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王子さま
どうぞ探してください
こんな煙のなかに凛と立つ
冬に咲く花の名前を一つずつ辿って
君は知ってしまった
もう君に何を捧げても手に入らない
君は知りたがった
もう君のどんな言い訳も耳に入らない
君は汚されてしまった
もう君がつくる微笑みさえ目に入らない
21時59分から、私はこの街が大嫌い
受信ボックスに溢れる
通り過ぎる全部の隙間に東京がある
どれほどこの谷を深く深く掘ってもこの街は東京
危なげない橋の上からプラットフォームを眺める
売られた喧嘩を買っただけよ
売り言葉に買い言葉、
売っても泣いても春が舞い戻ってくる
あたしは何も手放したりしてない
ある日突然この手の中で消えたの
ある時突然この手の中で死んだの
話より目が聞きたいな
びっくりマーク多すぎ
前世占い
他人行儀
君のいる町は好き
嫌いじゃないよ、好きじゃないけど
あたしに嫌われるくらい、なんだっていうの?
アイスティー嫌い
ショートケーキも嫌い
好戦的に光る目
ケンカなんて大好き
定期券内で遊びまわる
親不孝で裁かれそう
わたしにそんなくだらないものを求めないで
揺るぎなく定義づけられた根拠もなしに
足りないんじゃないの、持ってないの
どうしても何かのせいにしたいのなら
無関心そのものを障壁と呼べばいい
なくなったんじゃないの、元から持ってないの
恋なんていつも苦しいものだったからやめた
本当に秘めているのはそんな、どんな、
みんな順調に大人になっちゃって
つまんないな
彼らを馬鹿にする遊びを
まだやめられないのは私だけ?
じわじわと不誠実に死に急ぐだけの
生き物に成り下がってく君達を
じっと見つめている
目先の利益を追いかけて何が悪い
私には時間がないのよ
夕焼けは冷えていくばかり
甘やかされるだけで
なんにも評価されないまま
あと半分しかない
あと半分もある
抑え込まれたキラキラが
いつか爆発しても私の知ったことではない
八方塞がりで狸寝入り
絶対的なものだけに傲らず
恵まれたものにこそプライドを持ち、譲らない
目と目でぶつかって
強い光を見たとき
梅雨前線に雁字搦めにされた頭蓋骨
痛みで通じ合うのは悪趣味
真夏のこと少し懐かしくなってきたのは
もう私が歳とってしまったから
いつかのために
その時のために
わたしは季節も忘れるほど忙しく
ファンデーション
アイシャドウ
ルージュにマニキュア、香水
ランジェリーからハイヒールの足音まで
君の五感を全部
すっかり奪ってしまいたいから、だから
永遠を探しに行き
戻ってこない
その人を待つあいだに
わたしは何度
生まれ変わったのか
終電間近のこの街が
ふいに小さく感じられて
背中の羽がすこし震えた
どの街も、どの人も
わたしに興味がない