盲
暗闇が身体にべっとりと貼り付き
穴という穴から蚯蚓が入り込んで
うねり、のたくり、ほじくり返す
湿った欲望の奥底を泳いでは耕し
喰い散らしながら糞尿を排出して
心はまるごと柔らかな地球になる
想像、もしくは妄想で妊娠したい
夜、まれに朝。襲い来る衝動にも
少なからず意味があると信じたい
脳部へと侵入した蚯蚓が嘲笑して
海馬が鮮やかにトリップした世界
甘酸っぱい感触が耳元でしている
ずっと、これからも。うねり狂う
蚯蚓の群れが新しい脳と化すまで
金属的な光を孕むモノクロームは
文字盤を印字し眼前に照射される
夢を見る。うつつの。幻のような
かけがけのない現実。そのすべて
真実でありながら虚実で、虚実で
あると同時に紛れもない真実だ。
処女の人魚の捕らえてまな板の上
虹色に輝く尾鰭を喰えば骸骨星座
その赤色が一つ光って落下する。