鎖月いのる@短歌|エッセイ|詩
鎖月、エッセイに挑戦します
鎖月いのるの短歌を月ごとにまとめた冠夜集(かんやしゅう)。 日々のあれこれや特別な思い出を約三十一字で表します。
鎖月いのるの詩をまとめた机上の星。 不定期更新です。
鎖月いのるのラジオ「そうは問屋が卸さねえ」の番組ブログ 放送は記事から聞けます。
9月、謎の繁忙期。口内炎がふたつできた。ヤーズフレックス3シート処方してもらい金がぶっ飛んだ。定時後、取引先からのどうかしてるメール。話の通じない社員。通じた頃には午後8時。 泥まみれの社会人生活です、なんていいたくなるような金曜日だった。 今週末は散髪した。顔周りの毛をウルフっぽくしてもらうこと、先週むしゃくしゃして切った前髪を整えてもらうこと、後ろ髪も全体的に短くしてくれというむちゃくちゃなオーダーでも叶えてくれる美容師さん。行きつけのジャズ喫茶が縁で、社会人になってか
先日、生まれて初めてつけ麺を食べた。 つけ麺を食べたことがない諸君のために説明しよう。つけ麺は平皿に茹でられた麺、どんぶりにスープが入った状態で提供される。私が頂いたつけ麺は中華そば麺であった。 この麺を箸で程よく掴み、スープの中につける。それを美味しそうにすする!私はうどんやそば、ラーメン、そして今回のつけ麺もすすって食べる派だ。 この、掴んで入れて再度掴みすするという反復を麺が無くなるまで行うのがつけ麺である。 絶対にラーメンでいいだろ。 ラーメンはそもそも麺がスー
連作久しぶりのドライブ ゴトゴトと海岸線を汽車は行く 車窓が切り取る恐怖の青さ いくつになっても私は父母の子であるらしいひかる白桃 ばあちゃんの卒塔婆を積んだ白ワゴン 久しぶりにドライブしようか 父に似た老人を見る 夕空に ノアザミ シオン 風の匂いに 紅色の百日紅逝く高架下 夏まで待てないと言ったきみ 週末は雨 憂鬱なこどもになった白い夏 窓の外で揺れるぬいぐるみ 労働に向かぬ身体と精神が五月雨式におねんねします ぼんやりと位置づけていた在り方はつまり子宮
ジャズを、ランダムなプレイリストではなくアルバム1枚をそのままかけてくれる喫茶店。 コーヒーカップを置く時にイギリス式にしてくれたり、イギリス式で置いてからアメリカ式にしてくれたりする喫茶店。 メニューのチーズケーキが、ベイクドチーズケーキを指している喫茶店。 大きな声を出してはいけない喫茶店。 でっかいでっかいホットケーキがある喫茶店。 建てられた当時のままを残していて、「化粧室」と明朝体で書かれた先の扉を開けた時で、便器だけが最新になっている喫茶店。 このよう
肘を直角に曲げて腕を垂直にすると、うっすらとした線が二つ、等間隔で出てくる。 赤ちゃんのむちっとした腕を「ちぎりパン」と称して愛でることがあるが、おそらくその名残りだろう。乳児線という呼び方もあるらしい。なぜこれが残るのか、残念ながらインターネットに信用できる情報はなかった。 今では信じられないくらいに小さかった頃、「いのるはどうやって生まれてきたが?」と母に質問した。 母は『お母さんが小麦粉をいっしょうけんめいこねてこねて、ふわふわのいのるになったがよ』と言った。 さす
連作ポジディブ希X念慮 顔つきが強ばっている午前九時 口紅を塗る余裕はなくて いなくても一緒じゃないか 私など 水で流したクロチアゼパム 息を吸う 吐く息を吸う吐、息を吸、吸う、吸、吸う、吐く、吸う、吸う、吐、吸う ボジティブな希死念慮に包まれてる あたし 来世は水星になる 「死にたい」にエモを感じる健康なからだとこころ大事にしろよ 連作でないものいつまでもぼうっとしてていつの日かぼうっとした化石になれるよ どうしてもドアを開けられない朝に慣れてしまって涙も出
ヨレヨレのパンツを干していたら ちょっといろいろ書きたくなった、ので書く。 仕事で熱意を求められるたび、辟易する。 私の人生の一部分でしかないのに出しゃばりすぎだ。なるべく残業せずに帰る。職場で排便する。コーヒーメーカーを使い倒す。考えているふりをする。聞いているふりもする。効率的に仕事をしたら新しい仕事が巡ってくるだけなので、常にカツカツを演出する。仕事ができない人間だと思われてもいい。期待されるより都合が良い。 私にいい人を紹介してくれる人、みんな男性をご用意くださる
