量子の神秘的な作用② ~アインシュタイン理論の誤り~

 前回のコラムでは、ニュートンの古典物理学では説明できない量子トンネル効果と量子重ね合わせを紹介した。今回は、もっと驚くべき量子の性質である「量子もつれ」について考察する。
 天才として今なお崇められているアインシュタインの相対性理論では、光より速いものは存在しないことになっている。しかし、その理論は間違っており、光より速く情報伝達できる量子もつれという現象が存在することが、実験によって明らかになっている。

「量子もつれ」とは何か

「量子もつれ」とは、一度ペアになった粒子どうしは、どんなに引き離されても、瞬時にコミュケーションをとれる現象をいう。広大な宇宙の反対側に引き離されても、原理的には結びついており、そこで一方の粒子に何か作用を加えると、もう一方の粒子が瞬時に反応する。常識からは信じ難い、神秘的な現象である。量子力学的な表現をすると、離れているが、もつれ合った二個の粒子が同じ量子状態にあり、非局所的に結びついているのだ。

相対性理論は間違っていた

相対性理論では、どんな影響や作用であっても、光より速く空間内を移動することは不可能であるとされているが、その理論では、何百キロメートルも離れた量子ペアが瞬時に影響し合うことを説明できない。光の速さでは、相互の調整が間に合わないからである。したがって、光が最も高速であるという前提にたったアインシュタインの理論は誤っていたことになる。

アラン・アスペによる量子もつれ現象の証明

 それでは、どのように量子もつれは証明できるのであろうか。今まで数多くの実験により量子もつれは証明されてきたが、有名なのは、パリ第十一大学のアラン・アスペ率いる研究チームの実験である。
 実験では、互いにもつれ合った偏光状態にある光の粒子(光子)ペアを発生させた。光子は方向性、すなわち偏向角を持っているのだが、アスペが発生させたペアの光子は、互いに偏向の向きが異なっていた。分かりやすく説明するために、ペアの二つの光子は、上向きと下向きだったとしておこう。そのペアの二つの光子を、実験室で何メートルも引き離して実験したところ、測定結果ではペアをなす二つの光子には相関があった。一方の光子が上向きだと、もう一方は下向きだった。光の速さで影響が伝わったとしても、二個の光子の間で偏向角を調整し合うことは不可能であるため、相対性理論では全く説明できない現象が証明されたことになる。この実験は何度も繰り返し行われ、数百キロも離れたペアの二個の粒子でも、量子もつれ状態の結びつきを持つことが分かっている。

 前回と今回のコラムでは、神秘的な量子の作用と、その作用が関与する宇宙の形成プロセスを紹介したが、量子という根源的なレベルで見ると、私達が教科書で習った常識とは全く異なる法則で、この世界が成り立っていることが分かる。
次回のコラムへ続く

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