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「北海道の歴史を塗り替える」を合言葉に、活躍を続ける卓球部の挑戦

札幌大学には開学と同時に創部された卓球部があり、長年の実績に加え、近年は「北海道の歴史を塗り替える」を合言葉に、ワンランク上の舞台を目指す新たなチャレンジを続けています。

そこで今回は監督兼顧問の藤倉さんと、これまで部を牽引してきた4年生、そして今後を担う3年生に、その強さの秘密をお聞きしました。

▲(右上から)藤倉健太さん(卓球部監督兼顧問)、伊藤楓真さん(リベラルアーツ専攻4年生)、市嶋ほのみさん(英語専攻4年生)、(右下から)小野彰吾さん(リベラルアーツ専攻3年生)、松野蘭さん(リベラルアーツ専攻3年生)

高いモチベーションで低迷期を克服

札幌大学の開学と同時に発足した卓球部は、長年にわたって北海道学生1部リーグから一度も降格することなく、好成績を残しています。全日本大学総合卓球選手権大会(通称インカレ)には、7年連続で出場し、2024年には決勝トーナメントに進出。全日本選手権にも2022年以降、連続出場中です。こうした強さの背景には、さまざまな取り組みや努力がありました。

「創部以来の長い歴史のなかでは、低迷した時期もあったんです」と、藤倉監督は回想します。特に女子部は、一時廃部寸前まで追い込まれていたそうです。「7年前に私が加わり、もともとの監督と二人体制になりました。ちょうどそのとき、北海道でインカレが開催されることになり、この機会に女子も復活させようと乗り出したんです」。

4人集めなければ団体戦に出られないという条件があり、部員集めから活動をスタート。「苦労しましたが、結果的に6名の学生が来てくれました。さらに幸運なことに、北海道予選でライバル校に勝って優勝し、全国大会でも予選突破できたんです」。その結果を見て強い学生が入ってくれるようになり、良い循環が生まれたと言います。

「最初に集まった6名は、全国大会に出ている学校から来たのですが、レギュラーではなかったんです。でも札大でがんばればチャンスが開けるかもしれないと、高いモチベーションで練習に励んでくれました」。その結果、7年連続で全国に出場するほどの好成績を修めるまでになったそうで、ここに復活の第一歩が記されました。

学生の頑張りに応える支援体制を強化

こうして復活した女子が部を牽引するカタチで、実力もモチベーションも格段にアップしていきました。学生たちの頑張りに大学側も応えたいと、サポート強化に乗り出しました。

「まずは環境づくりですね。優秀な学生が道外に流れないように、卓球部にも特待生制度を導入したり、後援会などの補助金や企業からの援助など、支援体制を整えていきました」。その結果、『道内で卓球を続けるなら札幌大学』と言われるようになり、実際に道内で進学を希望する学生の受け皿となって、有望な選手が入学してくれるようになったと言います。

「高校時代の実績はなくても、本学で大会への出場チャンスがあるとなれば、俄然やる気を出して急に伸びる学生もいるんです。そんな学生は真摯に練習に取り組むし、勉強も一生懸命にやります。日頃のわずか2~3時間の練習にも身が入っていますから、地力が備わっていくんですね。私は必ず本人と直接面談してスカウトするんですが、そうした自主管理ができるかどうか、そこを見極めたうえで入学を勧めています」と、藤倉監督は言います。

これに続き、「技術指導など、具体的な部活動のほうは総監督、コーチを中心に行っています。私は部員全員とコミュニケーションを密にし、学業や生活面をサポートすることで、学生に充実したキャンパスライフを送ってもらうための役割を中心に担当しています」とも。こうした支援に応えるように、学生たちも、卓球部員としてはもちろん、いち大学生としての成長も目指して、「北海道の歴史を塗り替える」を合言葉に、ますます精力的な活動を続けています。

練習を通じて磨く技術と人間性

それでは日頃の練習は、どうのように取り組んでいるのでしょうか。男子のキャプテンを務めてきた4年生の伊藤さんは、「限られた時間のなかで、自分たちで考えたメニューをこなしています。同じ人ばかりを相手に練習するのではなく、なるべく別の人と組んで練習するように声掛けをしてきました」。

一方、女子のキャプテンを務めてきた市嶋さんによると、「女子部は、実業団で活躍されていた方がコーチに来てくださるようになって、細かな技術面を指導していただけるようになりました。自分の卓球を見つめる機会が増えた結果、試合で勝ちたいという意欲に繋がって、実力がアップした部員は少なくありません」と、言葉に力を込めます。

その言葉を受けて、今後の卓球部を引っ張っていく3年生の小野さんは、「藤倉監督や伊藤キャプテンから学んだのは、人間性の向上に努めることです。試合に勝つことばかりではなく、厳しい練習を通じて人間性を磨いていきたいです。具体的には学業を優先すること、礼儀を重んじることなど、先ず大学生として、模範的な生活を過ごしたいと心掛けています」。

一方、新たに女子のキャプテンを任された松野さんは、「卓球以外の場面でも一生懸命やっている姿を後輩に見せたいですね。これまで先輩が築いてきた実績を、私の代で途絶えさせるわけにいかないので、団体・個人ともに良い成績を残すことも目標です」と、こちらも頼もしいコメントがありました。

卓球を通じ、留萌市との地域連携

札大では近年、道内各地域との連携を推進しており、その一つに留萌市との交流があります。以前から「卓球で町おこし」を図っていた留萌市と卓球部が交流を深めていたこともあり、ともに活気ある町づくりをめざしていこうという観点で、2024年3月に大学と留萌市が包括連携協定を締結。

その具体的な取り組みとして、2024年5月に「市民向け卓球教室」を開催しました。卓球部も強化合宿をかねて、学生を派遣。小さなお子さまからご高齢の方まで、幅広い年齢層を対象に、学生が卓球の指導にあたりました。参加した学生は、「競技としてではなく、純粋な卓球の楽しさを思い出すことができました」と笑顔。なかには教職課程を履修している学生や、将来指導者を目指す学生もいることから、貴重な学びの機会となりました。

最後に藤倉監督から、「部活を通じて自己実現し、4年後には成長した一人の人間として、社会に送り出すことが、最大の目標です。今後も、そこはブレずにやっていきたいと思っています」との言葉をいただきました。

この記事は、2024年9月30日札幌大学後援会発行の「後援会だよりVol.62」から転載したものです。

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