令和の時代に、レコードを使い始めた話1
ひょんなことから、令和の時代でレコードを使い始めました。もともとレコードが復権しているという話はずいぶん前から始まっていた気がします。
ちょっとググってみると、以下の記事とかでしょうか。なんとなく、復活の兆しが数字として確証に変わったのが2017年~2018年といった感じのようですね。
私自身は、一時期はハイエンドのヘッドホンに熱心に過ごしたものの、自分なりにアンサーとなった「tribute7」「SR-X9000」の2台によってヘッドホンを”集める”ことは終わりにしました。ヘッドホンも高価格の天井がずいぶん上がり、平サラリーマンで追い続けるのは限界だな、という点と、上記2台で、ヘッドホンとして聞きたい音の到達点にたどり着いたと感じたからです。もっと”解像度の高い音”なら、イヤホンのほうが実現可能性が高く、もっと”自分好みの音”ならスピーカーシステムのほうが向いていると感じたからです。
①情報を集めだしたら、気になってしまう(知らなければ気にならない)
それに、実際オーディオの情報集めはつい最近までやってませんでした。興味がないというよりも、それ以外のことの興味関心に時間とお金を使っていたからでした。知らなければ、勝手に時代は進んでいくんですよね。
それの最たる例は、パソコンやスマホだと思います。今が便利であれば別にネットショップとにらめっこするなんてこともなく。でも一度調べ始めると、思っていたよりも時代が進歩し、便利になってるから急に物欲が働きだす…ということがあります。
コロナも一旦は終息し、(やむを得ず)外に出なければいけなくなるシーンも増えてきました。コロナ禍の数年、社会がひきこもりを推奨していた期間は、私にとっては最高に幸せな時代でしたが、さすがに多少は元に戻そうという情勢です。
外への移動が増えるなら、そろそろオーディオプレーヤーも最新に変えるか、と思い立ちました。もともと持っていたのはFiio X7という、Android5端末だったので、さすがに今のスマホに比べたら地獄のようなもっさり感です。サブスクにももちろん対応してません。
結果、Fiio M17という機器を新たに購入。発売から3年ほどたってますが、程よく状態の良い中古があったのが縁でした。
そんなことから、私のオーディオ情報収集が少しだけ復活したわけです。
②クラシックCDの手持ちがない事に気が付く
私が所有するCDは、すべてFlacにリッピングしてNASに保存しています。500枚・10000曲くらい。そのうち、特にお気に入りの曲約300曲くらいがDAP用に別途コピーして別フォルダにいます。
ただ、このCDのリッピング、過去に2回ほどNASが大きな障害を起こして全消ししています。別箇所にバックアップが運良く残っていたりもしましたし、CD原本が残っている物はリッピングしなおせばいいんですが、現物がないものは、もちろん消滅です。
そのうち、1回目の全消しで、大学のオーケストラサークル所属の時に借りたCDや、同じ時期図書館から一時的に借りたCDのリッピングが消えたことで、クラシック曲のほとんどが手持ちから消えました。さすがに曲数も多く、誰が指揮・どこの楽団のものかまで覚えてもおらず、大学卒業からクラシックを積極的に聞くこともあまりなかったので、手持ちという意味では、クラシックはほとんどないに等しい状態でした。
今でこそ、Amazon Musicやら、つい最近はApple Music Classicalなどのクラシック特化サブスクも登場しているので、曲を聴くだけなら、わざわざCDを買う必要もないといえます。
③音楽を聴くのに、もっと手間をかけていいのでは、と思い始める
今の時代の音楽良しあしなんですが、Amazon Musicで検索し、プレイリストに突っ込んでおけば、好きな曲を好きな時に聞けるのはとてもいい時代です。私の場合は、それに加えて、NASに保存された1万曲のリッピングファイルもあります。
でも、私自身が、もっと音楽を聴くのに手間をかけていいのではないか、と感じ始めていました。CDをケースから取り出し、CDトレイに乗せて、ブックレットを見ながら集中して音楽を聴く…まあ、実際はYouTube動画を見ながらとか、作業の傍らで聞くんでしょうけど、なんかそういう手間があってもいいな、と思い立ってしまったのです。幸い、CDはたくさんあるので、ちょっと高価なCDプレーヤーでも買おうか…
