「40代&未経験」でも仕事が途切れなかった理由
「よくその年齢になって未経験の業界で働く気になるね」
コロナ真っ只中に、なじみのない業界で働くことになりました。
その時にかけられた言葉です。
知らないことだらけ・不安だらけの中スタートし、仕事は「販売代行業」のため評価されなければすぐに打ち切られます。
結果としてコロナが収束して辞めるまでの約2年半、業界で実績のある競合の中で毎回1番にオファーを受け続けました。
40代&未経験のスタートで、なぜそんなことができたのか。
振り返ると「書くこと」が大きな理由になっていたのです。
「今、自分にしかできないことは何か」という視点をもつ
「書くこと」といっても、SNSで広く発信したり、特別なことをしていたわけではありません。求められた報告書以外にお客様情報をまとめて記録し、自ら提出していただけでした。
これを始めたのは「自分にしかできないことは何か」を考えたことがきっかけでした。
店頭に立つとお客様とのやり取りから良いことも悪いことも含め、たくさんの情報が入ってきます。ところが忙しい担当者と話せる時間には限りがあり、伝えきれない状況の中でもったいないと感じていました。
圧倒的な経験不足の中、並みいる競合と比較されることを考えると彼らとは大きく違う何かーアピールポイントが必要です。
そこで、日々店頭に立つ自分だけが知りうる情報を、誰よりも分かりやすく丁寧にクライアントに届けようと決めたのです。
年代、来店時間、リピーター様かどうかなど基本情報から来店動機、購入の決め手、また購入に至らなかった場合は理由も記しました。「こうだったら購入したのに」や、マイナスのご意見も正直にまとめて伝えます。
物の購入にはそこに至るストーリーが何かしらあります。
悩みを解消したい、頑張っている自分にご褒美をあげたい、気持ちを上げたい、など。たとえばギフトなら、その商品を選ぶ特別な理由が必ず存在するもの。そういった購入の背景を特に丁寧に聞き、伝えました。
「伝え方」を工夫する
ただ伝えるのではなく、「伝え方」には気を遣いました。
見やすさ、加工しやすさを考慮したのです。これはクライアントのタイパを意識してのこと。
具体的には、諸々の報告書を紙からデータに事前許可を得て変更したり、顧客情報をデータ集計しやすいフォームで渡したり、在庫管理表をリアルタイムに近い形で把握できるよう整えることを行いました。
勤務地は都内百貨店やターミナル駅直結型の商業施設。
人が多く集まるイメージから、コロナ禍に避けられていた場所が多く、
1日の来店者数が10人に満たない日もありました。だからこそできたことではあります。
クライアントからは「こんなにリアルなお客様情報をもらえたのは初めてだし、これを共有してきた施設(販売場所)担当者にも喜ばれている」と評価されました。逆に施設側に提出する「商況報告書」が評価され、クライアントから喜ばれることも。
開発のヒントに生かされ、実際にお客様の声が反映された商品が誕生した時には感動ものでした。
小さな記録の積み重ねが、いまの自分を勇気づけてくれている
当時書き残したものを振り返ると、その時の思いがぶわっとよみがえります。
お客様がほとんど来館せず次の仕事の心配をしたこと。短い販売期間内にもかかわらず、リピーター様が多く来店され嬉しかった日は閉店BGMも楽しげに聞こえたこと。
「今、自分にしかできないことは何か」を考え、「伝え方」を工夫した小さな記録の積み重ねが仕事をつないでくれました。
未経験の私が続けられた理由はクライアント&施設とお客様をつなぐ橋渡しとして、その場にいない関係者にリアルな声を「書くこと」で届け続けたこと。それが1番喜ばれたためだと感じています。
「書くこと」で喜んでもらえた経験は、記録とともにしっかり自分の中に残り、いまの自分を勇気づけてくれています。