パフォーマンスに繋がる股関節トレーニング
アスリートにとって股関節のトレーニングは必須。
様々な考え方、アプローチがあるが、いくつか紹介したい。
【トレーニング】
そう言うと、負荷をかけて“強化する”というイメージが強い。
そういった強化も当然必要である。
だが、知っておいてほしい。
股関節以外でもそうだが・・
まずは
“機能させる”
という事から取り組んでいく事が重要である。
「機能的に使えない状態」
これで負荷をかけた強化トレーニングを行ったところで効果的かどうか?
うまくパフォーマンスに繋がらないと予想できるだろう。
たまに
『股関節のトレーニングは特別に入れなくても、使わざるをえない設定にして動きを引き出す』
という感じのアプローチをされる方もいる。
色々な考え方やアプローチ方法があっていい。
しかし、個人的には機能的な部分からアプローチする必要があると考えている。
理由はいくつかあるが、わかりやすく言うと
・機能していない部分は、そもそも(機能改善しないと)使われない
・使いにくい部分は使わず、結局使いやすい部分を使う
※脳は機能的な動きを求めるのではなく、“楽”を求めているから
という事があるから。
スポーツをしていない方であれば
『少し楽になった』
『身体を動かしやすくなった』
くらいで十分。
だが、アスリートに関しては
最大限機能を引き出し、強化していく必要がある。
その為には、細かい部分から改善し、きちんと作り上げ、その身体を環境や状況に適応できるよう擦り合わせていく事が重要となる。
という事で、機能的な部分が気になれば、まずは信頼できる方にみてもらうか、こちらに相談してほしい。
問題解決の方法は絶対にある。
今回は、
【パフォーマンスに繋がる股関節トレーニング】
という事で、股関節を機能的に使えるようにするためのトレーニングをいくつか紹介していく。
まず股関節にはどんな動きがあるのか確認しておく。
・屈曲(股関節を前に曲げる)
・伸展(股関節を後ろに伸ばす)
・内転(足を内に閉じる)
・外転(足を外に開く)
・内旋(股関節を内側に捻る)
・外旋(股関節を外側に捻る)
この6方向。
これらが、複合的に組み合わさり、様々な動作に繋がる。
こういった関節の可動性をきちんと引き出しておいてトレーニング、練習に入ることがとても大切となる。
ちなみに
『股関節がかたい』
『柔軟性不足』
など、よく耳にする。
股関節は
【ストレッチなどで柔軟性を出せば大丈夫】
そんな風に考えている人が多いが、それは間違い。
“可動性” と “柔軟性”
これは分けて考えないとうまくいかないので要注意。
他にも“安定性不足”な場合もあったり、股関節に起こる問題は様々だ。
これから紹介するトレーニング動作がスムーズに出来ない方は
・可動性に問題があるのか
・柔軟性に問題があるのか
・動かす強さがないのか
・コントロールが出来ないだけなのか
・他の部分との連動性、協調性に問題があるのか
など、『うまく出来ない理由、原因』を考えてほしい。
そこがわかれば、改善してトライしていけば絶対に出来るようになるし、怪我予防、パフォーマンス向上にスムーズに繋がってくる。
さて、前置きが長くなったが本題に入っていく。
色々なトレーニングがあるが、今回は5種類紹介する。
ぜひトライしてみてほしい。
股関節の動きで【内旋・外旋】のコントロールが苦手という選手はとても多い。
まずはその動きを確認&トレーニングしていく。
【トレーニング①】
股関節を内側と外側に捻じる動き
①体操座りで手を後ろにつく
※肘は伸ばして、肩回りはリラックス
②足の幅は拳一つ分で両足を浮かせる
※太ももや足先はリラックス
③下っ腹や膝がブレないように、足を左右に動かす
とてもシンプルな動作だからこそ、可動域の確認もしやすく、ブレもわかりやすい。
【トレーニング②】
トレーニング①の進化バージョン
膝と膝の間にボール(動画は1㎏)を挟んでトライ。
出来るようであれば、手を頭の後ろで組んで行う。
【トレーニング③】
浮かしている足の股関節をしっかり動かす
①手は頭の後ろで組み、片足は横に倒し、もう片方の足は前に伸ばす
②前に伸ばしている足を浮かせる
③浮かしている足の膝を胸の方へしっかり引き付けていく
④足先を外に出していく
※股関節を押し出していくイメージで行う
※おへその向きが正面から寝かしている足の方に向く
⑤膝を起こしながらお腹に引き付ける
※おへその向きが正面に戻る
⑥足をのばす
この動作は
・体重のかかっていない状態で股関節の可動域をMAX使う
・重心移動
・無駄な力みのない状態でコントロール
など、股関節にプラスして様々な要素が必要となる。
【トレーニング④】
体重のかかった状態での股関節コントロール
①お姉さん座り
②膝が外に開いている方の股関節に重心をのせる
③重心を股関節から膝と脛の部分にのせる
④スムーズに立つ
⑤出した足を戻していく
⑥股関節を捻りながらお尻をおろしていく
※股関節とお尻でブレーキをかけるイメージ
⑦スタートポジションまで戻る
レベルアップしたい方は体重のかかっていない方の足を浮かして行う。
【トレーニング⑤】
トレーニング④の重心移動の部分を連続して行う
重心のコントロールが平面ではなく、捻りながら上下移動も入る3Dな動きになるのが難しいところ。片足は浮かせたまま、一定のスピードでスムーズに連続して動かし続ける。
5種類のトレーニング、どうだっただろうか。
スムーズにできた方、出来そうだけどうまくコントロールできない方、そもそも動きが出ない方など・・
様々なパターンの方がいたと思う。
こうした動作は手を抜くと簡単だが効果的ではない。
質にこだわってやっていくと、少しきついがかなり効果的だ。
繰り返しになるが
うまく出来ない場合、可動性、柔軟性、安定性、強さなど、どこに原因があるか考える
ここは忘れないでほしい。
正しく評価、分析しアプローチしていくと絶対にスムーズな動作の獲得はできる。
そして無駄な怪我を防ぎ、パフォーマンスの向上に繋がる。
アマチュア選手だけでなく、プロスポーツ選手も最初はうまく出来ない選手が多い。
しかし、きちんとアプローチしていく事で絶対にできるようになる。
導入する際に
『この要素が欲しいからこのトレーニングを行う。こういったコントロールができると、こういったプレーにこう繋がる』
と整理し、共通理解をもって行うので、実際のパフォーマンスに繋がるイメージの中、高い質でできる。
同じトレーニング、練習をしても人によってクオリティには激しい差がある。
ただメニューをやってみる、消化するのではなく、イメージをもって質にこだわって取り組んでほしい。
身体の状態を知ること、修正や改善、どのように進めていくのが最適なのか整理していく事、実際のアプローチとクオリティ。
限られた時間の中で最大限のチャレンジをしていくためには、選手自身も考え、学んでほしい。
そして専門家のサポートをうけながら成し遂げてほしい。