これからの国語科の授業とは?⑦(2018年11月5日)
ブログでも何回かにわたって今回の大会の報告をしてきました。本ワークショップ初回の記事(「これからの国語科の授業とは?④」)では〝今回で最後〟としましたが、あと数回記したいと思います。「テーマ別分科会」のうちワークショップから「語彙を豊かにする物語・小説の読みの単元づくり」(信州大学/藤森裕治先生)の紹介の第4回目です。
前回は、各教材の「基幹語彙」を「高める」取り組み、「深める」取り組みの講義についてまとめてみました。今回は、「ごんぎつね」「走れメロス」「注文の多い料理店」の三つの素材からまず各自「基幹語彙」を探して単元化するというワークショップ「語彙を豊かにする物語・小説の読みの単元づくり」についてです。
【課題】
作品の中から基幹語彙を見つけ、単元を構想しよう。
【進め方】
・候補を挙げる
・三つ選ぶ(三つ選んで理由づけする)
・一つに絞る
↓
「単元名」
・単元の展開を構想する
・発表する
何人かのグループに分かれ、「ごんぎつね」「走れメロス」「注文の多い料理店」の三つの素材の一つを選んで話し合いました。それぞれのグループで興味深い基幹語彙が選定され、その理由が発表されました。藤森先生はどれにも肯定的な評価をしたのちに、自分の考えも示されました。それが以下のものです。
「ごんぎつね」
・つぐない
→文脈から、ごんは撃たれるのを覚悟で兵十の家に入って来ているのが読み取れる。生涯においてこのような経験をする児童・生徒があるというのはつらいことではあるが、文学作品においてだからこそ学ぶことのできるテーマでもある。
「走れメロス」
・色彩表現
→「蒼白」だった王までも、最終的にはメロスの「赤」に感化されているのがわかる。
「注文の多い料理店」
・オノマトペ
→宮沢賢治の作品を読むうえでは外せない要素。
・両義的表現
→読みようによって真逆にとれる表現が多い。賢治には「田舎」に対して「都会」ぶる人々、あるいはその対立そのものに反感があった。
楽しく充実したワークショップもこれにて終了となりました。しかしながら、今回の手法は私にとっても得るところが大きかったです。
実際に現在、中学2年生の授業で「走れメロス」について「色」を解釈しながら読み進めています。この授業実践の結果についてもおいおい報告できれば……と考えています。
さて、7回に分けて紹介いたしました今年度の日本国語教育学会「国語教育全国大会」の報告も今回で最後になります。ご覧いただきありがとうございました。
※日本国語教育学会公式ホームページ
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