青年海外協力隊のメリットとデメリット 【体験談を踏まえて解説】
こんにちは。遠藤暁(@str_se)です。
本記事では『青年海外協力隊のメリットとデメリット』を、体験談を踏まえて解説していきます。
このnoteの内容は、
・青年海外協力隊のメリットはどんなもの?
・逆にデメリットはなにがある?
・結局青年海外協力隊って魅力的なの?
上記のような流れでいきます。
ちなみに筆者の青年海外協力隊歴は以下の通り。
・2017年2月〜3月→短期ボランティア、ボリビア派遣(職種:サッカー)
・2018年2月〜3月→短期ボランティア、エチオピア派遣(職種:サッカー)
・2018年6月〜2020年6月→長期ボランティア、ボリビア派遣(職種:サッカー)
これまで3度も協力隊を経験済みです。
ということで早速、青年海外協力隊のメリットとデメリットについて解説していきます。
青年海外協力隊のメリットとデメリット
冒頭でも述べましたが、ぼくは過去に3度も協力隊を経験しています。そしてこれから述べるメリットとデメリットは、すべてぼくの実体験に基づいています。
それでは本題に入っていきましょう。
青年海外協力隊のメリット6つ
まずはメリットから紹介していきます。
ぼくが感じる青年海外協力隊のメリットは全部で6つ。少し長いですがお付き合いください。
メリット①:自己負担のお金がほとんどない
青年海外協力隊に参加するにあたり、自分で負担しないといけないお金はほとんどありません。
・往復渡航費
・現地生活費
・家賃
上記のようなお金は全てJICAから支給されます。
✔︎上限はあります
航空券は自分で選べずJICAが購入したものを使用。
現地生活費と家賃は金額が決まっているので、無限にもらえるわけではありません。
生活費と家賃の金額は国によって違います。現地の物価に相応する形ですね。
また何年かに一度生活費の見直しもされるので、ちょくちょく受けとれる金額は変わります。
✔︎むしろお金が貯まるかもしれません
国によりますが、現地生活費は少し切り詰めれば貯めることもできますよ。
また現地生活費とは別に『国内手当』『帰国後手当』と呼ばれるものも支給されます。
こういったお金に手をつけなければ、2年間で結構貯まりますね。
国内手当や帰国後手当といった『お金』に関しては別の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
メリット②:語学勉強が無料
青年海外協力隊に合格すると、必ず『派遣前訓練』というものを受けないといけません。
派遣前訓練に関しては以下の記事を参考に。
派遣前訓練で1日平均6〜7時間の語学勉強。
それに当たり前ですが、任国で毎日外国語を使いますよね。
ということは、日本にいるときより語学力が身につくのは間違いありません。
✔︎英会話スクールとオンライン英会話をやった場合
協力隊の派遣前訓練期間+2年間の任期で、かなり語学の勉強ができることがわかったかと思います。
そこで、もし2年間英会話スクールもしくはオンライン英会話を続けたとしたらいくらかかるのか、みてみましょう。
派遣前訓練と同じような少人数制の英会話スクールに通うとしたら、40分のレッスンで約2,500円〜4,500円。
仮に1レッスン3,000円で週3回レッスンを受けたとしたら、月に36,000円。
これを2年間続けたら、なんと『864,000円』です。
高すぎますね。
オンライン英会話でも月額だいたい6,000円〜10,000円。
2年間継続すると144,000円〜240,000円。
一方、協力隊の2年間の任期+派遣前訓練の70日分の語学授業は無料です。
ちなみに、語学授業で配布される教材も無料。そう考えたらヤバくないですか。
✔︎派遣国では割と忙しい
もちろん派遣国では自分の活動がメインであるため、語学勉強だけに注力できるわけではないです。
でもそれを差し引いても、英会話スクールでレッスンを受けた場合やオンライン英会話に費やすお金が浮くと考えたらめちゃくちゃお得ですよね。
✔︎語学力向上は自分次第
