あたたかい手
生きていれば何回も耳にする「手が冷たいのは心があたたかいからだよ」とかいう迷信。
それでいうと私は心がキンキンに冷えきっている。その特性を活かし、長年人々の手をあたためる役目を担ってきた。家族はもちろん、暖房がろくに効かない高校時代の需要は非常に高かったといえる。
大好きな歌の自担(※類語=推しメン)のパートにこういうのがある。
聞くたび思う。私の方が絶対に手があったかいよ。私があたためる側だよ。言っとくけどね、どう考えてもあーたの方が冷え性って顔つきだよ。正直握らなくてもわかるから検証もしなくていい(できない)。任せときなよ、どんな冷たくてつらいときもどうにかするから。ちょっとやそっとのことじゃ冷たくなんないんだからね、と。
一方でうらやましくもある。冷たい指先を好きな人にあたためてもらうというのはなんてロマンティックなことだろう。私は生粋のロマンチストなので、しっかり憧れている。
かといって手の温度も心の温度もコントロールできないからどうしようもない。リアリティとロマンスの狭間でうだうだうだうだしながら今夜も母の手を包むのであった。
冬にぴったりのこの曲