ペッパー・コメディー
砕けた感想、整然と立って並んだイデオロギー。憂鬱感情は独歩して不快。他人の成功が羨ましくて、俺も欲しいって指差して地団駄を踏む足に、手にまた力が入る。欲求不満、口をつく愚痴はもはや悪口だか、陰口じゃないだけまだマシと嘯いて垂れ流す。口外無用の公害は空気を汚染して信用は底辺。狂ったように目が冴えて、何か成し遂げなくちゃ糞。愚鈍、不遜。膨れ上がった不平と不満で歩く妨害電波。現像された肉塊、共倒れ社会、性善説。縷々述べる意見は二進も三進も筋がなく、須らく落ち葉。燃える火、登る煙は蒼天翻して突風を攫う。海嶺の惨憺。聡明な魚の目の奥に浮く国。みすぼらしい身なりの老婆が道端で物乞う社会。「仔猫いりませんか」のポスター。献血車両。我は今、どこの誰? かけられた金、備忘録。影絵の狐がしゃぶる秋風に、髪が乱れて笑い合い男女の繋ぐ手の温み。レジ前の粗悪品。いたたまれなく吐いた嘘も地球の裏側で息をする。フィクションとノンフィクションのボーダーに立って敬礼する黒人を殺した白人。それをテレビで呆然と見る黄色人種。無数の命のきらめきが、あからさまに崇め奉られて、また弄ばれて居酒屋の便所。薄っぺらい名言に成り代わり、酩酊の夜明けに、その筆ペンはさぞ美しく見えたことだろう。街のどこでも同じ流行歌が流れて、もう空でも歌えるほどに汚れた僕が信じる明日の方へ、騙し騙し自己暗示。社交辞令の口約束。指切りげんまん千鳥足のまま、けんけんぱ。さ、疲れて下ろした腰が潰したゴミの山も酔っ払いの幻覚越しには高級ホテルのキングサイズのベッド。目を瞑れば秒で眠りの底まで潜水。そのまま、目覚めるまで。その場で、しあわせのまま。夢を見せて
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