49のチャンピオン
陸上部だったのでランニングは今でも好きですが、
短距離出身なので走ってる時間より歩いてる時間の方が長いです。
こんにちは。
増田拓己です。
さあ、来る8月19日、世界陸上2023 ブダペスト が開幕します!!
熱いですね!!
今回は陸上競技をあまり知らない人向けに書いていきますので気楽に「そうなんだー」ぐらいの気持ちでお読みください。
世界陸上は2年に1度開催される大会でオリンピックに並ぶ世界大会です。
(オリンピックは4年に1度なのでレア度としてはオリンピックが高いですね)
前回大会は2022年のオレゴン(アメリカ)で、2021年がコロナで開催されなかったので2年連続での開催となります。
そして気が早いですが次回2025年は東京での開催です!
やった!!
生で観れるかも!!!
そんな楽しみを倍増させるためにも今回の大会をしっかりチェックしていきましょう。
そもそも陸上の大会って?
競技を全く見たことない人もなんとなく走ったり、跳んだり、投げたりするんだろうなぐらいは想像つくのでしょうか。
陸上競技は上でいったように、大きく分けて走・跳・投の3つにそれらを全部合わせた混成の4ジャンルがあると思ってください。
厳密にいうと競歩という種目は走ることと明確に区別されるので歩を含めた5ジャンルと言ってもいいですね。
そんなジャンル分けされた種目は世界陸上では男女別にすると49種類もあります!
つまり最大49種の世界チャンピオンが誕生するわけです。
それぞれの種目で必要な能力は違うのでそれぞれの道を究めた人がいるわけです。日本では男子100mや4×100mリレーが注目を集めていますがその他に47種も見どころがあるわけです。
さて、その見どころなのですが、僕が普段スポーツニュースなどを見ていてがっかりすることがあります。
それは記録だけをただ報道する番組です。
記録の感動は〇〇のうえで成立する
陸上競技も認知度は高いスポーツですから、特に人気のある100mなどで日本新記録が誕生した際は結構な尺をつかって報道してくれます。しかし、内容としては実際のレースの10秒間を何回も繰り返しで流しスタジオの出演者は「ほー、凄いですねぇ」となんとも熱を感じられないもの。
速報で新記録を知ってから興奮冷めやらぬまま見た陸上ファンはなんとも拍子抜け。
それもそのはず、出演者は正直あまり興味がないのです。
でも僕はそこに怒ってはいません。だって興味ない原因はなんとなくわかっているから。
それは「記録」に焦点が当てられているからです。
陸上競技は全ての種目で数字としての記録が明確に出ます。
もちろんこのポイントは競技の魅力の欠かせないのですが、そこに焦点を当てるとどう見えてくるでしょうか。
そう「新記録が出たか出なかったか」というなんとも簡素で面白味がないものになります。
例として下にスポーツニュースでよくある文章を書いてみます。
「男子100mで日本新記録が期待される○○選手、レースは1着でゴールしましたが日本新記録とはなりませんでした。」
つまらなくないですか?
