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全国水族館の旅【8】みなとやま水族館

廃校をリノベーションして活用するという取り組みは、全国の自治体で実施されていると思います。その活用方法の一つに「学校施設を水族館にする」というものがあります。
新たな観光スポットとして地域を盛り上げるのはもちろんのこと、人々に生き物との学術的な出会いの場を提供するのです。その事業を実施している街の一つが神戸です。


小学校が水族館に大変身! 神戸に生命のオアシス誕生!!

活気ある都市だし港街だし中華街はあるし、神戸って横浜っぽいなぁと思う今日この頃です(笑)。
みなとやま水族館は神戸市内にあるため、まずは街の中心部に移動します。JRを使うか阪神電車を使うかはお好みですね。

神戸はとてもきれいな街です。水族館へのアクセスはいろいろありますが、筆者はJR元町駅スタートを選択。

JR元町駅前からバスに揺られ、坂道を登っていきます。中心部から少し離れた商店街の道を進むと、コミュニティ型の複合施設NATURE STUDIOに到着します。2015年に廃校となった湊山みなとやま小学校を丸ごとリノベーションした複合施設であり、自然と調和した雰囲気が魅力的です。
みなとやま水族館は、この施設の1階(小学校の図書館と理科室にあたる場所)に位置しています。

ご覧の通り、小学校を改装した複合施設です。施設内の構成は、水族館・店舗・ビール醸造所・保育園など実に様々です。
案内図を見ればわかるように、NATURE STUDIOには緑地もあります。自然と共に暮らし、つながりを作るというビジョンにふさわしい設計です。

水族館観覧の前後でランチタイムをとる場合には、2階のフードコートの利用を推奨します。美味しい料理が味わえるので、食事もしっかり楽しみましょう。

2階の体育館をフードコートにチェンジ! 3つの店舗が入っています。とってもオシャレですね。
プレートでカレーを注文しました。筆者はカレー好きです(笑)。

腹ごしらえしたら、いよいよ水族館へGOです。
神戸の学校から生まれた水族館には、どのような生き物たちがいるのでしょうか。

水族館の入口からも、小学校の面影が感じられます。

幻想的な校舎の中で過ごす生き物たちとの時間

リラクゼーション全開! 癒しのアクアリウム

展示ゾーンに入ると、すぐに来館者は非日常の世界に引き込まれます。秀逸な水槽展示と空間の見せ方により、時間の流れが違う世界に来たかのような感覚に見舞われます。

不思議な雰囲気の漂う展示空間。腰かけクッションが置いてあり、リラックスしながら水槽を眺められます。
館内・水槽内の照明も落ち着いた感じの明度であり、水の中を見ているととても癒されます。
天井には不思議な形のオブジェが設置してあります。本館のファンタスティックな雰囲気に引き込まれますね。

飼育されている生物種はバラエティに富んでおり、淡水・海水の双方の水棲生物に出会えます。館内の不思議な空気にふさわしい、とてもユニークな生き物たちが待っています。

海藻にカモフラージュするボロカサゴ。ゆっくりと獲物に近づいて丸呑みにする、ちょっと怖い捕食者です。
オドリカクレエビ。スケルトンボディなので、青い照明の効果により想的な色合いに見えます。自然界での彼らは、魚の体表に付着した微小生物を食べる掃除屋さんです。
こちらは淡水魚トランスルーセントグラスキャットフィッシュ。半透明の透け透けボディが美しいです。こう見えてナマズ類の一種です。

来館者は自然と館内の雰囲気に身を任せ、ゆったりと回ることになるでしょう。展示室ごとに照明や水槽の配置に工夫が施されており、いつの間にか別世界にいるかのような気分にさせてくれます。

靴を脱いで上がる展示室もあります。床が柔らかくて気持ちいいです。
クラゲを展示する円柱型の水槽。ガラス面が丸いのでクラゲたちも泳ぎやすそう。
四面ガラス張りの水槽は、この展示室とマッチしていると思います。来館者はカーペットの上でくつろぎながら、好きな方向から魚たちを見ることができます。

生き物たちの魅力を引き出す楽しい工夫

哺乳類が好きな方にとって、コツメカワウソは重要なアイドルだと思います。本館のカワウソたちはとっても元気であり、彼らの水中での躍動を広い水槽で存分に味わうことができます。

水槽の壁面にはトンネルがあり、奥からコツメカワウソたちが出現。彼らの力強さがよくわかります。
ロケットのごとく勢いのあるカワウソたち。可愛いというより、かっこいい!

生き物の生態に合わせ、来館者の動きを誘導してくれるのも本館の楽しいところ。チンアナゴと目線を合わせてゼロ距離まで迫れます。

「なんだろう、この穴は?」と思って、屈みながら入ってみると……。
チンアナゴの水槽の反対側に移動。床がカーペットなので、ゆっくり座って見れそうです。
チンアナゴの目線の高さでゆったり観察。本当に、この水族館には癒されます。

オシャレに改装した箇所がある一方で、小学校らしさを活かした展示室も味わい深いです。施設の特色が感じられる素晴らしい工夫だと思います。

ここは理科の準備室だったような雰囲気ですね。小学校時代を思い出し、懐かしい気分に浸れますね。
理科室らしさを醸し出す展示水槽。マルメタピオカガエルが飼育されています。

生き物の魅力的な見せ方、来館者の楽しませ方が綿密に考えられていると思います。それぞれの生き物の生態や特徴を深く理解したスタッフさんたちだからこそ、人を楽しませる展示が作れるのだと思います。

トビハゼやシオマネキのように水中ではなく泥湿地に棲む生き物たちは、上から見る展示構造となっています。
ミナミトビハゼ。泥の表面を這うだけでなく、尾の力を利用してジャンプすることもあります。

みなとやま水族館 総合レビュー

所在地:兵庫県神戸市兵庫区雪御所町2-24-101

強み:幻想的な雰囲気を醸し出す独特の展示空間、水槽の配置や構造など生き物の魅力を引き出す展示の工夫、柔らかい床やクッションなど来館者にとって心地良いサービス

アクセス面:神戸市内の主要な駅(各線の三宮駅・元町駅、JR神戸駅)からバスが出ており、「石井橋」バス停から水族館までは徒歩1分です。関西にお住まいの方なら自家用車で来るのもありだと思いますが、やはり神戸市ということもあり、駐車料金はかかります。神戸の繁華街も合わせて観光されるようであれば、公共交通機関の利用を推奨します。

新しい水族館ですので、施設全体がとてもきれいです。ファンタスティックな雰囲気が展示エリアを包み込み、来館者は身も心も癒されるでしょう。展示の見せ方に楽しい工夫が見られ、元気な生き物たちの姿を間近で観察できるのが嬉しいです。生き物たちと過ごす不思議な時間は、きっと神戸旅行の貴重な1ページとなるはずです。
NATURE STUDIOにはフードコートやビールの醸造所も入っているので、飲食店が近いのも大きな強みです。まさに施設全体が神戸のオアシスと言えるでしょう。

NATURE STUDIOの敷地内の池では、ニジマス釣りを体験することができます。池の水には清らからな地下水が使われています。

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