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これからの国語科の授業とは?⑥(2018年10月21日)

 先々月の4日(土)と5日(日)は、日本国語教育学会主催の「国語教育全国大会」でした。
 残念ながら初日は仕事の都合で午前中のみの参加でしたが、充実した二日間となりました。
 今年で第81回の全国大会ですが、学会の長年の取り組みである「国語単元学習」を軸としながらも、新指導要領を受けて「豊かな言語生活を拓く国語教育の創造―「主体的・対話的で深い学び」を実現する単元学習―」というテーマで実施されました。
 1日目は文教シビックホールにおける一斉形式での授業公開ですが、2日目は小中一貫校・品川学園を会場にしての授業実践研究発表です。「校種別分科会 研究発表と協議」「テーマ別分科会(模擬授業型分科会/ワークショップ/大学部会シンポジウム)」「単元学習実践研究発表」の3プログラムで一日が展開しますので、どの会場に行こうか迷ってしまいます。

 ブログでも何回かにわたって今回の大会の報告をしてきました。前々回の記事(「これからの国語科の授業とは?④」)では〝今回で最後〟としましたが、あと数回記したいと思います。「テーマ別分科会」のうちワークショップから「語彙を豊かにする物語・小説の読みの単元づくり」(信州大学/藤森裕治先生)の紹介の第3回目です。
 ※第2回目はこちら「これからの国語科の授業とは?⑤」

 前回は、各教材から「基幹語彙」をどのような基準で選ぶのかという話までで終わっていたと思います。今回は、この「基幹語彙」を実際の授業でどのように生徒の学び、具体的な活動につなげていくのかという内容になります。

 藤森先生が採り上げた作品の一つ「少年の日の思い出」より「そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな。」というエーミールが僕に言い放った言葉の中でも「そんなやつ」を例として説明がなされました。
 テーマとして「エーミールはどんなやつだと言いたいのか」という問いを投げかけます。その問いを「広げる」方法としては「自由な話し合い」を、「高める」方法としては「ドラマ化」をあげています。さらに「深める」方法としては「個人追及」そして「相互批評」です。

 「広げる」取り組みについては、「エーミールが言った「そんなやつ」とはどんなやつか考える手がかりを本文からさがしてみよう!」という課題を与え、エーミールの言動や「僕」の反応がわかる「描写や構成、語句など」を本文から手当たり次第チェックする方法などがあります。
  「高める」取り組みについては、例えば「この場面をドラマにしてみよう。」という課題を与え、身体を使ってしぐさや表情を表現することで作品を理解しようという試みですが、クラスメイトの寸劇を観察して感想を交流したり、なぜこのような寸劇にしたのかを説明したりすることが大事です。
 「個人追及」による「深める」取り組みでは、「エーミールが言った「そんなやつ」はどんなやつだと考えられるのか説明してみよう!」といった課題を与えて自分の考えを記述によって説明させます(おそらく、「下劣なやつ」「悪漢」「蝶の美しさがわからないやつ」「自己中心的なやつ」「思いやりに欠けるやつ」といった答えがその理由とセットで出てくると予想されます)。そして、「相互批評」による「深める」取り組みでは、自分以外のクラスメイトが「個人追及」で各自考えた内容について、お互いの意見を聞いてみます。

・会話文での指示語の文脈的意味がわかる。
・根拠を挙げて自分の考えを説明することができる。
・級友と交流して解釈の共通点と相違点を調整することができる。
・解釈内容を動作化しようとする。

 次回は、講義を受けての我々参加者のワークショップの内容です。「ごんぎつね」「走れメロス」「注文の多い料理店」の三つの素材からまず各自「基幹語彙」を探すところから始めます。(つづく)


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