これからの国語科の授業とは?①(2108年8月11日)
今月の4日(土)と5日(日)は、日本国語教育学会主催の「国語教育全国大会」でした。
残念ながら初日は仕事の都合で午前中のみの参加でしたが、充実した二日間となりました。
今年で第81回の全国大会ですが、学会の長年の取り組みである「国語単元学習」を軸としながらも、新指導要領を受けて「豊かな言語生活を拓く国語教育の創造―「主体的・対話的で深い学び」を実現する単元学習―」というテーマで実施されました。
1日目は文教シビックホールにおける一斉形式での授業公開ですが、2日目は小中一貫校・品川学園を会場にしての授業実践研究発表です。「校種別分科会 研究発表と協議」「テーマ別分科会(模擬授業型分科会/ワークショップ/大学部会シンポジウム)」「単元学習実践研究発表」の3プログラムで一日が展開しますので、どの会場に行こうか迷ってしまいます。
ブログでも何回かにわたって今回の大会の報告をしたいと考えていますが、最初に1日目の公開授業「単元名「色彩語のひみつをさぐろう」」(授業者/青木伸生先生〔筑波大学附属小〕)を紹介したいと思います。
小学五年生の児童が対象の授業でした。「エンタくん」なる円形の模造紙に、各班で選んだ色(青、赤、緑、黄、白と黒など)について思いついたことを書き出し、それらを相互に関係づけて(「マッピング」と称した作業)いった後、班で発表します。
児童たちは、本時の授業に至るまでに、これまで学習してきた「ごんぎつね」「白いぼうし」「大造じいさんとがん」といった作品で使われていた色彩語の効果を学んでいます。
続いて、「ぼくの・わたしの夏休み」という題で詩作をさせます。詩作は普段から取り組んでいるようで、そのためのノートに短時間で児童たちも作っていきます。詩作終了後、「詩のボクシング」という対戦形式で2人が詩を朗読して発表し、児童たちがジャッジをします。児童たちは、作品に対して〝色彩語の数の勝負ではない〟〝同じ青なのに多くの気持ちを使い分けて表現している〟といった点に注目して判断したことが、青木先生の問いかけを聞いてわかりました。
もちろん、児童たちは今日のテーマである「色」を意識して詩作をしており、色を使わなくても、例えば「夢」という語に「虹色」を意識して詩作しているといった意識が見られました。また、「色」を意識して詩作することが〝深い気持ち〟を表現し、〝聞き手に(よりよく・イメージをつかみやすく)伝わる〟といった効果があることも理解していました。
小学校部会長・今西久二先生から青木先生の公開授業の前に解説があり、新指導要領では語彙指導の充実が求められていることを取り上げ、そうでありながら〝語彙の豊かな人〟とは語彙数の多い人ではないと述べられました。〝人格と語彙数の多さは結び付かない〟という問題提起の解答を見るかのような示唆に富んだ公開授業であったと思います。
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