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現代に甦るシャーロック・ホームズ【読書のキロク・メモリアル】

こんばんは、"もっちゃん"です。
記事に興味を持ってくださり、ありがとうございます。

今年度に入りnoteをはじめ、コツコツ続けてきた【読書のキロク】ですが、

ついに今回で100冊に到達しました!

特にだからといって何かあるわけではありません。

ただ、わりと継続することがそんなに得意ではない私にとって、少し達成感があります。

あくまで記録のための【読書のキロク】ではありますが、
【読書のキロク】を通してアウトプットの面白さも感じています。

【読書のキロク】がある故に、インプットを継続できている気もします。

もう少し、やってみたいと思います。

◯今回読んだ本:『シャーロック・ホームズ対伊藤博文 改訂完全版』 著者:松岡圭祐 角川文庫

100冊目を記念して選んだ本はこちらです!

いや、記念したわけでもなく、遠出に際してふらっと立ち寄った本屋でタイトル買いしてしまった本です。

でも、とてもよかった!
シャーロックホームズ好きの私としては、とても読み応えのある本だったと感じています。

◯概要

新たなホームズ譚を描き出す、極上の歴史ミステリ!

ライヘンバッハの滝でモリアーティ教授と戦ったシャーロック・ホームズは、兄マイクロフトの助けを借りて日本へ向かった。イギリスに来ていた際に面識をもった伊藤博文のもとで世話になっていると、日本を訪問していたロシアのニコライ皇太子が、警備中の巡査に斬りつけられ負傷をした。日露の関係を揺るがす一大事件に、ホームズは伊藤博文とともに巻き込まれていく――。全米ベストセラー、正典の矛盾を解消した名編、改訂完全版で登場!

上記ホームページ内容紹介を引用

松岡圭祐氏によるホームズ譚です。

ホームズに関しては、ドイルとは別の作者がスピンオフ的な感じでいろいろな作品を創作していますよね。
これもその1つといえばそうかもしれません。

ですが、とても秀逸な作品だったと思います!

◯ホームズが出てくる喜び

個人的には、まずホームズが出てくるという時点でとても嬉しいものです。

けっこうドイルのホームズの書きっぷりというと、非常にシンプルなところがあります。

以前にも記事にしたことがありますが、それがホームズの良いところでもあると思います。

でも、描写をしっかりと書いてくれるのもまた嬉しいものです。

本作では、スタートが「ライヘンバッハの滝」でのやりとりです。
そう。ホームズとモリアーティ教授がやりあって、ともに滝壺に落下したとされる、ライヘンバッハの滝です。

ドイルの描く『最後の事件』では、そこでのやり取りは描かれません。
なんせワトソンの回想録ですから。

その点、本作では初っ端からそこでのやりとりの描写から始まります。
それだけでも本編に食いつかせるとても良い演出だと思いました。

◯随所にホームズ好きを楽しませる部分が!

きっとミステリー作家はみんなホームズが好きなのではないかと勝手に考えております。

本作でも随所にホームズのネタを盛り込みながら、作品が展開していきます。

きっと、それぞれの作品をしっかり読んでいる人じゃないと気づかないだろう、と思うような細かいこともいくつかありました。

ひょっとすると、そもそもホームズに兄がいたことすら知らない人も多いかもしれません。

私は比較的ホームズの兄のマイクロフトを推している感じです。
それなりに出番がやってくるのが嬉しかったです。

ホームズを知らない人でもある程度作品を楽しむことができるとは思いますが、
ホームズを知っていることで、本作の楽しみは倍増するのではないかと思います。

◯根っからのシャーロキアンにはどうだろう?

とはいえ、ホームズの性格や描写等、原作に忠実なところが大きいですが、

原作から若干異なるニュアンスを感じるところもあります。

そう考えると、ひょっとすると根っからのシャーロキアンからは少しウケが悪い可能性もあります。

漫画原作の作品の実写化で嫌がる人がけっこういるみたいに。

私はわりとライトなホームズ好き(ロンドンのホームズの家を訪れて喜んじゃうくらい)な感じではあるので、非常に好意的に受け取ったところではあります。

コアなホームズファンの見解も聞いてみたいところです。

◯史実と虚構の入り混じった感じ

作品に関して言えば、とても秀逸だと思いました!

扱っているのは、歴史に疎い私でさえもなんとなく知っている「大津事件」です。

その裏で蠢く政府の動きについて描いています。

ホームズと共に日本のために戦うのはなんと伊藤博文

非常に面白い設定だと思いました。

かなり史実に基づいて構成されている内容でもありますので、どちらかというと

大津事件のドキュメンタリーにホームズが紛れ込んだ

といった感じでしょうか。

この史実と虚構の入り混ざった感じがなんとも言えない面白さを生み出しているようにも思います。

なんか自分でもどこまでが史実だったのか、よくわからなくなってきてしまいました。

ただ、実在する人物も、ホームズという架空の人物も、それぞれの実際のキャラクターを生かしながら、尊重しながら描かれているように思います。

作者の研究心をとても感じ、感服させられました。

文庫本としては結構な大作ではありますが、一気に読み進めてしまいました。

◯松岡氏の作品の変化に思いを馳せる

作者の松岡氏に関しては、『ミッキーマウスの憂鬱』『万能鑑定士Q』シリーズで知られているように思います。

【読書のキロク】でも『万能鑑定士Q』については、いくつか取り上げました。

当時は比較的キャッチーな内容のミステリー作家だなぁ、と思っていました。

それこそミステリーのライト層向けの作品、中高生から学生くらいがターゲットなのだろうと思っていました。

ですが、
数十年の時を経て、作家の作品はこうも変わるのだ
と本作を読んで思いました。

もちろん、とても"良い意味で”書いたつもりです。

正直、作品の練り具合も全然異なるように思います。おそらく、1作仕上げるのにものすごい構想を経ているのではないかと思います。

なんか、作品それ自体というよりも、その辺に感動してしまいました。

冷静に考えてみると、『万能鑑定士Q』についても、「抜群の観察眼」とか、ホームズに通ずるところはありますよね。

きっと、松岡氏の根底には何か通ずるものがずっとあって、
本作を通して私がそれを少し感じ取れたのかと思います。

同じ作家の作品を追う楽しさを、今回感じられたように思います。

いろいろな意味で、自分にとってとても印象的な作品でした。


そんなことを考えた1冊でした!

100冊目のメモリアルにとてもふさわしい本だったように思います。
教育書だけでなく、こうした本もやはり読んでいくことに意味はあるように感じています。

今後ももう少し【読書のキロク】は続けていこうと思います。

拙い文章ではありますが、読んでくださった方、本当にありがとうございます。いつも励みになっております。

今年度中に150冊くらいはいけるかな!?

少しでも自分の糧にしていきたいです。

自己紹介はこちらから。


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