夏至

発熱した顔を撫でる
跳ねた髪が擽ぐる
眼の奥が酷く痛む
目の前が霞む
ピントの合わない夜に
光は満ち満ちて
心配性の僕だから
すぐに死の香りを確かめたくなる

朝方早くの蛍光灯
地方のニュースに知らない人の香りを
うつらうつら映る虚ろに触れる
居眠りしていた神さまを
草木は厳しく嗜める
鈍いナイフのブーメラン
投げては棚に引っかかる

爪の形を記憶するように撫でる
記憶に残すように髪の匂いを嗅ぐ
日中、太陽が焦がした頭髪の
ひりついた肌の感触を記録する
咀嚼して、飲みこむ
あなたは突然どこかへ行ってしまいそうだから
私の指と指の隙間に
あなたの指を挟んで
そのまま肉、皮膚で
浸るように、重ねて
脈拍を聞く、かたちを覚える
ノートを捲るように、軽く
やさしく、風と嘘をつく

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