DJ DOSANKO

中村木春 / ライター / おにぎり職人 / DJ / ロンドン⇄日本⇄わからない https://twitter.com/Nomitchell

DJ DOSANKO

中村木春 / ライター / おにぎり職人 / DJ / ロンドン⇄日本⇄わからない https://twitter.com/Nomitchell

マガジン

  • エッセイ

    さまざまなエッセイです。

  • イギリスをさまよう女の記録

    31歳無職女イギリスに引っ越しました。

  • いとおしき人々

    日常にあふれるいとおしき人々を描くマンガ連載です。

  • ダサ川夢子の謎コーデ

    奇怪なファッションセンスを持つダサ川夢子さんのコーデ集。

  • PICTURES - ILLUSTRATION - DRAWING - E -

最近の記事

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ロンドンの街頭でチラシ配りをすると悟りが開ける

現金が20ペンスくらいになってからわたしは初めて自分の残酷な状況に気づいた。 友人宅に遊びに行くバス代すら持っていないこの身を、家の片隅に転がっていたオンボロのチャリに乗せて慣れない道を走り出すと雨、容赦ない雨にさらに自転車のブレーキが壊れているしタイヤも空気が入っていないことに気づく。 グーグルマップ的には15分で着く予定の道のりをほとんど一時間かけて友人宅へ到着、明日のギグに向けてDJの特訓を行いながらもわたしの頭の中は明日からの生活についての不安で満載であった。 とに

    • 人の東北弁を笑うな

      最近WezzyさんというWebマガジンで記事を書いています。 さむいさむい時期が続きますが、どうぞみなさまあたたかくしてお過ごしくださいね。

      • 車を運転できるひとが永遠にかっこいいを総なめ

        私は、長距離トラックの運転手になりたかった。向いていると思った。 一人でできるし、好きな音楽を聴けるし、毎日いろんなところに行けるし、何よりそこはかとなくロマンを感じられる、トラックの運転手になろう!と24歳の私は思った。 美術大学を中退し、ひとしきりいろんな職を転々としニューヨークぶらぶらしたり好き勝手に歩き散らかした挙句ポンと脳に湧いてきたちゃんとした仕事のアイデアが、トラックの運転手だった。 私は自分で自分のアイデアに興奮し、早速山形の自動車運転免許合宿を予約した。 な

        • センチメンタル飯 - カナダで食べたマックスのトマトサンドイッチ

          記憶に残る料理と、残らない料理の差はどこにあるんだろう。 私たちは毎日食べている。 一般的に考えて、1日3食×365日=1095食/年 たべている。 そんなに食べているのに、今でも記憶に残っている料理というのはほんのごくわずかだ。おととい何を食べたかすらすぐに思い出すことができない。 このコロナ禍で家にいる時間が増えてからというもの、 この「食べる」という行為について思いを馳せずにはいられなかった。 先の見えないロックダウン生活の中で、 ただひとつ毎日毎日確実にやり遂げな

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        • エッセイ
          17本
        • イギリスをさまよう女の記録
          32本
        • いとおしき人々
          3本
        • ダサ川夢子の謎コーデ
          1本
        • 5本

        記事

          お姉ちゃん、本当はあんたのことがきらいだったんだ

          初めて家出をしたのは、確か6歳のときだったと思う。 夕方、母が買い物に出た隙を盗み、セーラームーン柄のまくらをナップサックに詰め混んだ私は、親戚のおばさんの家へと向かった。 やさしいおばさんの家に、もらってもらう覚悟だった。 道すがら、手のひらに握りしめた500円玉の感触をなんども確かめる―その硬貨の大きかったのを、よく覚えている。 途中腹が減ってどうしようもなくなった私は、マクドナルドに寄りハッピーセットを注文した。当時のマクドナルドではおもちゃを選ぶことが出来ず、紫の軟体