連作プールの水ぜんぶ抜く 忙しない日々のすべてが疎ましく 五月が一年中続いてる おじさんの鶴のひと声のせいです 全部おじさんが悪いんです 単純な性格なのよわたしって 泣きたい時は我慢しないの 水の子が旅をしていてわたしまだプール開きの気配がこわい カラオケで抱きしめていた歌声を溶けた氷をきみのからだを ラミー あたしにはビリー・ホリデイがあるから いいのじゅうぶん幸せよ今 恋愛の仕方を忘れたような気がしたような気がしたような気が…… ゲレンデはあたしが連れて
こんばんは。 今日は、私が偏愛するSixTONES・松村北斗のことをここに記す。 大前提、彼の魅力を言語化してお伝えすることは難しい。だから、記せてないも同じだということは承知しといてほしい。 星の数ほどアイドルが存在している中で、松村北斗は決して「王道」の立ち位置ではないし、今後もそうだろう。 私が思い描く「王道アイドル」には渡辺麻友というレジェンドがいるので、今後その軸がブレることもない。 私にとって彼は「不正解が少ない」アイドルだ。言葉、仕草、声、もちろんご尊顔。その
女性と「何でもない」の真ん中に私はいる。 ここ一年、そういう気持ちを大切に生きている。 今、恋愛にものすごく興味がない。 そういう気持ちを大切に生きている。 いつか自分の本を出したい。 詩歌でも、エッセイでも、何でも。 そういう気持ちを大切に生きている。 そういう気持ちを大切に、生きている。
日中、 なんだこれ?!おもしろくない! なんだこれ?!おもしろくない! なんだこれ?!おもしろくない! なんだこれ?!おもしろくない! なんだこれ?!おもしろくない! と思いながら生活しているので 夜、コンビニの冷やし中華を食べるのに2時間もかかってしまったよ。 悲しくて 意味がわからなくて すごく面白いから 薬を飲んで眠るよ。 副交感神経を見つけられたら、 おやすみなさい。
私は「結婚しないよ」と親戚中に伝えている。 うちの親族は離婚率も未婚率も非常に高いので、今更おおごとになったりはしない。 「結婚したち幸せんなるとは限らんけん」 「好きなように生きないかんわ」 といった感じだ。 むしろ、てめえは赤の他人だろ!という方々のほうが「えいお嫁さんになるねえ」「孫の顔を見せちゃらないかんねえ」など余計なお世話を焼いてくださる。はは! さて、先日誕生日を迎えた私に、大叔母から電話があった。大叔母は昨年亡くなった私の祖母の妹にあたる人であり、小さい頃
起床してから身支度を整えるまでは普通だった。 きっかけは「あれどこにしまったっけ?」「あれ持ったっけ?」という漠然とした不安の連続。自分が嫌いになって、立てなくなって、外に出られない気がして、仕事に行ってもこのままな気がして、私は休んだ。 無くしてたと思ってたスーパーのポイントカードが財布から出てきた。今かよ。 とりあえず午前中休んだら回復するよね、と思いまずはその旨を連絡。ひんやりした床にぺとりと頬をつけて、泥のように寝た。寝ても寝ても満足出来ない。iPhoneだけは
連作花をむすぶ 花瓶には色鉛筆のみずいろで描いたカーネーションが息する 花になるための葉と幹と茎と根 すべてが春のための血管 錠剤を押して流して溶かす日々 不入山から始まる運河 前髪をオドレイ・トトゥにした午後は運良く苺がもらえたりする 小さな死 桜の雨は冷たくて アスファルトはアスファルトのままで 副作用につき リクルートスーツで信号を待つ子ら 生きてるだけでえらいね えらい 友だちは少ないけれど密だから普通に裏切られたりしてる(笑) 要点はパワーポイント
寝る子がぐんぐん育っている丑三つ時、Creepy Nutsの「ビリケン」をセルフエンドリピートで3時間ほど聴いていた。もちろん明日も仕事だ。 ラジオでRさんが話していたが、この曲はRさんにお子さんが誕生したことがきっかけで完成した楽曲だ。 リリックのここだけで、Rさんがわが子に対してどのくらいの愛を持っているかを感じ、立ちくらみがした。(すな) し か も Rさん、「お父ちゃん」って言ってる......! とここで一旦気を失った。 一人称「俺」のRさんが「お父ち
連作日々溺々(おぼおぼ) 暮らしから逃げたくなって走っては疲れて気づく 暮らしにいると 気がつけば頁をめくる時間すらなくて栞がちいさく眠る 血がにじむ 生きているからまた転ぶ 立ち上がるため今、息を吸う ヘルジャパン産めと容易くいうけれど わたしのいのちはわたしのいのち 悪魔の実 食べたらただの悪者になるだけの人生な気がして 春らしさ 一年のインクの厚み「完了」と大きく躍るとめ、はね、はらい 陽射しから冬の終わりがこぼれたら昨日のニットもう着られない 恋よ