男女雇用機会均等法と女性に関する制度|社会人なら知っておきたい労務知識
こんにちは。複業フリーランスのさつきです。
共働きが増えM字カーブがL字カーブへと変化し、女性の管理職比率が14%弱の昨今。働く女性を取り巻く環境は変化し続けています。
今回は、社会人なら常識的に知っておきたい、女性と雇用を取り巻く制度についてポイント絞って解説していきます。
男女雇用機会均等法とは
労働者を守る労働基準法では、実は男女平等について十分に規定されているわけではないことをご存じですか?
労働基準法上では、「労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」と定められており、賃金以外のことには触れられていません。
そこで出てくるのが男女雇用機会均等法です。
この法律では、「労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」と定められています。
性差別が禁止されるのは、具体的に言うと次の事項です。
性差別が禁じられている事項
どれも雇用されるうえで非常に重要な事項ばかりです。これらすべてを「女性だから」という理由で、男性と差をつけることは禁じられています。(その逆もしかりで、男性のみ待遇を下げるなどの差別ももちろんNGです)
なお、男女雇用機会均等法では、性別に関する「間接差別」というものも禁止されています。
直接的に「今回の求人は男性のみ募集しています!」と表記していなくても「身長~センチで体重~キロ以上、このくらい体力がある人」というように、女性が満たしにくい条件を合理的な理由なく入れて募集することを間接差別と呼ぶのです。
男女雇用機会均等法で定められている解雇無効
男女雇用機会均等法では、妊娠中の女性労働者や、出産してから1年を経過していない女性労働者に対する解雇は無効になると定められています。
妊娠や出産を理由として、女性労働者を解雇するのは当たり前ながら違法です。
ただし、事業主が当該労働者の解雇理由が「妊娠・出産等の理由ではない」と証明した場合は解雇が有効になってしまいます。
あくまでも、妊娠中と産後1年以内の方の雇用を守るために作られたルールと言えます。
女性を取り巻くさまざまな休業・休暇
ここからは産前産後休業や育児時間、生理休暇についてご紹介します。
産前産後休業
産前休業とは、6週間以内に出産する予定のある女性労働者が休業を請求した際に、労働者に与えられる休業です。双子や三つ子など多胎妊娠の場合は、14週間となります。
産前休業は、労働者が請求して取得する任意の休業です。
一方、産後休業は任意ではなく、産後8週間を経過しない女性を絶対に就業させてはいけないという休業制度です。
ただし、産後6週間たってから、女性労働者が「働きたい!」と請求をして、かつ医師が「もう働いても支障ないですね~」と認めた場合のみ、業務復帰してもOKとなります。
育児時間とは
育休や産前産後休業は一般的に知られていますが、育児時間についてご存じない方も多いのではないでしょうか。
育児時間とは、生後満1年に達しない生児を育てる女性は、休憩時間以外に1日に2回、最低でも30分は母乳をあげたり面倒をみたりする「育児時間」を請求することができる制度です。
※ただしこの育児時間は男性対象外となります。
生理休暇とは
整理日の就業が著しく困難な女性は、生理休暇を請求することができます。勘違いしている方も多いのですが、生理休暇とは会社が勝手につくった制度ではなく、広く一般的に認められた制度なのです。
生理休暇の日数には制限がなく、半日や時間単位でも請求が可能な点もポイントです。
尚、これらの女性に対する休業や休暇制度は、広く認められた制度ではありますが、原則としてノーワーク・ノーペイが当てはまるので、使用者(企業)が賃金を払う義務はありません。
個人的には、女性のからだの問題はしっかり認められるべきですし、今後の女性労働者の雇用を維持するためには、多少なり賃金保証がある方が望ましいと考えています。
女性の働く環境を支える制度を知っておこう
女性をとりまく労働環境は大きく変化を続けています。共働き世帯が増え、女性の社会進出が増えるなかで、国や民間企業はどういった対策を行っているのか、女性自ら確認することは大切です。
まだまだ男女差や制度上の課題は多数あります。しかし「国のせいで働けない」と嘆くよりも、まずは自分の目で現状制度に関する知識をつけて、当事者として行動していくべきではないでしょうか。
「女性×働く」をテーマにした記事をほかにも公開しています。ぜひ参考にご覧ください。
https://hrnote.jp/contents/saiyo-mamarinc-0807/