とはいえ、協力隊になれば必ず語学力が身につくかと言うと、そうでもありません。
ぶっちゃけ、その人次第ですね。
・派遣前訓練で本気で勉強するかどうか
・現地に派遣されてからも活動の合間を縫って勉強するかどうか
協力隊になれば『語学を勉強する環境』は提供されますが、それをどう活用するかで語学力が伸びるかどうかが決まります。
メリット③:人脈がとてつもなく広がる
青年海外協力隊の派遣前訓練では100〜200人の協力隊候補生が集まって訓練をします。
そこで本当にいろんなバックグラウンドを持っている同期と知り合えるんですよ。
・世界一周したバックパッカー
・国連ボランティア経験者
・海外の大学院卒業済みの人
などなど。
派遣前訓練、めちゃくちゃ楽しいですよ。
✔︎現地でも人脈は広がる
訓練だけじゃなく、派遣国でも人脈は広がります。
・JICA現地事務所職員
・大使館職員
・国連や現地NGO駐在員
などなど。ぶっちゃけこんなに人脈が増えることってなかなかないと思います。
ぼくはボリビアで活動していましたが、本当に素敵な職員さんたちと知り合えました。
『出会い』が協力隊の大きなメリットであることは間違いありません。
メリット④:何かあった時の安心感が強い
ぼくが2年間ボリビアで協力隊として活動していた中で特に感じたのはこのメリットですね。
新型コロナウイルスが世界的に流行し始めた頃、JICAは『全世界の全隊員を日本に一時帰国させる』という決断を下しました。
その決断の次の日にはボリビアを出て、無事に日本へ帰国。
隊員の安全を第一に考えてくれているというのがヒシヒシ伝わってきましたね。
✔︎ボリビアの大統領選挙
2019年10月にはボリビアの大統領選挙がありました。その際、市民がデモを起こして一時的にボリビア国内の治安が悪化。
その時もJICAは適切な指示をくれましたし、日によっては1日に何度も安全確認の連絡が来ました。
現地で実際に体験したからこそ分かるんですが、ここまで隊員の安全を気にかけてくれるのって本当に心強いんですよ。
何かあった時にJICAが守ってくれるという安心感はありましたね。
✔︎最終的に自分の身を守るのは自分
ここで一つ注意事項。いくらJICAが適切な指示や連絡をくれるからといっても、最終的に自分の身を守るのは自分です。
安全管理に関する全てをJICAに頼るのは間違い。
一人一人の安全対策の意識の高さも不可欠です。
「全部JICAに任せておけばいいや」という考えは捨てましょう。
自分の身は自分で守るという意識は、最低限持たないといけません。
メリット⑤:2年間の海外実務経験が得られる
将来的に国際協力の仕事をしていきたいのであれば、このメリットは大きいかと。
例えば国連で働くには2年間の海外実務経験が必須ですが、その2年間の実務経験を協力隊の2年間の任期でカバーできます。
ぶっちゃけ他で海外での2年間の実務経験を積むのって難しいので、協力隊は最適な選択肢だと思いますね。
メリット⑥:逞しい人間になれる
正直これに関しては人それぞれなんですが、個人的に強く感じたのでメリットに挙げました。
基本的に青年海外協力隊が派遣される国は日本ほどインフラや公共施設が整っていません。
食事も住居環境も日本と違うので、精神的なストレスを抱えることはしょっちゅう。停電や断水はするし、うまくいかないことなんて数え切れないくらいあります。
でもそういったものを一つ一つ乗り越えることで、以前より逞しくなれるんですよね。
日本とは違う環境に身を置いて2年間も生活すると、間違いなく成長します。
逞しい人間になりたい人は、ぜひ協力隊を経験してみてください。
青年海外協力隊のデメリット3つ
メリットの紹介が長くなってしまいました。
ごめんなさい。
ここからはデメリットを3つ紹介します。
デメリット①:いろんな制限がある
青年海外協力隊として活動するにあたって、思ったよりもいろんな制限があるなというのが経験者の率直な感想です。
例えば以下のようなもの。
・副業禁止→ブログを書いていたけど収益は出してはいけない