もちろんこれは文章だけではありますが、記録に焦点が当てられすぎているせいでこの約10秒間の面白さは最後のゴールラインを通過する瞬間のみ切り取られているのです。
他の例えをしてみましょう。
例えば「鬼滅の刃」を見たことない人がファンに向かって
「結局、炭治郎は勝ったの負けたの?」
と聞く感じ。
ファンの多くの方はきっとこう言うでしょう
「そこじゃないんだよ!!」
バトル漫画は一口に言ってしまうと勝つか負けるか(稀に引き分け)です。
だから最後の結果だけみたら基本的にはこの3択です。
ここに面白さはあまりないですよね。
けれど面白い漫画はその勝負の決着がつくまでに両者がどんな過去を経験し、現在熾烈な闘いを行っているのかが面白いのです。
鬼滅の刃が多くの層の方に支持されているのは勝負の結果以外の部分が面白く、感動できるものだったからと個人的に思っています。
「あんまり知らなかったけど泣けた」
よく聞いたこの感想は勝ち負けだけでは生まれてこないですよね。
長々と説教じみたことを言ってしまいましたが、陸上を色んな方に楽しんでほしい私が言いたいことは
この記録が出るまでにどんなことがあったかを想像してほしい。
もし少しでも興味をもったなら簡単でいいので調べてほしいです。
自分で言っておきながらかなり難しいお願いですよね笑
そこでひとつ陸上のお話を。
日本人初の100m走で9秒台を出した桐生選手。
高校3年生にして日本歴代2位の10秒01を記録し、一躍有名になりました。
そして彼の次の自己ベストとなる9秒98を出したのがその4年後です。
4年 です。
4年もの間、大会に出るたびに9秒台と周りから期待され、勝手にため息をつかれる。4年間毎日のようにキツイ練習を行い、頭の多くを陸上が占めていたかもしれません。それなのに高校生の自分を超えられない。
そんな時間の中で大学の名を背負った最後の大会でついに打ち破ります。
もちろんこれは僕の想像の部分もありますが、考えられる環境としてそう的外れではないと思います。
いかがでしょうか。少しはいかにこの記録というものが多くの人に、そして一人の選手にとって重大なものであったか感じていただけたでしょうか。
少なくても画面の奥で呟かれる「へー凄いですねぇ」とは違うものになったのではないかと。
今回はわかりやすい例えとして大きな記録を出しましたが、みなさんにも取り組んでいたこと(スポーツでも勉強でも仕事でもなんでも)のベストが出た時は自分の中で輝いているのではないでしょうか。それは自分がそれまでの長い道のりを知っているからですよ。
なので記録がどうこうというより
記録には必ずその人の過去がある
ということを見ていただけると少しは面白く見れるのではないかなと思います。
大会での勝ち進み方
そしてもちろんスポーツですから目の前の試合も見どころです。
バトル漫画でいう修行編から戦闘編に局面は変わりました。
そこで陸上の試合について書きたいと思います。
「走・歩」
走る種目は距離によって勝ち上がり方が違います。
100mから5000mまでは予選があり、短い距離は準決勝、決勝
3000m障害や5000mなどの長い距離は予選、決勝とラウンドが分かれます。
基本的には各組の着順上位数名とそれに漏れた人の中でタイムが早かった人数名が次のラウンドに進めます。
(今大会から1500m、3000m障害、5000mは各組の着順のみとなりました。)
なぜ数名とあいまいにしているかというと大会によってばらつきがあるからです。これは大会ごとの予選に参加する組数の違いのためです。
テレビなどで観てると
「〇着プラス〇人が次のラウンドに進めます。」
といったようにアナウンスしてくれるのでこれを参考にしましょう。
このようなルールがあるため順位に漏れてしまってもタイムが良ければ次のラウンドに拾われる可能性があるということです。
一方、10000mやマラソン、競歩などは予選がなく一発で決勝となります。
そのため、ゴールした順番がそのまま順位となります。
わかりやすいですね。
競歩の場合は歩き方に2つのルールがあり3回不正カードを出されてしまうと失格になってしまいます。競技の後半になってくると焦りや疲れから上位の選手が失格になってしまい入賞圏内に入るなどといったことも起きてきます。
「幅跳び・投擲」
走り幅跳び、三段跳び、投擲種目は規模が大きい大会だと予選があります。
予選では3回の試技を行います。その中で設定された決勝進出ラインを超えるか、順位の上位数名(大体12名)が決勝に進むことができます。
