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「いい会社って、どんな会社?」元・地方局アナウンサーが転職活動で考えた

こんにちは、サトパンです。
就職活動をしていると、「いい会社に入りたい!」と思ったり、周囲から「いい会社に入りなさい」と言われることがあるかもしれません。では、この場合の「いい会社」とは、どんな会社を指すのでしょうか?

この「いい会社」とは何か?という問いについて、求職者目線で考えてみたいと思います!

自己紹介

私はもともと地方テレビ局でアナウンサーや報道記者として働いていました。その後、2回転職を経験しています。WEBコンテンツを制作する会社を経て、現在は社会人向けの教育サービスで動画コンテンツを制作しています。教育分野にテクノロジーを掛け合わせた、いわゆるEdTech領域です。

後半は、私が実際に行った転職活動の体験記となっています!ぜひ最後までご覧ください!

サトパンのこれまでのキャリア

「いい会社」と聞いて、連想することは?

「いい会社」という言葉から連想されることは人それぞれです。例えば、以下のようなポイントが思い浮かぶかもしれません。

  • 給料が高い

  • ライフワークバランスが整っている

  • 自分のスキルや経験をしっかり積める環境がある

一旦「いい会社」の要素について、私が思い浮かべたことを列挙してみました。その結果、大まかに「仕事の内容」「自身の成長やキャリアへの影響」「労働環境・カルチャー」という3つの視点に分類することができました。

「いい会社」と聞いて連想すること

最近、就活支援で母校の大学生と接している中で、彼らの価値観や希望の傾向にも変化が見られます。たとえば、従来のように様々な部署をローテーションする仕組みよりも、早い段階で希望する職種に就けることを重視する学生が増えています。また、コンサルティング業界の人気も根強く、「早く汎用的なビジネススキルを身に付けたい」と考える学生も多く見受けられます。

こうやって列挙してみると、「いい会社」の定義はいろいろですよね。求職者の年代によっても違うし、同じ会社でもライフステージによって変わってくるかもしれません。

同じ会社に勤めていても…

同じ会社に勤めていても…

例えば、同じA社という企業に勤めている2人を想像してみましょう。一人にとっては、A社の安定性や働きやすい環境が魅力的で「いい会社」と感じられるかもしれません。しかし、もう一人にとっては、変化の多い環境で成長を求めるニーズが満たされず、物足りなさを感じるかもしれません。

このように、「いい会社」と感じる基準は人それぞれであり、誰かにとっての「いい会社」が、他の人にとっても「いい会社」とは限らないのです。

「いい会社」の定義とは?

最近読んだ『カルチャーモデル最高の組織文化のつくり方』(唐澤 俊輔/ディスカヴァー・トゥエンティワン)という書籍の中で、「いい会社」を以下のように、定義していました。

「いい会社」の定義

「社員が期待する環境と、会社が提供する環境のギャップが少ない会社」。この定義には、とても共感しました。言い換えれば、「自分が会社に何を期待しているのか」を明確にしない限り、「いい会社」にたどり着くことは難しいということです。この視点は、就職活動において意外と見落とされがちなポイントではないでしょうか。

自己分析と業界・企業研究の関係

いわゆる自己分析的な領域ですね。「自己分析」と聞くと、自分は何をやりたいのか、自分の使命は何かといった、志に近いテーマを探るイメージを持つ人も多いかもしれません。もちろん、自分がどのような仕事をしたいのかを明確にすることは重要ですが、労働環境や企業文化、さらには将来のキャリア設計といった現実的な側面も含めて考える必要がありそうです。

その上で、「自分の期待を満たしてくれる会社が存在するのか?」あるいは、「これから受ける会社が本当に自分の期待に応えてくれるのか?」を調査していく必要があります。このプロセスは、いわゆる業界研究や企業研究の一環と言えるでしょう。

わたしの転職体験記

そんな私ですが、新卒のときはどうだったかというと、自己分析はある程度行っていたものの、業界や企業研究はほとんどできていませんでした。というのも、テレビ局のアナウンサー職だけを目指していたからです。

アナウンサー試験は少し特殊で、他の業界研究に時間や労力を割く余裕がなかったというのが正直なところです。

2社目~3社目の転職活動の際に、初めていろんな業界・企業を見た!

そんな私が初めていろいろな業界・企業を見たのは、2社目から3社目への転職活動のときでした。2社目で思ったような活躍ができずに、改めて「自分の期待」と「その期待を満たす企業」を探してみようと思ったんです。

2社目~3社目の転職活動の「自分が期待すること」

希望の仕事内容について考えると、やはり「コンテンツを作りたい」という思いがありました。ただし、その中でも「どんなコンテンツを作りたいのか?」という点が重要ですよね。1社目ではニュース、2社目ではエンタメ寄りのコンテンツに携わっていましたが、自己と向き合った結果、「誰かの考え方や行動を変えるような領域」に関わりたいという想いを持っていることに気づきました。

また、専門性を身につけることも大きなテーマでした。テレビ局を辞めた後も、「発信者であり続けたい」という思いは変わらずありました。アナウンサーとしては、何かを分かりやすく伝えるスキルに特化してきましたが、そこに専門性が加わることで、より多くの人に役立つコンテンツを届けられるのではないかと考えるようになりました。

そして最も重視したのが環境面です。報酬については、入社時点で同水準であっても、その後自分の活躍次第で上がる可能性がある会社が理想でした。また、労働負荷が適正で、長期的に働ける環境も求めていました。これらの条件が揃ってこそ、自分が納得できるキャリアを築けるのではないかと考えたのです。

期待を満たす業界・企業の特徴は?

