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インターネットの世界は極めて偏った世界。#読書記録4-2

『絶望を希望に変える経済学』(Good Economics for Hard Times), アビジット・V・バナジー , エステル・デュフロ, 日本経済新聞出版, 2020

・同類の考え、つまり自分にとって心地よい意見ばかりに触れる
・インターネットは無限の反復を許容する 

 著者はインターネットの問題点の一部として、上記のことを挙げている。

 私たちが接するインターネットの世界は、極めて偏った世界であるということに、私たちは気を配らなければならない。生活必需品ともいえるインターネット。その問題点を認識した上で使うことが非常に大切であることを痛感した。


 インターネットでは、自分の好みの意見に、繰り返し繰り返しいつまでもさらされ続ける。自分の考えに合致した意見を多くみることによって、自分の考えが強化され、極端な思考に陥りやすくなる。また私たちは、インターネットが自分の好みに合わせて情報を選別していることを忘れがちになることも注意しなければならない。

「自ら選んだ場合にはすくなくとも選んだのは自分だということを意識するが、自動配信されたら何も意識しないことだ。」

 本書に書かれている実験では、アルゴリズムに任せていると、自分の意見か他の人の意見かを読む意識が薄れることが示されていた。


 2016年のアメリカ大統領選挙では、インターネットが大きな影響力を持った。フェイスブックにおいて、トランプに好都合なフェイクニュースが、3000万回も閲覧された。対して、クリントンに好都合なものの閲覧回数は800万回だったのである(本書Chapter4より)。情報は、そのの真偽に関わらず、人々の考えに影響する。

 また、著者は以下のようにインターネットの情報に関して警告を鳴らす。

「単純化した単刀直入な表現が好まれ、経緯や背景の説明が省略されがちで、注意深い慎重な議論の規範が失われつつある。」


 私は、以上で述べたインターネットの仕組みや、人間の思考の傾向などを知り、ひとりひとりが注意を払うことが必要だと考える。あくまで私たちが接する情報はほんの一部なのである。その情報の真偽を確かめようとする姿勢や、さらなる情報を求めて信頼できるソースにアクセスすることが求められている。


 ここで以前ある本で、人間は偽陽性の判断傾向があると述べられていたことを思い出した。偽陽性とは、間違って陽性と判断することを意味する。風が立てた物音はとりあえずライオンと間違えるということである。この偽陽性の思考が私たちの祖先が生き残ってくるためには重要でった。もしも、ライオンではないという偽陰性の判断をすると、私たちは生き延びていないというのである。

 この話を踏まえると、私たちの脳は、情報をとりあえず信じるという傾向があると推測できる。本来の脳の仕組みには逆らえなさそうだ。しかし、よりよく使おうと注意を払うことはできる。インターネットの問題点は耳にしたことはあるが、いま一度心に留めておきたい。

 

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