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ノボル電機 モノラルスピーカーNMP-103M
2024年最後のnoteは、クリスマスに届いたノボル電機NMP-103Mについて少し語らふと思います。
NMP-103Mは、2025年2月までCreema SPRINGSでクラウドファンディングにて購入できます。現時点ではまだ即納モデルあります。
めちゃくちゃニッチを攻めていて、刺さる人には刺さるだろうけど、一般的な”オーディオ”を期待するとちょっと違うかもしれない…という意味では、なかなかNMP-103Mの魅力を言語化するのは難しい気がします。
でも、もしこの商品に関するアンテナをキャッチして「どんなもんなんだろうなー」という人に少しでも届けばよいと思い、つらつらとまとめていこうかと思います。
ノボル電機とは何者??
多分オーディオを趣味にしてる人でも「ノボル電機」を知っている人はあまりいないんじゃないかと思います。それもそのはず、ノボル電機はいわゆるピュアオーディオ的なメーカーではなく、業務用スピーカーのメーカーです。いわゆる拡声器とか、屋外用スピーカーとかですね。逆にそういう分野にいる人なら、創業80年を超える老舗なので知っている人には知っているかと。
2021年頃に「不器用なガジェットの愛おしさ」のキャッチコピーで、「ノボル電機製作所」ブランドを立ち上げ、一般販売を開始しました。既存のオーディオに張り合うのではなく、まさにノボル電機が培ってきたノウハウを「不器用に」体現したような商品展開が開始され、スマホ用無電源拡声器で衝撃デビュー(?)をします。
クラウドファンディング「GREEN」で2021年に実施したプロジェクトは目標金額200,000円に対して約800%となる約150万円を達成し成功を収めています。
スマホ用無電源拡声器はスマホ内蔵スピーカーを拡散するシンプルな仕掛けでしたが、その後2023年に開発されたのは、Bluetoothで再生できるモノラルアンプ+モノラルスピーカーのNMP-100シリーズ。
何度かクラウドファンディングの出展を行い、軒並み目標金額を達成してきたようです。現在はヨドバシカメラなどの一部の家電量販店でも過去の製品を購入できる場合があります。
NMP-101と、NMP-103M
私が今回購入したのは、モノラルBluetoothアンプ「NMP-101」と、モノラルスピーカー(限定カラー:船舶ブルー)のNMP-103Mです。クラウドファンディングならアンプもお揃い色のNMP-101Mという選択肢があったんですが…今回はアンプは銀色のNMP-101をヨドバシで購入し、その後クラファンからNMP-103Mが届いた、という仕様です。
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サイズは小さいんですが、さすが業務用メーカーというべきか、パーツ自体の堅固性がありしっかりしているんですよね。特に音量ノブは高級オーディオっぽい重厚感があります。Bluetoothを積んでいるとはいえ、値段的には高級オーディオに分類してもいいくらいしますから…。天板からチラ見される基盤も無骨でいい感じ。ちなみにほとんど(いわゆるオーディオ的な強烈な)発熱はしないので、設置場所に悩んだりすることはないです。
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背面の配線はシンプルにUSB電源、信号出力/信号入力、モノラルのスピーカーケーブル出力(バナナプラグ)。
電源は本体側はUSB Type-C型になってます。電源は普通のUSB(2.0)で問題なく、電力消費量的にも寝落ち再生しても安心ですね。
スピーカー(NMP-103M)にはバナナプラグが最初から装着された50cmケーブルが付属しますが、一般的なバナナプラグ&スピーカーケーブルでもOKで、私は手元に余ってたスピーカーケーブル1mと、オーディオテクニカのバナナプラグでつないでます。
NMP-103Mの出力は1Wなので一般的なパッシブスピーカーを駆動させるのは厳しいと思います(普通は50Wとか100Wですね…)。まあ、NMP-103専用アンプですね。
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こちらがモノラルスピーカーNMP-103M。
スピーカー直径は15cmでCD/Blu-rayより一回り大きい程度。しかし本体はアルミ鋳造なのでずっしり重たい1.2kgです。届いたときも箱実寸に対してずっしり重たいのでちょっとびっくりします。
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裏面のこの金属ラベル、なんかどこかで見たことがある感じで、ちょっとワクワクする……人が、この商品に刺さる人だと思います。
ちなみに、2024年12月~2025年2月のCreema SPRINGSのクラウドファンディングでは、追加支払いで本体フロントの刻印パネルを追加でき、18文字まで自由な文字入れができるサービスがあります。私は多分これを注文した第1号で、名前を彫ってもらってます。過去のクラファンで注文済みの人向けに、フロントパネルのみの発注も可能です。
真ん中のネジを外すと簡単に交換可能…だと思ったんですが、備え付けのネジが硬くて、ネジ山潰しちゃったんですよね……。
まあ、ごく普通のネジなので、どこの誤家庭にも在庫が1本ぐらい転がってるでしょうから、在庫のネジで代替してます。
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ネジ山を潰してしまったので、画像でついてるネジは家にあった在庫ネジです
