもう

50代でも、すでに遅すぎたかもしれない。
若いころ、大学の同級生女子3人でブラジル旅行をした。リオのカーニバルに行き、夕方から一晩中……どころか、翌日の昼くらいまで、シラフで踊りまくり、はしゃいでいた。よくあんなに元気があったものだと思う(いまでは夜10時には眠くなってしまう……)。
いまは、若いつもりでいるけれど、絶景を見るために〇キロを登らなければいけないとか、〇キロを歩かねばならない、となると勇気がいる。
身につけるのに長い年月がかかるような資格や趣味、ものすごく体力がいること(世界最高峰登頂とか)は、すでにもはや難しいだろう。
悲しいけれど、気づかぬうちに、できることがどんどん減っていっているのだ。そして、こうしているうちにも、時間も能力も減っていく。
若いころに思い切って留学していれば、幼く可愛かったころの子どもともっと遊んでおけば……。すでに、もうどんなに手を伸ばしても、届かない過ぎ去った時間がある。二度と戻ってこない日々。
しかし、20年後の自分が同じような悔い、寂しい気持ちを抱かないようにすることはできる。
50代、若いころのようにはいかない。無理が効かなくなったし、無理すればひざや腰を痛めたりする。でも、まだまだ十分元気ともいえる。新しいスキルも身につけられる。鍛えれば筋肉も付く。少々ハードな海外旅行もまだまだ大丈夫。
やりたいことがたくさんある。わくわくできる。
なにより、この気持ちこそが一番大事。
ならば、「老後資金」という妖怪におびえるのはもうやめて、時間とお金を気持ちよく使って、楽しく生きようじゃないか。

こんなスイーツを味わえるのも、若くて健康なうち

(本書あとがきより)
人生を最大限充実させ、たった一度の人生を価値あるものにしよう。
あなたが良い仕事につき、膨大な時間を捧げて働き、60代から70代に引退して、その後で人生の黄金時代を過ごす、という従来の考え方に従った生き方を見直すきっかけになることを祈っている。
体力や気力が落ち始めるまで、人生を充実させる経験を待つ必要などないはずだ。死ぬまでに使い切ることのない金を貯めることに労力を注ぐことなく、今すぐ人生を最大限楽しもう。一生の思い出になるようなことをしよう。子どもたちにとって、最適なタイミングで資産を分け与えよう。人生でいちばん大切なのは思い出を作ることだ。さあ、すぐに始めよう。先延ばしする理由などないのだから。


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