これからの国語科の授業とは?④(2018年10月8日)
ブログでも何回かにわたって今回の大会の報告をしてきましたが、今回扱うワークショップの内容を2回に分けて最後にしたいと思います。「テーマ別分科会」のうちワークショップから「語彙を豊かにする物語・小説の読みの単元づくり」(信州大学/藤森裕治先生)を紹介したいと思います。
国語教育全国大会のワークショップでは、時々このような《カリスマ先生》が登場します(おとりまきが多かったりするので他の先生とは少し違う空気感があります)。発表には一見関係がなさそうなクイズや身体的な動き(仕切りの際の全体での手拍子など)を織り込みながら、飽きさせない形でまずは講義がすすんでいきました。
(1)資質・能力とは何か
「資質」→自ら学びに向かい、自立した健全な社会人として成長しようとするために備えている内面的諸条件
「能力」→自ら学びを計画・実行・省察・改善するために獲得され活用されるべき知識・技能、及び思考力・判断力・表現力。
この定義によれば、「結果を測定する評価から可能性を見出す評価への大転換」があるのだという提示がなされました。
(2)知識及び技能とは何か
「知識」→語彙や文法などの理解内容
「技能」→言葉や情報などの操作能力
「車」での置き換えをすると、「知識」が「燃料」で、「技能」が「運転免許」のようなものだということでした。
(3)思考力、判断力、表現力等とは何か
(2)で行った「車」での置き換えを念頭に置いた場合、それらは「実走行の技術」であり、「思考」により「状況把握と情報処理」、「判断」により「思考内容の評価と行動の選択」、「表現」により「思考内容の発信と選択行動の実施」をするのだとしていました。
(4)学びに向かう力、豊かな人間性とは何か
「Building Learning Power in Action」から「学ぶ力の筋肉」(日本語版)を引用して、
学力分析がしっかりなされていないという難点を示しながらも、特に「耐えること」(=困難に直面しても逃げず、ストレスのエネルギーを生産的なものにすること。「学ぶ」ということはだいたい時間がかかるし、不確実なものだと知っておくこと。)の重要性を述べられました。
小さな我慢(ちょっとゆずる、待つ、ということ)を重ねて、大きな我慢ができるようになることが学びの大きな成果につながるというのは、昨今の生徒の状況を見ていても大変共感を覚えました。
(5)国語科の味方・考え方とは何か
「ことばの3要素」
○道具としての言葉=概念化と線状性の視点・観点で記号としてのことばがもつ特徴を捉え、その扱い方、扱われ方を知ること。
○言語活動=文脈化の視点・観点で実際に交わされることばの働きを捉え、その扱い方、扱われ方を考えること。
○言語作品=レトリックの視点・観点で作品としてのことばがもつ意匠や効果を捉え、その扱い方、扱われ方を考えること。
資料にはイラストが添えてあり、「道具としての言葉」は家を作るための様々な道具、「言語活動としてのことば」は骨組みだけの家、「言語作品としてのことば」は完成した家になっていました。
このあと、実際のワークショップに入っていきます。ワークショップで扱うのは「言語作品としてのことば」であり、まずは単元づくりをする前提となる考え方の簡単な講義があったのちにグループに分かれてのワークショップが展開されました。(つづく)
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