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アートをどうやって勉強していくか


前回の「アートの教養を身につけたい3つの理由」の続きです。


今回は、じゃぁいったいどうやってアートを知り、教養にしていくのか、というのをボクなりに考えてみました。


ボクは「さとなおオープンラボ」というのを主宰していて、そこで自分が得てきた「広告/コミュニケーションの知見」を10期に渡って共有してきたんですね。

そのラボは各4〜5時間くらいを10回、スライドにすると4000枚くらいを共有していくのですが、10期に渡る試行錯誤の末、やることは大きく言えば3つに絞られてきています。

「目的」「基礎」「俯瞰」

まず「目的」を明らかにした上で、それを達成するためにどうしても必要な「基礎」を根本的な部分から紐解いていきます。

それと同時に、広告/コミュニケーション全体の流れを「俯瞰」して、いま自分がその中のどこを学んでいるのか、どういう道筋でどこに向かうのかを、毎回のように確認しながら前に進みます。

この3つを意識しながら知見を共有していくと、わりと聞いている人の頭の中が整理されやすいし上達も早い、と実感してるんですね。


ということで、アートの勉強にもこれを応用しよう、と思いました。

まず、「目的」

これは、前回の記事「アートの教養を身につけたい3つの理由」で大まかには書きました。

表面的な目的は、「美術検定一級」を取ることです(相当難しいらしいので、1000日では二級がいいところかもしれません)。

ただ、それは本当の目的を達成するための手段。

ボクがアートを勉強する本当の目的は、

稀代のアーティストたちが「生」や「死」をどう考えたかをちゃんと知り、自分の思索の糧にしたい。

ということです。

なんか、小難しくてすいません。
でも、今、ボクが「アートを勉強したい!」というモチベーションにしているのはそういうことです(勉強していくうちに少し変わっていくかもしれないけど)。

生きること。生きていること。生きている輝き。生きている哀しみ。
死ぬこと。死んでしまうこと。死の意味。死の恐怖。

アートは、もちろんそういうことだけを表現したものではありません。
ただ、そういうことを表現として昇華しているものもとても多いと感じています。

そこをちゃんと受け取りたい。
そして、自分の考えを深めたい。

前回も書きましたが、自分の後半生の大きな課題として「毎日毎日、死に向かって生きていることについて、どう考えるか」があります。

そのための思索をより深くしてくれることを、ボクはアートに望んでいます。これが「目的」になります。


さて、そのためには、アーティストが作品に込めたメッセージをちゃんと読み取れないといけません。

そのために「基礎」「俯瞰」を学ぶ必要があります。

メッセージをちゃんと読み取るための「基礎力をつける」には、まず名作をなるべく多く見て、多く知って、多く解釈することだとボクは思いました。

「美術検定」の実行委員会も同じように考えたのでしょう。
美術検定の一番下の級、四級のテストは「西洋美術・日本美術の名作を知る」という出題です。

そう、まずはそこが「基礎中の基礎」ですね。

便利なことに、「美術検定四級公式テキスト」というのが出ています。


この本には100の名作が出ています。
まずはこういうのをちゃんと知ることから始めなさいよ、というメッセージと受け取りました。

なのでボクは、まずは一日ひとつ、この本の順番でアーティストごとに evernote に項目を作り、ネット検索してそのアーティストの生涯と作品を調べて書き写し、そのアーティストの代表的な名作も貼り付け、1時間くらいかけて evernoteを完成させ、じっくり勉強することにしています。

それに100日かけます(100作なので)。
そのあと、より深く、より広く、名作と言われるアートを追っていくことが「基礎中の基礎」として必要かと思っています。


ただ、ボクは絵を描かないこともあって、「そもそも絵とはどうできあがっているか」がわからないし、「なんでこれが名作なのか」が理解できなかったりすることも多いんですね。

だから、以下の本も読んだんだけど、これがとってもいい本でした。


これはいい本だなぁ。
知らないと絶対にわからないことがこんなにあるんだ、と気づきました。この本を読まなければ、絵の見方を全然間違えていた、とすら思います。

この本はオススメです。へー!が満載(初心者のボクにとって、ですが)。


で、最後に「俯瞰」です。

これはわかりやすいです。美術史ですね。

どういう背景のもと、なぜこういうアートが生まれたか。
なぜこのアーティストはこういう表現をしたのか。
なぜこの作品が名作を言われているのか。
なぜこの作品が革新的と言われているのか。

そういうことをちゃんと俯瞰で捉えるためには、美術史をしっかり知る必要があると思いました。

それに加えて、たとえば西洋芸術なら、世界史の基本的な知識と、宗教の知識、哲学や音楽の知識なんかもざっくり必要になります。

これらの「大きな流れ」の中にアート作品をプロットすると、それぞれの名画が何を描きどんなメッセージを発しているかが少しずつ見えてくる気がします。


この辺については、いくつか「ド素人用の本」が出ています。

何冊か買って比べたのだけど、薄いわりに内容が充実しているのが、山田五郎さんの「知識ゼロからの」シリーズ。

これ、内容が濃いし、無理矢理「ひと言でいうと」的にまとめてくれているので、初心者には頭に入りやすいし、こういう本を暗記するくらい読むと大きな流れがわかってくる気がします。


ここら辺の本でざっと俯瞰をしたあとに、もうちょっとくわしい西洋美術史の本を読むのがいいかな、と、今現在は思っています。

また、テーマ別に俯瞰してうわーっと話してくれる本、たとえば「世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」」や、「武器になる知的教養 西洋美術鑑賞」なんかを読むのも頭の整理になるなと思っています。


ついでに言うと、特に西洋絵画や彫刻については、キリスト教(旧約聖書、新約聖書)を知らないといろいろなことがわかりません。

ボクは30代のころに漫画で聖書を熟読して、その後とっても助かっているので(キリスト教の常識的な知識が身についた)、これをもう一度読み返すのも大事かなと思っています。

ボクが持っているのは、小学館・ラルース共同編集の全8巻の漫画聖書(昭和61年初版)。

日本人が描いた漫画ではなく、外国人が描いた漫画なので、なんというか、西洋絵画的だし、変に子ども向けっぽくしてないのも好感もてます。でももう売ってないようですね。古本しかありません。


この全8巻、納戸から出してきました。
読み返そう!

※その後、旧約聖書と新約聖書の勉強連載を始めました。



・・・という感じで勉強を始めています。

すいません、カタチから入るタイプなんですw

でもまぁ、自分に合うやり方はこういうことかな。
常に「目的」と「基礎」と「俯瞰」は意識して、1000日がんばってみたいと思っています。

ということで、今日はこの辺で。

アートにくわしい方、ぜひもっといい方法などあったらお教えいただけると助かります。ただしボクがド素人ということを前提によろしくお願いします。



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さとなお(佐藤尚之)
古めの喫茶店(ただし禁煙)で文章を書くのが好きです。いただいたサポートは美味しいコーヒー代に使わせていただき、ゆっくりと文章を練りたいと思います。ありがとうございます。