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ハロワ

石を投げあう顔のない影たちは、白い手を直接的に汚すことでしか自己を主張できぬ野蛮な種族。ゆえに赤切れ、ささくれ立った指の先に滲む血の味、極彩の色合い、喧騒と怒号。ドンキの入り口、屯する男女の蛾虫によく似た(習性/走光性の)本能で、殺し合うように生存する。
夏が、満ちる。
動物的思想、火の点いたままのマッチ棒をくわえて踊るフラつく足元、痺れる口、眼球の黒いところ、白いところ、赤いところ。そのままで散って、砕けて、消えて、あげよう。水の融ける様子を見守る神の落とし子たちの髪を撫でて、柔らかな腰を曲げ、手を差し伸べる。
影の湖、灰の山
朝からずっと続いている
身体中の痒みに爪を立て
激しく擦り掻き毟れば
即席の快楽で切れた皮膚から
滲む血で汚れるシャツの
誠実そうな白さに
思わず立ちくらみした

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