などと考えたときに、「レコード」が思い浮びました。「手間をかけて音楽を聴く」にはこれ以上ないうってつけ…むしろ、使いこなせるのか?という思いも。
レコードプレーヤーなら今は比較的安価にプレーヤーが買えます。レコードプレーヤーにつなぐためにはスピーカーが必要ですが、アナログ入力のあるホームシアターシステムも持っているので、あとは「覚悟があるか」と「物理的な置き場所を確保できるか」が検討課題でした。
④時代に置いて行かれたホームシアターシステムの第二の人生
困ったことが起きました。
ゲームにはBoseのホームシアターシステム「LifeStyle 600」という機器を使っていました。しかし、このホームシアターシステム、PS5には使えません。
厳密には、使えないことはないんですが、PS5はHDMI2.1(48Gbps,4K120Hz、8K60Hz)に対応しています。PS5に接続しているモニタも同様です。しかし、BOSE LifeStyle600は、HDMI1.4までにしかし対応してません。
どうなるかというと、PS5-BOSE-モニタ とつなぐと、4K120Hzが出せず、60Hzで頭打ちになります。またHDRにも対応してません。
パソコンの音声出力には、marantz NR1711を使っており、これはHDRもHDMI2.1も対応してます。なのでこちらをPS5につなげば万事解決…なのですが、そうするとmaranz一台で全部できちゃうので、BOSE LifeStyle600の出番は皆無になります。
しかし、LifeStyle600の音は正直いって今でもなお極上です。maranz NR1711もKEFをメインとするごついシステムになってますが、LifeStyle600は統一感と肉厚さ・豊潤さという点で、ずば抜けて優れた音を出せます。このまま化石にさせるにはあまりにも惜しい……
そこに、さきほどの「レコードを使ってみるか…?」の話と合流していくわけです。
結局…その後も好都合がかさなり、レコードの沼にハマっていく…
結果として、Bose LifeStyle 600をレコードに接続すると、信じられないほどの相乗効果をもたらしました。CDなどのデジタル音源よりも、アナログ再生のほうがよっぽど上手いのではないか?というくらい、レコードと相性が良すぎました。LifeStyle600はサブウーファーの性能が異常なほど良くて、レコードのサブソニック(20KHz以下の低周波)をしっかり出してきたんですよね※
※サブソニックは本来はよろしくない効果で、デジタル音源だとこの音域自体が記録されないし、多くのサブウーファーは20Hz以下が出せないです。
低音の指向性も高いので、リスニングポジションの右側に配置すると、レコード時代の極端に左右パンを振り切った録音(高弦が左スピーカーからだけ、低弦が右スピーカーからだけしか聞こえないようなもの)なんかが、ものすごく効果的に再生できるのです。
レコードも、どれを選べばいいかわからないし、今後増やしていくかもわからない中、とりあえず近所のブックオフに、有名な曲目だけ安くそろえるか、と手に入れたのが、1枚300円のコーナーにいた、以下のメンツ。
ベートーヴェン「運命」シューベルト「未完成」オイゲン・ヨッフム指揮
ビゼー「カルメン組曲」「アルルの女組曲」シャルル・ミュンシュ指揮
シューマン「ライン」ラファエル・クーベリック指揮
確かに指揮者はマイナー(私も諳んじては知らなかった人たち)、しかし、レコードの状態が新品かって言うくらい傷なしノイズなし歪みなしだったうえに、どれも良録音・良演奏。その後の中古オークション漁りを経験し、清濁入り乱れるクラシックレコード中古を俯瞰しても、この3枚を最初に購入できたのは、相当のビギナーズラックだったと思います。
そんなこんなで、順調にレコード沼、主にクラシックレコード沼へと導かれたのだった…。
このnoteでは、主にレコードに関する私がやってみたこと(レコードクリーニングや歪みの修正など)や、掘り出してきたレコードを紹介する、なんてのをメインにしつつ、一昔前の主にヘッドホン界隈の昔話をメインに書き残していこうかな、と思っている次第です。
(続く…)