いろいろな色の話「きみの色」
聲の形やリズと青い鳥の山田尚子監督の最新作、
映画「きみの色」を観てきた。
主人公のトツ子が、
幼いころから人が「色」として見えるという話で、
このへんは自分も似たところがあるので
興味深く観た。
色の共感覚
自分の場合、彼女とはちょっと違って
色は見えるものではなく規定するもの。
なんだかわからんと思うが、
その人に色が見えるわけではなく、
その人はこんな色、と色を当てはめることが
できる、というか勝手に決まってる感覚。
だから初対面の人には色はない。
色を感じるのは人についてだけじゃなく、
たとえばコトバ、
「あ」は「オレンジ色」。
「い」は「白」
「う」は「ちょっとにごったピンク」
「え」は「青にちかい紫」
「お」は「深い赤」と決まっている。
これは50音に全部ある。
アルファベットにもそれぞれ色がある。
これらは、あんまりまっとうな色
(クレヨンの基本色のような)ではなく
けっこう微妙な色である。
こういうのは色共感と言うらしく、
そんな珍しいことでもないらしい。
音色って言葉もある
本を読んでいたら、
なんとあのランボーの詩の中にも
同じような一節があるというので驚いた。
「母音」という詩。
「Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青」
というくだりだ。
おお。オレも天才詩人と同じ感性じゃん。
と喜んでしまうのだが、
誰にでも似たようなことはあるんじゃないか。
たとえば目をつぶって音楽を聴いていると
「色」の感じがする、とか。
楽器はそれぞれの色で、
それが重なり合ってまたいろんな色になる。
へたに混ぜるとキタナイ色になってしまう。
こう言うのは「色聴」と言うらしい。
意外にポピュラーな現象で、ある調査だと
幼稚園児だと約半数に現れたんだそうである。
もともと感覚というのは共通で、
成長するとそれがだんだん特定のモノに
分かれてしまうということなんではないか。
ということらしい。
大人なのにそれがあるというのは、
感覚がいつまでたっても幼いということか。
…純粋なんだ。ということにしておこう。
それにしても、ランボーとオレは色の選び方が
違いすぎるような気がするが・・・
青い鳥の青
ぬいぐるみを売ってる店で知らない子が
「青い鳥ってペンギンだったのかも」
と言ってるのを聞いた。
けっこう意外性のある着眼点だなと思ったが
…ペンギンは青くはないよねえ。
青いペンギン。
いないとは言い切れないのかもしれんが、
基本的には「黒」だと思う。白黒のツートン。
それを「青」って言ってしまうのは、
アニメやキャラクターのペンギンに
青いものが多いからではないか。と思う。
いや、ひょっとしたら
この子はペンギンに青を感じてたのかも。
だったらいいな、と思った。
映画「きみの色」は、
すごく淡い色の(内容も感覚的にも)で、
薄いんだけどビビッドな色が
何色も混ざってるような感じがした。
混ぜても濁らない水彩的なイメージ。
作品としての印象は、余白の白。
まあ人によって感じ方はいろいろだし、
それがいいと思うので、興味ある方は
ぜひ観てみてください。
…いろいろって色々って書く。
そもそもみんな色でモノを見てるんじゃない?
次回の言葉は「境目」です。
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