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闘アレ生活(3) 〜気をつけても気をつけても篇

57歳のある日、いままでアレルギーなどひとつもなかったボクが、突然アニサキス・アレルギーになった。そして、ほとんどすべての魚介類が食べられなくなった。いまは魚系のダシやエキスまで避けている。
そういう生活とはいったいどういう感じなのか、ちょっとだけリアルに知ってもらうために、ちょぼちょぼ書いてくシリーズです。
暗くなる話も多いけど、リアルに知ってもらうのが目的なので、申し訳ありませんがご理解ください。
「闘アレ生活」の過去ログや他記事はこちら


7月中旬から、「魚介類完全除去」をやっている。

魚は、生はもちろん、焼いても煮ても干してもダメ。
練ったものもダメだし(蒲鉾とか)、ソースなんかもダメ(アンチョビソースとか)。
そのうえ、治療のためにダシやエキスもNGにした。
そうすると、スープ類や和え物、加工品、出来合いのお惣菜、おせんべいなんかも多くがNGになる。

前回は、ダシがダメだと麺類がほぼ全滅、という話を書いた。


こうなってくると、もう食品のほとんどを疑ってかかるようになる。

だってさ。
商品などの食品表示を見ると、マジ驚くよ。

めんつゆだけじゃなくて、ポン酢にも「かつおダシ」が使われている。
納豆や餃子についてる醤油がダシ醤油で「かつおダシ」が使われている。
ちょっと食べたいなと思った柿の種に「かつおエキス」が使われている。
コーヒーチェーンのサンドイッチに「かつおエキス」が使われている。
肉しかおかずがない駅弁に「さばエキス」が使われている。
コンビニで小腹を満たしたいと思って買った出来合いのサラダに「さばエキス」が使われている。



・・・もう、わけわからないのである。

コンビニやスーパーやコーヒーチェーンで、仁王立ちして商品の裏面をチェックしているでかいハゲがいたら、それはオレだ。


トラップは商品に限らない。

隠し味ってやつ、これがくせ者だ。

ラーメン屋のスープなんかだとまぁこちらも警戒しているから大丈夫だ(隠し味に魚介系を使っている店は多い)。

ただ、某カレーチェーンには驚いた。
まぁカレーは「和風カレー」とかそういうのではない限り大丈夫かな、と思っていたのだが、念のため、サイトから問い合わせてみたら、ポークカレーに「いわしのエキス」を使っていることがわかった。

※(これについてはまた書きます。ちなみにメール対応はとても真摯で丁寧でした)。


もう、どこにトラップがあるか、本当にわからないのである。


市販の加工食品とかだけではない。
お店でちゃんと確認したうえで食べても、そういうことは起こりうる。


昨日もあるレストランでランチをした。

肉中心のメニューを揃えている店で、付け合わせとか味噌汁とかに気をつければ大丈夫かなと思って入った。

その日もちゃんと聞いた。
「魚介類がアレルギーでほとんど食べられず、ダシやエキスも『厳密に』抜いているんです。この日替わり定食は大丈夫ですか?」と。

ランチタイムで戦場のようなキッチンやホールなのに、ホールの人(たぶんアルバイトさん)は面倒がらずに聞いてくれ、「厨房に確認しますね」とニコヤカに言い、しばらく経って「大丈夫です!」と戻ってきた。

対応は明るくてとてもいい。
ここで「え?」とかいう反応を受けて、惨めな気持ちになってしまうことがとっても多い。そういうこともなく、ここまでは完璧だ。

でも、日替わり定食についてくる洋風スープ(カップに入った小さいヤツ)がトラップだった。

※タイトル画像はその店の洋風スープではありません


そのアルバイトさんは、たぶんメインディッシュについて厨房に聞いてくれたのだと思う。

それは大丈夫だった。
でも、他に気が行かなかった。

細かい野菜などが入ったミネストローネ風スープを飲んで、「ん?」とは思ったが、店側を信用してた。

ふた口めを飲んだあたりだったか、そのアルバイトさんが厨房から急いでやってきた。

「申し訳ありません! このスープには和風ダシを使っているそうです!」


ええええええええええええええ


・・・まぁでも、なんというか、、、責められない。。。

メインディッシュに気がいって、普通に出しているスープへの意識が抜けてしまったんだよね。

わかる。
困るけど、わかる。
もしボクが重篤なアレルギーだったら、その時点で死んじゃうけど、わかる。

というか、まだまだ日本のアレルギー対応レベルはそんなもんだ。
まだ経験値が低すぎる。発展途上である。

そして、途中で気がついてくれたことによって、危険度は少し減った。
黙ってしらを切る手もあっただろうに、ちゃんと言いに来てくれただけでも良心的だ。



・・・でも、確かに何か使っているな。
喉が少しいがらっぽいもん・・・



完全除去を始めたのが7月13日。

あれから一ヶ月ちょい、アレルギーのIgE数値を下げるために、かなり厳密にがんばってきたんだけどなぁ・・・これで抗体が反応しちゃうと、また数値が戻ってる可能性もあるなぁ・・・

またイチからか・・・
イチからなのか・・・


まぁ普通に仕事をし、毎日ヒトとつきあって生きていく限り、こういうリスクは避けられない。これからも起こる。仕方がない。

でも、なんだかトボトボするわ。
途方もないわ。
何も食べられないわ。


闘アレ生活、なかなか過酷です。



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さとなお(佐藤尚之)
古めの喫茶店(ただし禁煙)で文章を書くのが好きです。いただいたサポートは美味しいコーヒー代に使わせていただき、ゆっくりと文章を練りたいと思います。ありがとうございます。