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目から鱗のハウツー営業㊵【お客様との距離の測り方】

「お客様との距離を測りたい((知りたい)」
そんな風に思ったことはありませんか?
恐らく営業職なら誰もが思うことだと思います。

営業職舞台裏


一方で、私たち営業職は、
内心こんなことも思っています。

「あのお客様はいつも手厳しくて苦手だ。」
「あの人、文句ばかり言ってくるからウザいんだよな。」
「あのお客様は話しやすくて、優しいから好きだ」
 
社内の営業職同士の会話では、
内心どころか、
堂々とこうした論評が飛び交っています。
 
お客様は多くの営業職を品定めし、
その好き嫌いから態度に差をつけています。
それと同様の事が
その逆側からも起きているということです。
 
営業職とて一人の人間です。
容赦なく厳しい態度で臨んでくるお客様より、
優しく、温かい言葉をかけてくれるお客様の方に
訪問が偏ってしまうのは仕方のないことです。
 
また厳しい態度で接してくるお客様に営業活動を展開するより、
温かい態度で迎えてくれるお客様に注力した方が効率的に契約を獲得出来そうな気がするのも当然かもしれません。
 
しかし、このように気の合うお客様や優しいお客様、
つまり訪問しやすいお客様に営業活動が偏ってしまうのも
とにかくお客様の態度を度外視し闇雲に訪問を重ねるのも、
非常に勿体ないと私は考えます。


 
今回はその辺りを丁寧に解説し、
【お客様との距離の測り方】の一つの選択肢を提供したいと思います。

まず調べるべきこと


さて、舞台裏を踏まえて
本題に戻りたいと思います。

皆さんは、
どのようにお客様との距離を感じ取っていますか?

恐らく営業職の多くは、
現時点でのお客様との距離を
お客様の自身に対する態度だけで測ろうとしています。
何故なら、それ以外に測定する術が思いつかないからです。

果たして、それで正確に測定できるでしょうか?
私は出来ないと思います。

私がオススメするのが、
 優しいお客様はあなただけに優しいのか、
厳しいお客様はあなただけに厳しいのかを調べることです。

 
そのお客様が全ての営業職に優しく、
あなたがその中の一人に過ぎない場合は
お客様との距離が近いとは言えません。

 
「自分に対して優しい」という事実、
それだけではお客様との距離が近いとは言い切れない、
ということになります。
 
これとは異なり、
他の営業職にはそうでもないのに、
あなただけ、またはあなたを含めたほんの数人にだけ優しいとしたら、
「自分に対して優しい」という事実は、まるで異なる意味を持っています。
お客様との距離が近い可能性が高い、ということです。
 
 
逆にあなたに厳しいお客様も全ての営業職に厳しいのなら、
それほど気にする必要はありません。
そういう方なのです。
 
確かに、お客様の指摘や要望が厳しいモノだとしても、
それに応えようと努力することは勿論必要です。
(むしろ態度の厳しさよりも、それにどの程度応えようとしているのかが
あなたとお客様との距離を決定づけるのかもしれません。)
 
しかし、自信を失ったり、自分を卑下する必要はありません。
あなた自身の態度や姿勢にその厳しさの原因を特定する必要も、
契約獲得を諦める必要もありません。
 
この場合は「自分に対して厳しい」という事実が、
お客様との距離が遠いことには直結していないということです。
 
営業職側から見て、
『いかにそのお客様が接しやすいか、
いかに心地いい存在であるか』ではなく、
あくまで、
『お客様から見てあなたはどのように位置付けられているのか、
他の営業職と比較した評価はどうなのか?』
このことを注視して、距離を測定してください。

 

【応用編】


この応用編の話をしましょう。

例⑴


例えば、あなたが友人であるAさんから、こんな話を聞いたとします。
 
Aさんは仕事の関係で区役所に初めて行ったそうです。
そしてその時に、ある職員がとても親切丁寧に対応してくれたそうです。
Aさんはそのことを振り返って、
「区役所に行ったことが無かったこともあって、
これまで役所の職員は全て融通が利かず、
不親切だと思い込んでいた。
あの職員は本当に素晴らしい人だ」と言っています。
 
さて、あなたはこの話をどう捉えるでしょうか?
 
