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建てモノも食べモノもアートな美術館
都内にはたくさんの美術館があります。その中でも、特に気に入っているのがアーティゾン美術館です。ブリヂストンの石橋財団が運営する美術館で、銀座にほど近い京橋にあります。
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できる限り毎月、少なくとも2ヶ月に一度は訪れます。理由は美術展も魅力的なのですが、それに加え、建物、内装のデザイン、併設するレストランの雰囲気と料理のすべてにアートを感じるからです。
言葉で説明するよりも、写真を見ていただくほうが早いですね。
建築とインテリア
まずは美術館に入ってすぐの階段です。手すりや天井の間接照明の光が柔らかく、温かみを感じます。
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エレベーターを上がって展示階で降りると、素敵な椅子が綺麗に並べられてます。シンプルな外壁や床面が椅子のメタリックな色を惹き立てます。
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美術展の作品を見る前からインテリアの良さにテンションが上がります。
作品の展示の仕方もよく考えられています。この時はブランクーシというルーマニアの彫刻家の作品展が開催されていました。ブロンズの彫刻に反射する光と影、向こう側にうっすら見えるモジリアーニの作品。センスの良さにため息が出ます。
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常設のアルベルト・ジャコメッティというスイスの彫刻家の作品からも、ガラス越しにルノワールの作品が展示されているのが見えます。館内の設計段階から、作品のガラス越しにまた別の作品が見えるよう、緻密に計算されていたのでしょう。
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エスカレーター乗り場の数字のタイポグラフィやサインもスッキリとしたデザイン。
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単なる下りのエスカレーターなのですが、吸い込まれるような美しさ。
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お手洗いまでの導線も壁もシンプル。
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お手洗いのインテリアデザインも抜かりなし。
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天井が高く開放感があります。ところどころに見られる間接照明のおだやかな光の色に癒されます。
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館内のメッシュで表現された幾何学模様のオブジェ。遠くから眺めるのと、近くで見るのとでは印象が変わります。
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展示の絵画や彫刻だけでなく、建物や内装そのものも作品と言えるぐらい美しいです。
次に、併設するカフェレストランをご紹介しますね。
アーティゾンカフェ
カフェレストランの一番奥にある席です。いつも妻と二人で行くのですが、事前に予約すると必ず4人がけの席に通してくれるので、ゆったりとしています。
中の植物の緑が映える、水のカラフェが作品のように洗練されていて、気分が上がります。
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ここでも壁一面にオブジェや書物が展示されています。
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ではお待ちかねのお料理を見てみましょう。ブランクーシ展をみた後の遅めのランチでした。2時半以降のカフェタイムにのみ提供されるガレット。
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ガレットに追加して頼んだリゾットです。網目模様に焼かれたパルメザンが鰹出汁クリームのリゾットの上に置かれています。その上にさらに、パルメザンを振りかけてくれます。シンプルで綺麗な見た目。
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中には半熟卵が隠されていました。これがおいしくないわけがないですよね。カロリー過多なのが気になりますが。
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次に、別の機会に何度か訪れたランチタイムのお料理も紹介します。
前菜のサラダです。お皿もソースも含めて芸術作品のようです。ただし、見た目だけでなく、本当に野菜そのものもソースもおいしいのです!
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サーモンのテリーヌも厚みのある荘厳なお皿と併せてアートです。
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鯛のカルパッチョは魚の赤みと蕪の白さ、野菜の緑が明るく調和しています。
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黒いお皿に盛られた、柔らかみのある黄色が美しいとうもろこしの冷製スープ。すっきりとした甘さとひんやりなので、夏にぴったりです。
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オブジェのように立体感を感じる、彩りが華やかな鶏と鴨の前菜です。グレーのお皿に白いゴルゴンゾーラソース、緑色のオリーブオイルに同系色の茄子の土台、そして、その上に敷き詰められた鶏と鴨の生ハム。レイヤーの深さに惚れ惚れします。
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スペインのガスパッチョ風のフルーツトマトの冷製スープです。縞エビのマリネと濃厚なスープの味がよく合います。
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網目模様のお皿に盛られたホタルイカとイカ墨のパスタ。フルーツトマトと野菜、ホタルイカで落ち着いた彩り。
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マッシュルームとウニクリームのタリアテッレ。味がしっかり濃いのに後味がさっぱりしてます。
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エビのリゾットはスモークされていて、香りが逃げないように蓋がしてあります。
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ベジタリアン向けにビーガン料理も用意されています。私も妻も肉食なのですが、どんな料理がでてくるか楽しみで頼んでみました。黄色い宇宙みたい。期待どおりの華やかさです。
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私たちが最もお気に入りの料理のひとつです。大葉を衣に使った低温調理された牛肉のカツレツです。彩りが美しいだけでなく、肉そのもの、ソース、野菜の全てがが味わい深く、このお料理を目当てに再訪しました。期間終了でもう注文できないのが残念。
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数ヶ月の時を経て、今度は蝦夷鹿を使ったカツレツが登場しました。低温調理されたお肉にベリー系のソースと付け合わせの木苺。全体的に赤で統一されたオシャレな一皿。実際に蝦夷鹿を食べてみると、とても柔らかい!さっぱりとしたジューシーさに感激してしまいました。
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久々の低温調理のお肉料理が嬉しかったので、もうちょっと寄って撮ります。
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デザートのミルフィーユも季節によって、変わります。一貫して盛り付けのプレゼンテーションは美しく、味も有名パティスリーに負けていません。
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ブリュレも季節によってフレーバーが変わります。プレゼンがオシャレすぎます。
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いかがでしたでしょうか。
お料理も展示作品に負けないぐらいアーティスティックですよね。このお店の良いところは盛り付けや味は当然ですが、価格が比較的にリーズナブルなことです。2024年10月時点でランチについては、前菜、パスタ、主菜、デザート、コーヒーで一人5,200円です。品数を減らした2,500円と3,800円のコースもあります。銀座にほど近いフレンチレストランと捉えるとかなり良心的な価格設定と言えるでしょう。
なお、お出かけの際には席数が限られているので、事前にネットでのご予約を強くおすすめします。飛び込みだとすぐに入れないことがあるのと、予約した方がゆったりとした良い席に通されるのが理由です。また、開催中の美術展のテーマによってメニューは変わりますので、HPでお料理の内容や選択肢を前もって確認しておくと良いでしょう。
https://www.artizon.museum/user-guide/museum-cafe/
以上になります。今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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