仄か

私は今、舌をバネのようにねじ曲げ、喉を大きくせり上げて、このまぬけな音を発声している。膨らんでは縮みを繰り返す肺がエネルギー。私自身を活かす装置として、絶え間なく心臓は鼓動し続けている。
反芻する記憶、記憶、文字列と濫立して、震える落ちる視覚情報は絶え間なく、狼狽える。戸惑い、カナリアのさえずりは音波、聞こえますか? 私は、私は、妊娠しています。(あなたの子どもかどうかはわからないけど──)愛して、今。お金のような形のある温もりで、セックスよりも生臭い熱帯の森のように、夜の海のような湿り気を持って、潤して。重力に逆らって、あなたはずっと無言でスマホのライトを浴びている。飲み食いもしないで、現代アートみたいな表情で、そこにいて、いる。
私は今、舌を跳ねあげて、唾を飛ばしながらあなたを罵倒している! 身勝手な私と同じくらい自己中心的なあなたの目に見えないその、腹の奥底に向けて、鈍い光の刃物を突き立てて、止まらない。血の匂い、鏡に映る姿は、ここにいないあなたのための、私の淫らな、露わな、そのまま。裸足で濡らして、水面を歩けば、砂がこびりついて、笑った。風化しそうな、霞んだ水色。風景──は、淀んだ淡彩、恋愛は常に鮮やかにはいかないから、トマトとチーズ。皿の曲線。ナイフの持ち手と、フォークのするどさに、酔って、目覚めるとまた、見知らぬ天井

#詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ #34日目

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?