恐らく、この話を聞いた大半の人は、
Aさんの話通り、その職員の素晴らしさを物語る話だと思うはずです。
勿論その通りかもしれません。

抜け落ちている視点


しかし、こういう可能性はないでしょうか?

実はこの職員は普段は親切な対応などしておらず、
そのように評価されたことなど一度もない、
という可能性はないでしょうか?

つまり、その職員から見てAさんがとても好感の持てる人物だったことで、
特別親切に対応をしてくれたのかもしれないということです。

例⑵


次の例も見てみましょう!

たまたま入った飲食店スタッフから、
非常に冷淡な態度を取られた場合は、どうでしょうか?

飲食店は、その接客を常に評価されますし、
役所よりも「明るく愛想よく接客すること」が求められています。

ですから、冷淡な態度を取ったことは、
そのスタッフが批判される理由としては十分のモノなのかもしれません。

しかし、そのスタッフが普段は大変素晴らしい接客をしていたら、
どうでしょうか?
この場合は、スタッフの冷淡な態度を責める前に、
まずはあなた自身のマナーや態度を疑った方がいいのではないではないか、ということです。
 
これらは
【結果】職員が親切=【原因】職員が素晴らしい
【結果】店員の愛想が悪い=【原因】店員が悪い
とは限らず、
【結果】職員が親切=【原因】あなたの態度が好感の持てるモノだった
【結果】店員の愛想が悪い=【原因】あなたの態度に問題があった
かもしれないということです。

 
 
 
これは自身の行動を振り返ってみれば容易に想像できると思いますが、
あなたという一人の人間、たった一つの人格であっても
良い部分も悪い部分もあります。
嫌な部分も、美しい部分もあります。
当然、どの部分も現れる場面が必ずあります。
 
その態度の多くは、
あなた自身の性格だけでなく、
その時の気分や機嫌によっても左右され、
仕事においてはそれを自分の理性でコントロールしているので、
比較的安定しているように見えるだけです。
 
プライベートやあなたがお客様の立場の時のように
比較的その理性のコントロールが緩みがちのときは、
その時の気分や機嫌がやや前面に出やすいと言えます。
 
自分のどのような部分が発生するのかは、
こうした部分に加え、
相手への好感度、嫌われたくない度合い、からも強い影響を受けます。

簡単に言うと、
気に入っている相手、嫌われたくない相手だと
自分をコントロールする力が強く働きやすく、
比較的どのように思われても構わない相手には
その時の気分や機嫌がやや態度に出やすい、
ということです。

 
そして、このことはお客様もしかりです。
 
お客様の態度の多くは
お客様自身の人間性だけで決まっているのではなく、
その時の気分や機嫌によっても左右され、
それに加えて、
あなたへの印象、あなたに抱いている好感度からも強い影響を受けているということです。
 
こうしたことを理解した上で、
お客様のあなたへの態度と
他の営業職に対する態度をいつも見比べてください。
 
出来れば、
その推移を半年前、一年前と振り返って分析してみてください。

まとめ


そして、今回紹介したこの二点、

1⃣お客様との距離はあくまで相対的概念であること
お客様のあなたへの態度だけを見ても
あなたとの距離を正確に測ることは出来ず、
他の営業職との比較などを組み合わせて
測ることが必要。
 
2⃣お客様の態度は合わせ鏡
『お客様のあなたへの態度=お客様の人間性』
と安直に捉えるのではなく、
その時の自身の態度・行動が
お客様のあなたへの態度にも影響を与えている可能性を忘れない事。
 
 2⃣から導き出されるのは
お客様がどんな人間性を持った方であっても
敬意を持って、誠実に丁寧に接することの大切さ、です。

こうしたことを着実に継続することで、
お客様との距離は自然と縮まってきます。

そして、1⃣のように相対的に距離を測ることで、
その成果・プロセスを確認・検証する。

こうした地道な繰り返しが、
お客様との距離を正確に測る事、
お客様との距離を確実に縮める事を
可能にします。

このような順序で、
お客様との距離を測り、
営業活動に生かしてください。
 
 

今まで見えなかったものが見えてくるはずです。
 

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