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朝ドラは新人女優の登竜門でいられるか

 9月30日から『おむすび』(NHK)がスタートする。ヒロインは橋本環奈だ。NHKの連続テレビ小説、通称「朝ドラ」といえば、ひと昔前は“新人女優の登竜門”というイメージが強かった。石原さとみ竹内結子松嶋菜々子鈴木京香紺野美沙子沢口靖子……。名前を挙げるときりがないが、数多くの有名女優たちが朝ドラヒロインの役をきっかけに大ブレイクを果たしてきた。

「朝ドラ」はもう新人女優の登竜門ではない?
 しかし最近では、そんな朝ドラの位置付けがすっかり変わっており、すでに人気を獲得している女優が主演に起用されることが多くなっている。
 たとえば4月から放送されている『虎に翼』で主人公の猪爪寅子役を演じているのは伊藤沙莉。同作出演前からドラマや映画に引っ張りだこで、「ブルーリボン賞」の助演女優賞を始めとして数々の賞に輝いてきた経歴をもつ。

 また2022年度の『ちむどんどん』で主演を務めた黒島結菜は、同作の前からとっくにブレイクして大河ドラマにも出演していた女優。朝ドラも初出演ではなく、10代にして2014年度の『マッサン』に出た後、2019年度の『スカーレット』では松永三津役として話題を呼んでいた。
 さらに少し前には、2018年度後期『まんぷく』から2021年度前期『おかえりモネ』に至るまで、6作品連続で主役オーディションが行われなかった時期がある。そこでヒロインに抜擢された女優は錚々たる面子で、2019年度前期の『なつぞら』では広瀬すず、2019年度後期の『スカーレット』では戸田恵梨香といった具合だ。

 その後、2021年度後期の『カムカムエヴリバディ』でオーディションが復活したものの、主役3人のうち深津絵里は直接オファーによるキャスティング。やはりここ最近は、知名度のある女優がヒロインを務めるのが恒例となっているように見える。
吉岡里帆も朝ドラオーディションに挑戦
 そもそも朝ドラのヒロイン役は女優にとって夢の舞台であり、人気女優たちがこぞってオーディションを受けているのは有名な話だ。たとえば『虎に翼』に主人公の母親役として出演している石田ゆり子は、実は若い頃から何度も朝ドラのオーディションを受けてきたそう。しかし一度も受かることはなく、同作でようやく朝ドラ初出演を果たすことになった。
 また吉岡里帆は2015年度の『あさが来た』に出演する以前、何度もオーディションに挑戦していたらしく、「じぇじぇじぇ!」という口癖で登場人物の気持ちを表現する『あまちゃん』の審査を受けたこともあるという。そして川栄李奈に至っては、AKB48に所属していたアイドル時代から6度にわたって朝ドラのオーディションに挑戦。そして大河ドラマ『青天を衝け』に出ている最中に審査を受けた『カムカムエヴリバディ』にて、ついにその執念が実ることになった。
 それだけ芸能界で存在感の大きな番組になっている以上、新人が抜擢される機会が減っているのも当然なのかもしれない。もし今、デビューしてまもない新人が起用されることがあれば、大きな騒ぎになりそうだ。

RBB  TODAYより

“才能の原石 が発掘されていた時代”
 ちなみに10年ほど前の朝ドラを振り返ると、2013年度前期『あまちゃん』の“のん”や2015年度前期『まれ』の土屋太鳳を筆頭として、度々若手女優がヒロインに抜擢されていた。ただ、この頃にも当時売れっ子だった堀北真希が、オーディションなしで主演に抜擢されるという出来事が起きている。
 さらにもっと前までさかのぼると、2009年度『ウェルかめ』の倉科カナ、2002年度『まんてん』の宮地真緒、2001年度『ちゅらさん』の国仲涼子など、朝ドラがきっかけでブレイクした女優がいくらでも挙げられる。やはり時代を経るごとに、新人女優の登竜門というイメージが薄れていっているということだろうか。
 とはいえ、名の知れていない女優を主演に抜擢するのは元々リスクが高いやり方のはず。その上で才能の原石を数多く発掘してきてくれたNHKの朝ドラ班に、まずは感謝を捧げるべきなのかもしれない。
 今後放送される2024年後期の『おむすび』は橋本環奈、2025年前期の『あんぱん』は今田美桜が主演を務める予定となっており、もはや知名度のある女優の独壇場となっている印象も強い。その一方で2025年度後期の『ばけばけ』ではヒロインオーディションを実施する予定らしいが、まだ見ぬ新人が発掘される可能性はあるのだろうか……。

RBB TODAY より

こちらの記事。気持ちはよく分かります。
「全然知らないけどこんなかわいい子が世の中に埋もれていたんだ」
そう僕が思ったのは国仲涼子が「ちゅらさん」のヒロインに選ばれたときだ。また「ウェルかめ」で倉科カナが選ばれたときも衝撃だった。

国仲涼子も倉科カナも、登場したときは「おいおい!すげえ芝居が下手だけど、だけどすごく一生懸命やってる!応援しちゃう!!」という感じだった。そんなヒロインが朝ドラを終えて、いつの間にか日本を代表するスターになっているなんてことが、昭和のテレビの形だった。平成もかな。

「あんぱん」ではNHKは、ヒロインをオーディションで選考した。その中にはすでに有名な女優も、全然知らない女優も、一発当てたいだけの女優もどきもいたんだと思う。その中で、厳正な審査をしたら、そりゃ実力のある女優=有名女優が選ばれてしまうのは当然のことだろう。「あんぱん」で言えば今田美桜を超える、無名のすごい新人が現れなかったということでしかない。もっといえば、恐らく最終選考なんて、有名女優しか残ってなかったんじゃないかってことも想像できる。恐らく今田美桜は実力でヒロインを勝ち取ったんだと思う。

もし無名のヒロインを世の中が(NHKが)求めるなら、オーディションの参加要項に「これまで映画・ドラマでメインの役をやっていないこと」という文言を入れなくてはならなくなる。
 女優はどんなに有名になっても「朝ドラのヒロインはやっておきたい」ということだろう。

有名女優の中には、「朝ドラヒロインをやったことがない女優」が山ほどいる。そんな女優たちに僕らは「オーディションを受けるな」という権利はないのではないだろうか。
 とはいえ、そんな中にあっても、突然ものすごい無名の子がヒロインになることがあるかもしれない。そんなことも含めて朝ドラを楽しんでみたい。


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佐藤雀@雀組ホエールズ
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