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2013年 夏の学会・研究会のまとめ⑨〔廃刊メルマガ記事より〕(2014年2月9日)

 現在、昨年夏の学会・研究会のまとめをしています。第9回は、京都の花園大学で実施された〈解釈学会全国大会〉の第4弾です。今回は、第二会場「国語教育」分野の研究発表の続きで、最後のお一人の発表について報告したいと思います。

 安田女子大学講師 河内昭浩先生「高等学校における漢字・語彙単元の構想」

 漢字・語彙指導法の構想に向けて、指導すべき漢字・語彙の選定、漢字指導と語彙指導の結合をどうするのか、以下のようなデータを用いて研究を継続されています。
 ・  現代日本語書き言葉均衡コーパス
 ・  教科書コーパス
 ・  学校・社会対照語彙表

 指導すべき漢字・語彙の選定に向けては、漢字・語彙単元について三つの構想を掲げています。
 ・  作文指導と関連させた漢字・語彙単元
 ・  読解指導と関連させた漢字・語彙単元
 ・  他教科の学習に資する漢字・語彙単元

 体験と言語はセットであり、データを有効な体験に結び付けるという考えに基づいた構想であるとも言えます。ただし、問題点について河内氏自ら指摘されています。コーパスを利用することで実生活上の漢字を重視するのは当然であるが、漢文などで用いられている漢字など子どもたちの学習の現状も取り入れることはできないのかということでありました。

 興味深かったのは、作文指導と関連させた漢字・語彙単元の資料です。

 「環境問題」をテーマに作文を書かせると、生徒たちは「ゴミ」や「分別」という考え(語)しか出てこないのであるが、「環境」の共起語(語の直前・直後に出現する語(名詞))を提示し、その発想の手掛かりとするのだそうです。

 同様に、「環境」+「助詞」+「○○」という検索を行い、動詞や形容詞を抽出して提示し、名詞同様に発想の手掛かりとするのです。

 研究の最終段階としては、高校卒業後の社会生活で必要な漢字を優先的に指導することを念頭に置いた新しい漢字語彙表の作成と、それに基づいた具体的な漢字・語彙単元の提言を考えているということでした。

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