『世界の見方が変わる50の概念』人生を変えた一冊
「概念」という言葉を知っていますか?
改めて言われると、なんだろうってなります。なんとなく「考え方のようなもの」という認識かもしれません。
今回は、人生を変えた一冊(ちょとまえ版)を紹介します。
概念について書かれた本なので、これを読んで、
「が、概念?ふん、わるくないわね。べつに好きってわけじゃないんだからねっ」とちょっとでも想ってくれたら嬉しいです。
概念について
【概念】がいねん
同類のものに対していだく意味内容。
表象から共通部分をぬき出して得た表象。
もう辞書の引用からして「概念」というのは抽象的です。ジェダイのフォースより抽象的です。あまり、概念についてばかり話していると「お前の話はわかりにくい」と言われてしまいそうです。
とはいえ、抽象的なことにも強みがあります。それは、具体的な見方ではみえてこない本質について語ることができるということです。
もちろん抽象的なだけでは「わかりにくい話」です。具体的な事とむすびつけて使いこなすのが概念です。
”知性とは概念を使いこなす力”
”知力とは概念を使いこなして生きる力にかえること”
著者である齋藤孝先生のお言葉です。
知力を高め、知性を身に着けたいと思うのなら、概念を知るのがよさそうです。
本の内容
文字通り50の概念について書かれています。概念の意味を説明するだけではなく、文頭に問があり、文末に答えの一例が書かれています。本の解説にもあるように、概念は使いこなすものだからでしょう。
この本は、読むだけではもったいないです。概念を知る→どこかで使ってみることがおすすめです。
覚えた概念を使えば、知性が高まります!
2つお気に入りを紹介します。
天地有情
「天地有情」というのは、学者の大森荘像先生の概念です。
ざっくりいうと、感情とは自分の心の中のものではなく、世界そのものが感情的だという概念です。ちょっとだけ難しいです。
たとえば、天気が悪いと心も憂鬱になる、『自分の心の中の感情だと思いこんでいるものは、実はこの世界全体の感情のほんの1つの小さな全景に過ぎない』というのです。自分の気分は、世界が感情的なせいだというのです。
大森先生は、世界と人はもともとつながっているのに、「意識こそ人と世界を隔てる元凶だ」と述べています。ちょっとむずかしいですが、自意識にとらわれすぎるな、ということのように思います。
自分の気分が実は、世界の感情の一部であると考えれば、しがみつく必要はないよね、ということではないでしょうか。
感情について、脳科学では神経伝達物質で説明しているし、仏教では知識・体験からの反射だといいます。哲学的なアプローチとして、とても面白く感じました。
美意識
美意識というと、美に対する意識や感覚のことだけではありません。概念としての美意識は、自分なりの生き方のルールです。
つまり、自分の価値観のことです。それだけではなく、倫理観、性格、信念全部ひっくるめて「美意識」(ということにしちゃいます)です。
めちゃくちゃ小さいことですが、スリッパを揃えたら「オレは美意識にしたがって行動したぜ」って思うようになりました。面倒な作業を明日にしようか悩む時も、美意識の出番です。今日の晩御飯は美意識に従って、選びます。もっとも。いちい口に出していたら、かなり変態ですが。
なんか、「美意識」って使うと、自分だーって気がしませんか。
こんな感じで、たくさん概念が紹介されていますので。気に入った概念があれば、自己解釈し放題の一冊です。
教養を身に着けたい
教養とはなんでしょうか。辞書によると、【学問・知識を(一定の文化理想のもとに)しっかり身につけることによって養われる、心の豊かさ。】とあります。
教養は、心が豊かになることなんですね。「いろいろな考え方」を学ぶことは大切だといわれます。「概念」を知ることは、考え方を知ることでもあります。概念のススメという感じでしょうか。
「人生を変えた一冊」と大風呂敷を広げてみたものの、人生はどんどん変わっていきます。いまも人生を変える、新しい本を読んでいます(かっこいい!自分でいうな!)。「その時人生を変えた一冊」ということで、ご容赦ください。
教養を身に着けるなら、なにがええかって?やっぱ概念がいいねんで!
(言いたかっただけ)
『世界の見方が変わる50の概念』
(齋藤孝著、草思社、2017年)