・クラウドファンディング→配属先が主体のクラウドファンディングならいいが、自分が主体ではできない(明確な線引きはないが、JICAとの話し合い必須)
・任地から移動する際の届出→日程、移動手段、ホテルの住所や連絡先を事前にJICAに申告し承認される必要アリ
これら一つをまとめて結局何が言いたいかというと、『めんどい』です。
まぁ移動の届出に関しては隊員の安全面への配慮で、誰がどこにいるのかをJICA側が常に把握しておくために届出が必要なのは理解しています。
やらないといけないのでやりますが、何回も「めんどくさいな」と思ったのが正直なところ。
もちろん、面倒だからといって届出を出さなかったりJICAとの約束を無視したりしたらいけません。
規則を破るとそれなりの罰則があるので注意しましょう。
デメリット②:健康や治安の不安
青年海外協力隊が派遣される国は基本的に、日本ほどインフラや公共施設が整っていません。
ですので、いろんな不安要素はあります。
✔︎健康
・マラリア
・デング熱
・狂犬病
海外では上記のような感染症にかかるケースは多いです。
狂犬病なんて、発症したら99%死に至る病気。怖すぎますよね。
もちろん、派遣前訓練でいろんな病気に対しての予防接種を受けられるので、過度に心配する必要はありません。
とはいえ食事や水の衛生状態が悪くてどこから細菌が体内に入るか分かりませんし、いざ体調が悪化したとしても病院の設備や医者の腕は日本よりはるかに劣るのが基本。
いわゆる発展途上国といわれる国に住む以上は仕方ないですが、健康面に関する不安は拭えませんね。
各自でしっかり体調管理をしないといけません。
✔︎治安
日本ほど治安がいい国は、世界中のどこを見渡してもなかなか見つかりません。
協力隊として派遣される国では、犯罪にあう危険が高いことは頭に入れておきましょう。
・近づいてはいけないエリア
・出歩かない方がいい時間帯
・その国の治安情報
上記のような情報はJICAから必ず提供されます。
JICAは強力隊員の身の守るために情報提供をしてくれますし、いろんな指示をしてくれます。
当然ですがそういった指示は守りましょう。
とはいえ、JICAからの指示を守っていれば100%安全かというと、残念ながらそうではありません。
どれだけ気をつけていても、犯罪にある確率をゼロにするのは不可能です。
まぁそれは日本にいても同じことですが、少なくとも派遣国では犯罪に遭う確率は日本より高いのは明らか。
その点はデメリットと言わざるを得ませんね。
デメリット③:家族、親戚、友人に何かあった時にすぐ駆けつけられない
2年間の任期のうちに身内や友人の不幸があった時に、すぐに駆けつけるのはなかなか難しいです。
ぼくがいたボリビアなんて、最速で帰っても1日半はかかります。
日本国内ならすぐに駆けつけられるかもしれませんが、協力隊として海外にいるとそれは叶いません。
誰に何が起きるかは予測不可能なので、万が一身内や友人に不幸があったとしても帰国まで時間がかかってしまうというのは懸念点ですね。
個人的な感想
少しだけ協力隊経験者としてのぼくの個人的な感想を。
ぼくは短期ボランティアを含めると3度も協力隊を経験しましたが、デメリットよりも遥かに大きなメリットがあったと感じています。
アメーバ赤痢になって夜中に猛烈な腹痛と吐き気と戦ったり、食中毒になって一日に15回以上トイレに行ったり、まぁいろんな苦い経験もありますが、総じて青年海外協力隊は本当に素晴らしい制度だなと思っています。
何事にもデメリットがあるのは当然ですが、それを上回るほどのメリットがあるかどうかは大切ですよね。
少なくとも青年海外協力隊は、素晴らしいメリットがたくさんあることは間違いありません。
結論:青年海外協力隊は素晴らしい制度です
かなり長くなってしまいましたね。
3度の協力隊経験を通してぼくが実感したメリットとデメリットをすべて書きました。
これから青年海外協力隊への応募を考えている人の参考になれば幸いです。
個人的には協力隊は本当に魅力的だと思っているので、ぜひ一度応募してみてほしいです。
ということで、今回は以上です。