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佐和島ゆら
2017年8月7日 12:59
――先輩、僕が殺しますよ。今度こそ。 その先輩は突飛な先輩だった。夏のさかりの、汗が吹き出す暑さなのに、冬服のセーラーを着ている。そして何故か腕を伸ばしてぴょんぴょん跳ね続けている。林間学校のことだった。学年を問わずに集まり、山の中で活動するのだが、その中でも先輩はいつでもセーラー服を脱がない、変な人だった。 なんでそんなに跳ねているのだろう……僕は思わず声をかけてしまった。すると先
2017年8月5日 12:15
恋は蜂蜜のようにうまく選べない。 蜂蜜フェアに行く朝、私ははれぼったい瞼を冷やしていた。冷水に漬けたタオルを当て、ぼんやりと夜明けの空を見る。そんな時、ため息をつきそうな自分をこらえながらーーあぁ、何故にこんな恋をしているのかと思うのだ。 私のつきあっている人はネガティブな人だった。普通にしゃべっていると気づかないけど、いつも卑屈に物事を見てしまうのだ。「あの人より出来ないのに