          お姉ちゃん、本当はあんたのことがきらいだったんだ

          ロックダウン続くイギリス、おじさん見つめて雨の夜

          朝の10時頃に起床。ここ最近晴天が続いていたので、久しぶりの雨がうれしい。 ほぼ引きこもり生活を余儀なくされている私にとって晴天とは、まるで太陽から「ほうら外に出たいだろう、さあ遊びたいだろう?」と拷問を受けているようなものであった。 携帯を見ると、母から 「カメラ送 った 。 (^_^)/」 とのLINEが入っていた(原文ママ)。 時間を持て余した私は、久しぶりに映像作品でも作ろうと実家に置いたままにしていたデジカメをこっちに郵送してほしいと母に頼んでいたのだった。

          ロックダウン続くイギリス、おじさん見つめて雨の夜

          かつてできなかった夏休みの宿題を今こそ私たち終わらせよう

          イギリスで引きこもり生活を送る私が一日でブッダから蒼井優と山ちゃんの蕎麦屋デートまでを駆け巡りそして遂に我が人生の宿命に挑むまでに至った経緯をお話ししたい。 最近、なんとなく座禅を組んでいる。 YouTubeで見つけた、ベトナムの坊さんが「ブッダはアナタの中にいるヨ…アナタはブッダだヨ…」とやけに愛嬌のある声でつぶやき続ける座禅修行用の動画が気に入っている。 日本にいるときは、ヨガとか瞑想とかベジタリアンとかしゃらくせぇ西洋かぶれの気取った民たちのご趣味ですねといった感

          かつてできなかった夏休みの宿題を今こそ私たち終わらせよう

          ロンドンでレストランオープンしたよ、そしてコロナ

          3月2日、ロンドンの南の方にひっそりとおにぎり屋さんをオープンした。 女32歳、まさか外人に白い飯を握って暮らす日々がくるとは夢にも思わなかった。 日本で終電知らずの社畜人生を送ってきた私は、いまここでひとり米を研ぎ、店の外の草たちに水をやり、窓から差し込んでくる光たちを愛でながらいきている。 駅前の大通りから裏路地を一本入ると、そこには古びた倉庫やビルに囲まれたちょっとした広場があり、私の店はその隅っこに建っている掘っ立て小屋である。 たくさんのアーティストやらミュージシ

          ロンドンでレストランオープンしたよ、そしてコロナ

          あなたが歯医者にいったらわたしたちは恋人になる

          すっかり秋めいてきたロンドン朝九時、今日も仕事だなと歯を磨いていたらアイスクリーム屋の店長から「今日でアイス売るのやめます。今までありがとう」とのメールがニコニコマーク付きで届いた。 どういうこと、えっ今日から職なしになっちゃうじゃん家賃払わないといけないのにとわたしの怒りと戸惑いによる怒涛のメールを :) でかわす店長、 今日ほどこの90°ニコニコ野郎に腹が立ったことはなかった。 いきなり全ての予定が白紙になってしまったわたしはひとまずこの秋晴れでもたのしんでみよ

          あなたが歯医者にいったらわたしたちは恋人になる

          一ヶ月後にあなたを抱きしめてもいいですか

          「来月の僕の誕生日に、餃子とビールと、あなたの抱擁がほしいです」 一ヶ月後の抱擁をメールで予約してくる人に出会ったのは初めてであった。 オトさんは、変である。 このひとは沈黙というものが全く苦にならないようで、平気で私の隣でいつまでもじっとしている。 私が西洋だるまと称したその眼光がじっと動かないのを見ると、ほとんど恐怖を感じる。 でもわたしが恐る恐る顔を覗き込むと、一気に散歩宣告をされた芝犬の如きコロコロとした笑みがそこに弾ける。 変わった人だな、と思った。 私た

