『絵本のお菓子』　

太田さちか　著　
発行　マイルスタッフ
発売　インプレス

　今日は番外編。『絵本のお菓子』という本です。
　絵本に出て来たお菓子を作るというよりも、絵本の世界をお菓子で表現しています。
　例えば、バージニア・リー・バートン作『ちいさなおうち』をクッキーで作ります。そう、田舎から都会に変化していく町を見守るあのおうちです。
『うらしまたろう』もありますよ。
　玉手箱の中身を作っています。本当は煙ですが、ブルーハワイとお砂糖を寒天で固めた星型の琥珀糖が海のイメージです。
『人魚ひめ』には、貝殻のマドレーヌ。
『ラプンツェル』の長い髪は三つ編みパンになりました。

　感動するのは『スイミー』のちいさなおさかなグミです。ぶどうジュース（赤いスイミー）と、加糖コーヒー（黒いスイミー）とゼラチンがあればできちゃう。小さいお魚の形に抜いて、大きい魚の形に並べたら！もうスイミーの世界です。

　にしまきかやこさんの『わたしのワンピース』もいいですよ。三角のクッキーに、アイシングで模様をつけるのです。まるで絵本から出て来たようです。
　かこさとしさんの『からすのパンやさん』のパンも作っています。サッカーボールに豚に、ちょうちょ。これも楽しい。食べる前に、パンを作るのが楽しそうです。

　そして、もちろん絵本の中のお菓子、『ぐりとぐら』の大きな卵で作った、大きなフライパンカステラと、あの『ちびくろサンボ』のホットケーキも作れます。これは、たくさん作って思い切り食べたいですね！

　さて、わたしの中で圧巻は、シャルル・ペロー作　エロール・ル・カインの『シンデレラ』より。
「おひめさまのドレスケーキ」と「ガラスの靴」です。
「おひめさまのドレスケーキ」は、シンプルです。スポンジ台にイチゴを挟み、側面にクリームチーズを混ぜた生クリームで、ドレスの模様をデコレーションしていくのです。筒形の形がちょうどお姫様のドレスのスカート部分を思わせる形になって、素敵に見えるのです。ケーキの上にティアラを飾ってお姫様の雰囲気満点です。
　そして、「ガラスの靴」。パラチニットというものを使って、透明の飴細工で作るガラスの靴です。
　この靴を履くことのできた女性が王子様と結ばれるという、女性の夢を象徴するような靴ですよね。出来上がりの写真を見ると、これが本当にイメージぴったりの華奢で美しい透明の靴なのです。
　
　さてさて、実はこの他にもご紹介しきれなかった絵本の世界に連れて行ってくれる夢のようなお菓子がたくさん載っています。しかも本をみながら自分でも作れちゃう。作れなくてもお菓子を眺めるだけでも幸せになれますよ。かなりオススメです。