第一回『俺は星間国家の悪徳領主!』から分かる!リーダーの条件。~性格編~
小説『俺は星間国家の悪徳領主!』を見て、「ある程度、現実的なリーダー像が描かれているな」と感じたので、書いてみました。
今回は、「リーダーにぴったりな性格」について書きます。
あらすじ
リアム・セラ・バンフィールドは転生者だ。
剣と魔法のファンタジー世界に転生したのだが、その世界は宇宙進出を果たしていた。
星間国家が存在し、人型兵器や宇宙戦艦が戦うスペースオペラのような世界。
貴族たちが支配する帝国の伯爵家に転生したリアムには野望があった。
それは――悪徳領主になることだ。
前世、不幸にも全てを失い絶望の中で死んだリアム。
――善良に生きるなんて馬鹿らしい。
――好き勝手に生きてやる。
そんな気持ちを胸に、第二の人生を歩もうとするのだが、価値観の違いから名君として崇められてしまう。
リアムは無事、悪徳領主になれるのだろうか?
主人公リアムは星間国家の中の一人の領主となり、独裁を行うことで、これまで貧しかった国(星)を発展させてきました。
なぜこれほどまでの独裁を成し遂げることができているのか?その要因の一つが「性格」です。
リーダーの性格「ダークトライアド」
心理学では「ダークトライアド」という用語があります。
ダークトライアドとは、社会的に望ましくない気質であるナルシシズム、マキャベリアニズムとサイコパシーの3つの人格特性の総称です。ダークトライアドテストは、警察や裁判所、精神状態の審査や精神病練、そして大企業においてもよく使用されています。ダークトライアドのスコアが高い人は犯罪を犯したり法的な問題を起こしたりする可能性が高く、また友人関係や職場において問題を引き起こす傾向が高いという調査研究が示されています。もう一方で、ダークトライアド特性の人がリーダーシップ気質を有し、高い社会的地位を持つと見なされていたり、比較的容易に望ましい性的パートナーを手に入れやすいことを示すという調査研究もあります。
<IDRDlabs.comより引用>
つまり、ナルシシズム、マキャベリアニズムとサイコパシーの性格を持つ人は、(主観的にみて)人として最低な性格だけど、リーダーとしてはとても活躍できる性格だということ。
性格特性を一つづつ説明していきます。
ナルシシズム
ナルシシズムとは簡単に言えば「俺ってかっこいいだろ!」「俺ってすげーんだぜ!」みたいな自分大好き人間の性格です。この性格では「自分は何ができるか」をしっかり把握しており、リーダーシップでは他人を引っ張っていくことができるでしょう。
『俺は星間国家の悪徳領主!』では主人公リアムが「自分が(戦争に)負けるわけがない」「戦いに負けると思っているのか。俺をだれだと思っている!」という自信過剰な場面が度々出てきています。(まあ、その原因の一つは「神に愛されているからきっとうまくいく」と思っているのもありますが)
これをナルシシズムと観ることもできます。よって、「自分が得意な戦術は突撃だ」ということをしっかり理解しており、毎回の戦争で軍団の最前列に立って大活躍を収めています。
マキャベリアニズム
マキャベリアニズムとは簡単に言えば、「目的のためにはしっかり合理的な手段をとる」という選択ができる性格のことを示します。この用語の語源は近代政治学の始まりと言われている、ニッコロ・マキャベリの著書『君主論』(リーダーの教科書みたいなもん)からきています。学校の世界史の先生は「本当は『目的のために合理的な行動をする』という意味なのに、なぜか『目的のためなら何でもする』という感じて広まっている」って言ってました。
戦略編でも書くのですが、戦争の計画には大きく2つ別れます。「戦略」と戦術」です。「戦略」は政治家、外交官が主に計画を担当し、犠牲が前提の計画を立てます。「戦術」では官僚、役人、軍人が主に計画を担当し、できるだけ犠牲を出さないような計画を立てます。
主人公リアムは領主として政治もしなければならない立場です。そのリアムが犠牲が前提の計画ができるマキャベリアニズムという性格を持っているということで、まさにぴったりだということです。
『俺は星間国家の悪徳領主!』では主人公リアムがニッコロ・マキャベリの著書『君主論』に書かれていたことをしっかり実行していました。
『君主論』には自国の敵派閥を処罰をするときは一気に処罰せよと書かれています。ちょっとづつ処罰する場合、自分が(敵派閥の人、役員が)いつ処罰されるかわからないから恐怖を常に感じる不安定な状況に置かれる。最悪の場合は反乱を起こされるかもしれない。しかし、一気に首を切って後は他の者の待遇をよくする場合、余計な恐怖を感じずに安定した状況になる。と書かれてあります。
主人公リアムは物語の最初と最後あたりで横領などを行った人たちの首を大量に一気に切っています。これにより、「リアム様には逆らったら処刑されるが、そうでなければ恐怖はそこまで感じない。」という状況を生み出せている。うん。実に素晴らしい。
しかし、リアムの目標(世界観)が、「悪徳領主になって国民を苦しめて自分だけウホウホ」という国民にとっては好ましくないものでしょう。それが、国民に知られておらず、行っている政策の結果が良い方向に進んでいるので何ともないの。ですが、『君主論』では「リーダーは憎悪と軽蔑を絶対に避けるべし」とあり、この状況は本格的な反乱が起きる危険が存在していることでもあります。
サイコパシー
よく知られている言葉に「サイコパス」というのがありますね。あれです。サイコパシーとは2つ種類があります。一方が「人が痛がっている姿を見て快感を感じる」性格。もう一方は「自分の感情にも他人の感情にも鈍感」という性格。一般的に「サイコパス」として知られているのは1つ目ですね。ここでの主なサイコパシーとは「自分の感情にも他人の感情にも鈍感な性格」です。2つ目の特徴がある場合、どんな残酷な行為でも合理的な行動でも行ってしまうということです。
ちなみにサイコパスが多い職業ランキングで次の職業が上がっています。10位 公務員
9位 シェフ
8位 聖職者
7位 警察官
6位 ジャーナリスト
5位 外科医
4位 営業マン
3位 芸能関係
2位 弁護士
1位 会社社長
<サイトから引用>
そしてサイコパスが多い学部ランキングでは政治、経済、法律の学部がランクインしていました。
身の回りのことで言えば、「社長が社員を大量リストラ(解雇)をする」とかそうですね。社員の首を切るということはなかなかしにくいことですが、社長などのリーダー気質のある人は平然と何の感情もないように行うことができます。
『俺は星間国家の悪徳領主!』では主人公リアムの性格について「ん?」と思うことがあります。戦争や人殺し、処刑はたやすくできるのに、結構怒りを表す場面が多いんです。通常、サイコパシーは他人の痛みを感じないので残虐的な行為が容易に行えるのですが、自分の感情も感じにくいので、怒りを頻繁に感じる描写は筋が通っているのかと疑問視ししています。でも、主人公リアムが2番目のサイコパシー気質を持っているのは確かでしょう。
それに加え、このリアムは1番目のサイコパシー気質も持っているんです!作中に「領民が苦しむ姿を見たい」「領民を苦しめるために増税する」という描写が度々出てきます。もしかしたら、他人の苦痛を感じないどころか、快感を感じる域にまで到達しているのでしょうか。と私は分析します。
まとめ
リーダーになるのがぴったりな性格は「自分大好き」「合理的な判断」「感情に鈍感」な性格がある人だ。
ちなみに性格は半分遺伝子、半分人間関係などの環境で決まっているため、変えることが可能ですよ!
ということで今回はここまで!
あなたに新しい世界の訪れがあらんことを!
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