          一ヶ月後にあなたを抱きしめてもいいですか

          30過ぎて人生初のデートにいってきた - 2

          デートというものはほとんど文化祭である。ある決められたランダムな一日に向けて、昼夜準備に取り組み、そして前日の夜は当日やることに向けて最終確認を行い、当日晴れの舞台では3%ほど残った体力を絞り出しなんとか乗り切り終わる頃には「ああ終わってよかったな」と思うのと同時に花火を見上げて少しばかりのセンチメンタルを感じるような、そんな一大行事である。 世の中の人々はこういった"デート"を重ね重ね、恋といったものを育んでいくのかと思うと私はほとんど気が遠くなる思いがした。 展覧会、カ

          30過ぎて人生初のデートにいってきた - 2

          30過ぎて人生初のデートにいってきた - 1

          オトさんと初めて手を繋いだのはカーニバルの夜だった。 私たちはこの日、生まれて初めてデートをした。 ここでいうデートとは、なりゆきでじゃあ呑みに行こうやとか今から来れる?とかといった即席麺のような集まりではなく、一週間前も前に約束して「来週楽しみだね♡」みたいなメールや、あああの日なに着てこうとかそんなこんなで当日は朝からバタバタし「こんな日に限ってなんで吹き出物が!」と自らの肌に呪いをかけながら家を飛び出すようなそんな"デート"のことである。 30年近く生きてきて今時中学生

          30過ぎて人生初のデートにいってきた - 1

          真夜中に毒入りチャーハンを食べて暮らしたいのだ

          金がないので来月の家賃払えないなぁどうしようなんてもさくさしていたら、たまたま出会ったポーランド人カップルの住んでいるウェアハウス(倉庫を改造した15人が住むアパート兼スタジオである)にしばらくタダで置いてもらえることになり、私はまたそこで新たな人々と暮らしている。 画家やミュージシャン、看護婦に学生に刺繍職人などまたキャラクターも様々である。 以前のウェアハウスがヒッピーファミリーパーティーオールナイト系だったとしたら、こちらはどちらかというとアースナチュラルオーガニック系

          真夜中に毒入りチャーハンを食べて暮らしたいのだ

          やさしさで私はフォアグラになる

          私は今ロンドンのアイスクリームトラックで働いている。 ひとり気ままなもので、割れたコーンとかカスカスのアイスを食べながら好きな音楽かけて適当にやっている、季節はほとんど夏の盛りを過ぎており、ほとんど人もまばらである。 この日は小雨プラスなかなかの寒さでもはやだれもアイスクリームに見向きもせず、さかさかそれぞれの目的地へと通り過ぎて行く。 雨だな…とトラックから顔を出していると、 ハーイ! と手を振りながらこちらに向かってくる小さな女の人がいた。 何だか見覚えがあるなあと

          やさしさで私はフォアグラになる

          ふたりの男性へのときめきに死す

          一晩にして私はふたりの男の人に恋をしてしまったようだ。 そんなことありえないだろうよと思いながらもときめきにより胸の鼓動のBPMがはやすぎてほとんど病気である、まず同時にふたりも好きになったのは30過ぎて生まれて初めての経験なものでとりあえず落ち着いて状況を整理しよう。 最近わたしは、夏季限定のアイスクリームトラックで働いている。 開店から閉店までひたすらひとりで好きな音楽をかけ好きな本を読み、ときたまアイスを売るだけの簡単なお仕事である。就活のストレスで頭がパンパンにな

          ふたりの男性へのときめきに死す

          イタリア人こそがいつも私を救ってくれるのだ

          異国での仕事探しは長く苦しい道のりである。 昨日はトルコ人に無料でこき使われた挙句に恐ろしく低い日給でこれからも働かないかと言われすっかり落ち込んでしまった。 ここUKの飲食店全般では本格的に働き始める前にTrialという2-3時間のタダ働きをする必要があり、私は正直にいうとこれがとても嫌いである。 お互いを見極めるにはいいシステムだとは思うが、せめて交通費とまかないくらいくれてもいいのではないかと思う。 多くの場合Trial前に給料をはっきりと教えてくれないので、(トラ

          イタリア人こそがいつも私を救ってくれるのだ