不語仙
吐け吐けと殴打する自分の腹の感触が
ダイレクトに自身の拳に移って
トリップする眼前に映写される
とびっきりキャッチーな曼荼羅
無骨が裸で武者震う寒春に凍える
夜桜のような鋭い眼差しが
天上の満月を睨ンでは中指を立てて笑えや
リリカルに乱れる足跡が切り刻む
海老頭に飛び移る斉天大聖孫悟空の如き軽業
見紛う一部始終にさんざめく一切合切
連日連夜続く疲労を背負い込み行く天竺
うら若い血の脈動に腹を空かせ
好奇心の赴くがままに回遊/滑空/疾走する
魂! それは千夜一夜の待ち惚けの結末
厚塗りされた油絵と水墨画
多重露光を逆光に翳る姿は面妖な化身
地獄と極楽の狭間を行き来する巨人
憂鬱が翳り、夏めく窓辺に射す光
泥濘から伸びた肉の茎から流れる血
花托から覗くいくつもの目が覗く
天獄を闊歩する畜生共のド真ん中
釣糸をぶら下げる耄碌の背に昇り竜
沈黙が破裂する昨日、今日も語らず