そして決勝ではまず全員が3回の試技を行います。その中の上位8名がさらに3回の試技を行うことができます。つまり、3回の間に好記録を出さないとそこで終わってしまうのです。なので選手たちの心理としては
なるべく早い回数で好記録を出して落ち着きたい
というものがあります。
そんな感情と裏腹にファールをしてしまったり記録が伸びなかったりと序盤からかなりの緊張感があります。
そして順位のつけ方は、6回(または3回)のうちに一番記録が良かったものが自分の記録となります。
すなわち最初の一回が優勝記録になるかもしれないし最後の一回で逆転優勝することも可能なのです。
いつ渾身のパフォーマンスが出るかわからないのです。
なのでこれらの種目は目が離せませんし逆転に次ぐ逆転も起こりえます。
「走り高跳び・棒高跳び」
これらの種目は低い高さから始まり、同じ高さで3回バーを落とすと脱落といったサバイバル形式になっています。
他の選手と同じ高さで脱落してしまった場合は、成功した高さの試技回数が少なかった方が順位が上となります。
例えば1m95cmを1回目で成功したAさんと2回目で成功したBさんが両者とも2mを成功できずに3回失敗した場合、1m95cmを1回で成功したAさんが上位となります。
つまり成功するにしても早い回数のほうが有利です。
もちろん上の例の状況でもBさんが2mを成功していればBさんが上位になります。
これらの種目はバーが落ちるか落ちないかのスリルがたまりません。
選手が助走し踏み切り、宙に浮いてからバーを越えるまで
周りは全て時が止まっているように感じることがあります。
陸上を見ていてこういった瞬間は稀であるように思いますし、純粋にかっこいいです。
「混成種目」
上記で挙げた種目の中から決まった種目を男子は10種目、女子は7種目を2日間で行います。
種目や競技の順番などもしっかり決まっていますがここでは割愛させていただきます。
混成種目の優勝者などは常々「キングオブアスリート」なんて呼ばれますがそれもそのはず、体の使い方も必要な筋肉も違う複数種目で好成績を出さなければいけないのです。
しかも、試合となれば一種目でもかなり体力を消費するのですが(たとえ100mでも)、それを2日間のうちに何種目も!
種目の間の時間もそう長くはありません。短い時間で体を休め、次の種目の準備に移る。1種目しかやっていない僕からすると考えられません!
まさにキングオブアスリート。最終種目の1500m(女子は800m)が終わってゴール地点で倒れ込む選手を見ては順位に関係なく拍手を送りたくなります。
さて、そんな過酷極まる混成種目ですが、順位の決定方法は少し特殊です。
その記録に応じて得点がつき全種目の合計得点となります。注意する点としては、順位でなく記録に得点がつくこと。
実は各種目の記録を得点に換算する表というものが存在し、そこから得点を算出、合計点を出し順位を決めます。なので最終種目が終わった時点では目視で順位がわからないといった難点があります。テレビの場合は「○○選手が○○秒以内にゴールすると優勝」などと言ってくれるのでそれを参考にするとわかりやすいですね。
各選手、筋肉の付き方や体の動かし方、得意種目が違うためなんだかアベンジャーズを見ている気持ちになります笑
俊敏な動きなら○○選手、パワーなら△△選手は圧倒的だ!みたいに。
終わりに
さてかなりの分量になってしまいましたが、少しはただ走っているだけじゃないんだなと思ってもらえたでしょうか。
記録で凄さを実感するもよし、その場の試合で選手同士のパフォーマンスで熱狂するもよしのロマンに溢れた競技です。
本当は注目の日本選手も紹介するつもりでしたが、さすがに書ききれないのでぜひご自身で気になる選手を探してみてください。
それに書いていて思いましたが、もちろん応援したい選手がいると期待感やドキドキが増すので楽しいのですが、国籍や人種関係なくみんなにストーリーがあるし試合の面白さがあります。知らない選手だらけかと思いますが純粋に競技というものを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
世界陸上は8月19日から8月27日まで開催されます。TBSでは中継もありますし、TVerでの配信もあります。ぜひ一度知らない世界に触れてみるのはいかがですか?
少しでもみなさんの感動が大きくなりますように!
お読みいただきありがとうございます!
21
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?