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演劇と配信について思うこと
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1.やっぱり演劇は生が一番?
演劇行為を成り立たせる最低限の要素は「場所」「演者」「観客」の三点だと言われています。つまり、観客が臨場しない配信公演などは本当の意味で演劇行為とは呼べないのではないか、という考え方があります。
また、どれだけ撮影技術や録音技術が進歩しても、劇場へいって生の演劇を観賞することから消費者が得る経験とのギャップをゼロには出
マイズナー・テクニックのWSについて
私が演技のワークショップを受けに行く理由は主に二つあって、一つは新しい芝居のDNAを求めて全然未知のところに行く場合、もう一つは、同じ演劇の神様(もしくは近い神様)を信じていると思われる人のところへ行って一緒に礼拝を捧げる場合です。
ペーター・ゲスナー氏、マイズナー・テクニック、モスクワ芸術座のセルゲイ、高泉淳子氏、ローナ・マーシャル、このあたりが私の演技のDNAになっています。
その中でも
セックスと芝居は似ているのか
演劇界には、誰でも一度は聞いたことがある
「セックスと芝居は似ている」という手垢がつきまくった表現があります。
ようはちゃんと相手役と舞台上でコミュニケーション取りなさいよというだけのことなんですが、これは結局自意識の問題です。
性的神経症を治療するのに「脱反省」という技法があるんですが、「脱反省」というのは、本当に一言で言ったら自分以外の事やモノに没頭して「自分自身を忘れる」ことです。
食えない役者を救うべきか
「役者が食えない」について。
最近、最低賃金と照らして役者がいかに食えていないかという検証をしているブログを拝見しましたが、演劇を労働と同列に語ることは難しいと思います。なぜなら誰に頼まれたことでもなく自分が好きでやっていることは、どれだけ時間を費やしたとしても買い手がつかない限りは対価を受け取ることはできないからです。
例えば売れない絵描きがいたとして、「この絵を描くのに100時間もかかったの
演技者にとって「開いている」「閉じている」とは何か
「何を食べるかじゃなくて誰と食べるか」が大事だという言葉があります。ようするに「おいしい」と感じるのは「食べたもの、そのもの」よりも、その時の自分のコンディションや環境に大きく左右されるものだということです。
私たち演技者は「(心とか身体が)開いてる状態」って呼んでるんですけど、一見するとすごく観念的で非科学的な概念みたいですが、結構単純です。
緊張して、変な所に力が入っていたり、相手役や対
演技についての講義ノート
とある場所で、映像制作を学ぶ人たちに「演技について」レクチャーさせていただきました。以下は講義の内容を書き起こしたものを再編集したものです。
みなさんおはようございます。本日講師を担当させていただきます、日下と申します。普段は俳優をやっています。よろしくお願いします。
では、さっそく始めていきましょう。今日の講義の目的は、ずばり「どうやって俳優とコミュニケーションを取ればいいのか」というこ
アマチュアの俳優が胸を張れる日は来るか
日本では舞台俳優のプロとアマの境が非常に曖昧という話です。
私個人の考えですが、現実的に日本の演劇界を下支えしている役者に関して言えば、職業というより生き方に近いものがあると思います。
なのでプロか否かというより「役者かそうでないか」という問いの方が本質を突いています。誰が何と言おうと自分は役者なんだと信じた瞬間からその人は役者だと思います。そうやって生きていれば、プロかどうかという問題は、
気持ちを表現する演技はダメ
演技とは、語られることを拒否するように成立しています。それは語るものではなく、生きるものだからです。
演技を語る言語世界は、常にプレロジカルな領域と、ロジカルな領域とのはざまを旋回しながら、あやうい均衡の上に成り立っています。
今の日本で、経験者、非経験者に関わらず、
何かが「演じられる」時、それは必ずどこか新劇の影響を受けていると言っていいと思います。
それほど新劇はかなり長い間、日本の演技
日本に演技のスタンダードはあるか
問・演技のスタンダードはあるか。
答・日本にはない。
演劇大国ロシアではオリンピック選手を育てるように役者を育てます。役者は学者的生活を許されながら何年も演技を研究します。
宝塚音楽学校を軽く上回る、恐るべき高倍率の演劇学校に入学し、4年間毎朝早くから夜10時過ぎまで、スタニスラフスキー・システム、ヴィオメハニカなどをみっちりとやります。
何事も1万時間トレーニングをすれば、お金を取れるよう