NMP-103Mの正しい配置(固定)の仕方がイマイチわからなくて、ただ、そこそこ重たい重量物につき何かのきっかけで落下しても困るなと思い、取り急ぎは、ブラケットを装着の上、そこに耐震ジェルをつけることでずれたり落ちたりはしないようになってます。このご時世なので、設置物は基本耐震・転倒措置が必須ですね…
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余ってた耐震ジェルなのでちょっと汚くてスマン
NMP-103Mの魅力をどう伝えるか。
さて、NMP-103Mがどういう音かと言われると、これなかなかに難しい。あっさり言ってしまうと、AMラジオの音…ただ、AMラジオでも環境によってそこそこ高音質で再生出来ているので、もっとレトロでもっとハイカットローカットなローテクサウンドです。
上記で示したYouTube動画から聞こえる音が、ほぼその通りかな、という感じがします。
このサウンドが、全く未知の人にはなかなか良さが伝わらないんじゃないかなー…と正直思っています。一方で、一度でもこの手のサウンドにどこかで触れていれば「あの時の音だ!」となってぐっと刺さるはず。昭和生まれ限定を狙っているわけではなく、それこそ紹介サイトにも記載されていた「海の家の一角」とか「小学校の屋外運動会」みたいな、環境での思い出がある人なら、思い当たる人もいるのではないか、と。
人の声に強い。音楽は流し聞きとして。
もう少し分析的に見てみると、周波数特性からも、人間の声が非常に通るサウンドになっていて、それこそ、最近流行りのYouTube雑談配信や、オーディオブックなどでは結構効果的に威力を発揮するものだと考えます。音楽を真正面で聞くデバイスでいうなら、解像度や音域はだいぶ厳しいですが、一方でボーカル物はぐっと前に出てくるのが特徴(ただ解像度は低いままなので繊細はリップノイズとか破擦音の再現とは縁遠い)。
じゃあ音楽には全く適さないのか?といわれると、全くそうじゃなくて、逆に近頃のスピーカーやイヤホンは何でも音をくっきり鳴らすので(それはオーディオの作法としては極めて正しいのですが)逆に長時間聞くには聞き疲れしやすいという点もあります。
NMP-103Mは、結局はAMラジオの音で、AMラジオが「音楽を楽しむに音質が致命的なのか?」といわれれば、特に世代の人たちにはそんなことはないのではないでしょうか。音楽としては楽しめる、むしろ、がっつり真正面から聞くのではなく、聞き流し、環境音やBGMとして仄かに鳴らす音質としては最適で、周りに人がいても、あるいはPCや他のデバイスで、それこそ先に述べたYouTube雑談やオーディオブックを鳴らしていても、人間の声を邪魔しない音質として、活躍できるものかと。
声質や楽器・音楽の性質によっては無駄に刺さる音になることもあるものの、概ね寝落ち音響機器としても最適で、私も何度かNMP-103Mの音で寝落ちできてます(笑)。アンプの消費電力もUSB接続程度なので、寝落ちしても電気代に優しく。
小さいが音はかなりパワフル(響く)
ただ、これは拡声器の宿命なのか、小音量でも結構遠くまで響く音になってます。私の普段使いの5.1chスピーカーよりも、NMP-103Mの音のほうが隣の部屋までしっかり音が漏れるくらいには、結構響きが強いですね。
その甲斐あってか、YouTubeゲーム配信での、配信者の叫び声や悲鳴は結構びっくりする音になります。音量には注意…。
1Wアンプだから音量が取れないのでは?ということは全くなく、アンプ側の音量は9時の位置でも十分大きく、むしろメイン装置側(スマホとかのBluetooth発信元)の音量を絞ってるくらいです。最大音量にしたら、屋外でも相当遠くまで聞こえるくらいの音になるのではないでしょうか(怖くて試してないですが)。本体がめちゃくちゃ重いので、最大音量でも共振することはないですが、元のドライバー側で音割れはしちゃうんじゃないかな感はあります。あくまでも屋内用にて。音量だけなら、いわゆるパリピ用Bluetoothスピーカーには負けない音を出せるといえるでしょう…。
元が拡声器と言うこともあってか、音の指向性はそれほど高くなく、言ってしまえばどのリスニングポジションでも同じような音が聞けるサウンド。設置場所にあまり敏感になる必要もないです(もともとそういう音質のスピーカーじゃないですからね)。床面から見上げる位置よりは、スピーカーが見下ろす位置にいるほうが、多少細かい音も聞こえるようになります。
さりげなく音楽のある生活の復刻、NMP-103M。
音楽がスマホで再生でき、サブスクや動画配信サイトから気軽に様々な音楽が無限に聞ける時代で、一方でスピーカーやイヤホンはますます高性能になっていますが、音楽はもっと日常に溶け込んでいる物でもよいと思うんですよね。
NMP-103Mは、音楽に対して真正面に正座して襟を正して聞くデバイスではないですが、今の時代だからこそ少し音楽を「自然と流す」ことにも少し意識を向けてみて、ちょっとだけ日々の生活に彩をつけることができるのがNMP-103Mの役割なのかなと。結局懐古主義かもしれませんが、AMラジオを生活の傍らで聞いた時代がある人にとっては、きっとそのスタイルに懐かしさを覚えて、今の時代に再び組み込めるきっかけは、NMP-103Mが手助けをしてくれるのではないでしょうか。
<おまけ>
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高音質ネットストリーミングを再生する役割のFiio R7がNMP-101をドライブしている姿。バランス出力やSTAXイヤースピーカーを強力に再生する傍ら、NMP-103Mを再生するという多様性…。寝落ち再生には最適です。