【詩】小さな祈り
いまこの一歩を踏み出す勇気が
穏やかなほのおのごとく
あかりとなって
この胸に灯りますように
踏み出すことの喜びが
こころを解放する熱となって
私のからだの中を
波紋のようにひろがってゆきますように
橙色や桃色の光の粒子のように
ときにゆらめき、掠れ、くすぶるあかりであっても
わたしが何度も思い出せますように
やわらかな想いは砂のように
どこかへ散らばって行きそうで
両のてのひらで包んでいたけれど
気づけば雛鳥の羽は生え変わり
つばさを不器用に羽ばたかせている
わたしは今日密かに祈っている
小さな巣のなかで
風を切り、ふらつきながら
上昇と下降とを繰り返す日を
ためらいながら 願っている