「業界や企業の儲かりやすさ」の従業員への影響

特に報酬の上がりやすさや、専門性が身につけられるかどうかを重視していたので、「業界や企業の儲かりやすさ」は自分の期待を満たしてくれるかどうかの重要なポイントだと考えました。

明確に市場分析などができていたわけではないのですが、儲かりやすい企業は、報酬の水準が高めであることが多く、福利厚生も手厚い傾向があるのではないかと考えました。また、こうした企業は人材育成にも力を入れている場合が多く、その結果、優秀な人材が集まりやすい環境が整っているのではないかと思います。

一方で、儲かりにくい企業では、これらの逆の特徴が見られることが多いのではないかと考えました。たとえば、報酬水準が低めであったり、福利厚生が手薄であったりする可能性があります。また、人材育成に十分なリソースを割けず、結果として人材不足に陥りやすいという課題を抱えているケースもあるのではないでしょうか。

もちろん、全ての企業がこれらの特徴に当てはまるわけではなく、例外も存在します。しかし、それまでは「自分は何をやりたいのか」という視点だけで所属する企業を決めていたので、「業界や企業の特徴や状況」を見極めようと考えたのは大きな気づきでした。

製品の寿命

儲かりやすさに大きく影響するのが、「企業や事業がどの段階にあるか」という点です。マーケティングの基本的な理論である「製品ライフサイクル」によれば、製品には導入期、成長期、成熟期、衰退期というプロセスが存在します。人間と同じように、製品にも寿命があるのです。

成長期にある製品を扱っている業界や企業は、収益を上げやすい傾向があります。さらに言えば、そのような企業は自分の期待を満たしてくれる可能性が高いと考えました。

そこで「〇〇tech」と呼ばれる、特定の業界や分野にテクノロジーを取り入れた業界や企業が、成長する余地があるのではないかと考え、1つの転職の軸として設定しました。

業界・企業研究はどうした?

業界・企業研究の全体像(サトパンなりの)

では実際、業界・企業の分析はどうすればよいのでしょうか。私は、業界や企業の研究にも段階があると考えています。

まず「さまざまな業界を俯瞰して見る」フェーズがあります。この段階では、広く視野を広げて可能性を探ります。その次に、「特定の業界を詳しく調べる」フェーズ。そして最後に、「個社を詳しく見る」フェーズです。ここでは、候補となる企業をさらに絞り込み、面接に向けて具体的に会社の特徴や事業内容を調べていきます。

サトパンの業界・企業研究の例

ただし、業界・企業研究は必ずしも上から順番に進める必要はないと感じています。実際には、各フェーズの分析を並行して行うのが現実的ではないでしょうか。

私自身、転職エージェントを利用しましたが、まず転職の軸を基準にいくつか求人票をピックアップしました。どちらかというと「個社を見る」から始めた感じですね。
その後、選んだ企業を「OpenWork」などの口コミサイトで検索し、カルチャーや報酬水準などをチェックしました。口コミサイトの情報は、退職者が書いている場合が多いため、コメントを鵜呑みにしすぎないことは重要です。ただし、コメントの傾向は掴んでおくべきだと感じました。たとえば、多くのコメントで労働時間への不満が挙げられている場合、その傾向は少なからず存在すると言えるかもしれません。

さらに、良さそうな企業が見つかった場合は、その業界全体や関連業界の他の企業についても調べました。私は当初、WEBメディア業界を中心に探していましたが、あるEdTech系企業が自分の適性に合っているのではないかと感じ、そこから同じ業界の他の企業も調べるようになりました。このように、個社を先に調べてから業界や関連業界へと範囲を広げるアプローチも有効だと考えています。

実際に応募や面接を受ける段階に進んだら、自分の強みをその企業でどのように生かせるのかを具体的に考える必要があります。このために、関係者に直接インタビューをしたり、その企業に関連する書籍を読んだり、To C向けのサービスがあれば実際に利用してみるなど、さまざまな調査を行いました。

こうした調査をもとに、面接を受ける企業ごとに想定問答集を作成しました。ただし、これを丸暗記するというよりも、自分がその企業で何ができるのかを頭の中で整理し、明確に伝えられるようにするためのツールとして活用しました。

「期待していること」を満たせるかが、入社企業の基準

入社企業を最終判断したスプレッドシート

最終的にA社とB社の2社から内定をいただき、どちらに入社するか非常に迷いました。最後は思い切りも重要だと思いつつ、できるだけ定量的に判断しようと考えました。そこで立ち返ったのが、「自分が会社に期待していること」でした。

スプレッドシートを使い、自分の期待をリストアップし、各項目に重要度に応じた倍率(1〜3)を設定しました。その上で、A社とB社がそれぞれの項目をどれだけ満たしてくれそうかを5段階で評価し、重要度の倍率を掛け算して合計得点を算出しました。その結果、B社がA社を上回り、最終的にB社への入社を決意しました。

とはいえ、最終的な決め手となったのは、面接でお会いした社員の方々の印象です。皆さん素敵で、この人たちと一緒に働きたいと思えたことが大きな要因でした。

自分にとっての「いい会社」とは?

その会社を「いい会社」にできるかどうかは、最終的には、自分自身の入社後の活躍度にかかっているのだと思います。入社してから3年ほどが経ちましたが、日々の学びや成長の必要性を感じています。

ただ、そのための努力を続けられているのは、周囲の支えや、業務外の学びを推奨してくれる企業文化のおかげだと感じています。自分一人では成し遂げられないことも、このような環境があってこそ前に進めているのだと思います。

「いい会社」とは、万人に共通するものではなく、自分自身が期待する要素をどれだけ満たしてくれるかで決まるものです。そのためには、自分の期待を明確にし、業界や企業の特徴を見極め、面接やリサーチを通じて企業を深く理解することが必要です。そして、自分が納得できる環境で、努力を積み重ねていくことが、「いい会社」を見つける道なのだと実感しています。

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