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80歳 #20 骨髄異形成症候群・再生不良性貧血(シリーズ最終回)

骨髄異形成症候群の発症から3年あまりをざっくりまとめる

  • 初診で血液検査、骨髄検査をし、輸血とネスプ注射

  • 定期的にネスプ注射をしていたが、途中で中止

  • 血色素7以下なら赤血球輸血

  • ネオーラル(免疫抑制薬)服用に変更

  • ビダーザは2クール目で血小板が減り過ぎたので、3クール目以降中止

  • 発熱や吐き気でネオーラルがだんだん飲めなくなった。

  • 再生不良性貧血になりレボレード服用に変更

  • 毎週か隔週で赤血球と血小板輸血

再生不良性貧血の治療

レボレードを服用しても、すぐ血小板が減ってしまうので輸血は欠かせなかった。

後半は白血球、赤血球、血小板すべて減少傾向。
頻回輸血でフェリチンが1600まで上がり、臓器に影響が出る恐れがあるため、鉄を排出する鉄キレート剤も処方された。

「この薬、効かないよ」と言われたが、輸血しながら鉄キレート剤服用1年でフェリチンは500台まで下がった。

タクシーで通院する以外の外出は控えていたけれど、今年の初めには輸血した勢いでランチに行けた。

輸血すると全身に酸素が巡るからちょっと動ける。

ランチ後のスイーツ

足ムズムズ症候群と不眠

高齢になると診断名が1つで済まず、逆流性食道炎と足ムズムズ症候群と糖尿病もかかえていた。
他にも症状はあったが、何かあっても手術出来ないので検査していない。

足ムズムズ症候群で不眠だったが、いろんな薬を試して、
今年に入って、やっと効く薬がわかってきた。

昼寝したり、夕食後すぐ寝て夜中起きたりとか、サイクルは決まってなかったが、2〜3時間ずつ細切れで眠れるようになった。

日常の生活

外出はできないので、家でYoutubeを見ていることが多かった。

今思えば、亡くなる1ヵ月くらい前から食事量が減った気がする。

といっても、唐揚げ4個食べてたのが2個になったとかそんな程度だが。

免疫抑制薬をやめた後は、なまものを食べても良くて、鉄火巻を好んで食べた。

高熱

ちょいちょい熱を出したり、吐き気や便秘や下痢を繰り返すので常に油断はできなかった。

ある夜、早めに寝て、数時間後に起きた時、寝ぼけた感じだったので、よく眠れているんだなと思っていたら、翌日高熱を出した。

何か食べさせようと頑張ったが、まったく動けず、一人で対応するのは無理だと思ったので、救急搬送をお願いした。

病院についたらPCR検査をして1時間待機、それからいろいろ検査や説明があって、入院が決まったのが午後10時。(新型コロナは陰性)

嫌な予感がしたので、私は昼にコンビニでおにぎりを買っていた。

暗くなった待合室で一人でおにぎりを食べて、水で流し込んだ。
ちゃんと海苔とご飯の味がした。

緊急入院

入院が決まり、解熱剤を投与して一時的に熱は下がったが、血圧が低下、血中にあるはずのない細菌が見つかり、抗菌剤を投与。

しかし依然熱は下がらず、好中球も減少。

救急搬送され、2日目で会話があまり出来なくなった。

食事が来ても箸も持たず、ご飯をボーッと見てたので、スプーンで食べさせると、ご飯3口、魚2口、果物2切れとか、少量だけど口から食事が摂れた。

雑談で、看護師さんに「ガリガリ君が好きなんです」と話したら、かき氷をいただいた。

開けた時、既にかたよってたガリガリ君

コレが出てきたらもう長くないとも聞いたことがある。

意識が混濁している時もあったけど、本人も悟っていたようで、
「先生、お世話になりました」とはっきりと言った。

4日目、抗菌剤を中止して、水分補給とノルアドレナリンの点滴だけになった。

旅立つ前は、痛くない治療

主治医から落ち着いたトーンで言われた。

「気管切開はしません。痛い治療は何もしませんからね。」

赤血球や血小板を作れない病気なので、出血を伴う処置は無理だということは理解している。

もっと、なんとかしてくださいよ!とは言えなかった。

心拍数が上がったり下がったりしながら徐々に苦しそうな呼吸になって、ゆっくりと血圧が下がっていった。

口からの出血で、酸素マスクに血しぶきが飛び散って、絵的にはすごいことになっていたが、血小板が少ないので一度出血するとなかなか止まらない。

毎日短い会話をし、起きて食事をし、5日程で旅立った。
話しながら私が泣いてしまい、会話が成り立たなかったが。

熱が下がっていたら、まだ命が伸びたかもしれない。
「かもしれない」ことを考えても、故人は帰ってこないし、本人もそれは望んでいないように思える。

「どこか痛いところや痒いところはある?怖いことはない?」と尋ねたら、
「どこも痛くない。何も怖くない。」と返事。

感情が荒れていた時期もあったし、毎日「痛い、痒い、しんどい」と繰り返していたので、不満を言わないのは珍しかった。

「痛くない。怖くない。」が、本当か嘘かは結局わからない。

本人から直接聞いた言葉だから、疑うのはやめた。

私は神に「最後は苦しまないよう力をお貸しください」と唱えた。

願いがひとつ叶ったと思いながら私は生きていく。
これからは、一人で願いを叶えていくのだ。

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