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夜、太陽は花火みたいだ
絵馬に書いた鳥はやたらめったらはばたいて
だから、ほら落っこってばっか
壁にかかった雛鳥共の囀りに耳を塞いで
もう誰もぼくのことを忘れてくれ

みんな、絵描きを装って
天才ぶって狂ったふり
紙の上、闇雲に刷毛を振っても
汚れていくだけだよ
計画的犯行、なんだってそう
カラフルなモザイクみたいな人
誰もがビルの上を見上げて
手を振って「はやく、降りておいでよ」って
言ってるみたいだから、ぼく
飛んだんだ
嘘みたいだろ
雛鳥共のすぐ脇を素通りして
急降下、それはもう
それはもう痛快だったね
臍の緒の奥のDNAにご先祖さまの落書きを見た
お父さんとお母さんみたいな黒い人と火の絵
なんだか怖くて目を瞑った、ら
突っ伏してた
教室の四列目、前から2番目の席で
よだれを垂らして、眠ってたんだよ

「笑えるだろ」

なんだよそれ、とタクミは笑う
僕も笑って、帰路を行く
「あ、でも」
タクミが何か思い出したように言った
「俺、だいぶ前に殺される夢見たんだ」
「へー、痛かった?」
「夢だから痛みはなかったけど、怖かったのを覚えてるよ」
「ふぅん」
やっぱり、殺されるのは痛いんだな
そりゃあそうだろ
「お前はさ、」
タクミがつぶやくように、言う
今、何回目だ?

目が覚める。体が酷くだるい。そんなことより、なんの匂いだ? 甘いような酸っぱいような、生臭い変な匂い。そこで、僕は、たくさんの花が、寝床に咲いているのに気づいた。いや、咲いているのではない。「供えられいる?」ゴッ!と音がして、右腕がビリビリする。どうやら、強くぶつけたようだ。何に? 板だ。そうか、ここは、棺桶の中。夢で聞いた、タクミの声が蘇る。
「お前はさ、今、何回目だ?」

夜、太陽は花火みたいだ。
朝、月は凍っているみたいだ。
ひどく痛む頭で考える。考えて、考えて、考えて考えて考えて、目を瞑る。目を瞑る。目を瞑れば、眠る。眠れば、痛くなくなる。なく、なる。泣く泣くなる。なれば。なれば、いっかな

#81日目 #詩 #自由詩 #現代詩 #ポエム #note文芸部 #100日詩チャレンジ

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