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地元の野菜と、おばあちゃんの話。



最近、近くにある野菜の直売所みたいなところに行くことが趣味なんです。そこの野菜って、すっごく美味しくて、安心感がある。

わたしはもともと野菜が好きとかでもないし、スーパーで"お得に買う"ことに達成感を感じていたような主婦でした。

お菓子が好きだしジュースもガブガブ飲む。でも、ある時体の疲れが取れないのって、それが原因かもって思ったんです。

実はわたし、YouTube大学をここ1ヶ月くらいでめちゃくちゃ見たんです。その中で、健康の話、そして、糖の話や、人工甘味料の話を知った。

今までは、特に成分に気をつけたことはなかったけれど、子供を産んでから、育児と仕事の両立がキツくなってきた。そこで、はじめて栄養成分に気をつけるようになりました。

最近は、地元農家さんの紫蘇を買って、昔お母さんが作ったくれた懐かしのしそジュースを作ってみたり、小さい頃食べたもちとうもろこしを20年ぶりに食べたりしました。

でも、地元の農産物や昔食べたりのんだりしたようなものに縁があるのって、ただ健康だけの理由じゃないって最近思う時があって。

それが"おばあちゃん"の存在でした。

わたしは父方の祖母といっしょに住んでいました。穏やかなおばあちゃんで、いろいろな遊びを教えてくれたり、話をしてくれました。歳をとっても働き続ける、元気なおばあちゃんでした。

でも、おばあちゃんと仲良く過ごせたのも15歳くらいまででした。

わたしは思春期で、おばあちゃんと遊ぶこともなくなり、ある時にはおばあちゃんと喧嘩したり、無視したりしていました。今考えるだけで胸が痛みます。

おばあちゃんは、アルツハイマーでした。

私たちは最初の頃全く気づかず、いきなり嫌味を言ったり、嫌なことをしてくるおばあちゃんが少し嫌になっていました。時には姉の方にだけ優しくしたり、わたしにだけ優しくしたり。その頃からおばあちゃんと、前みたいに仲良くできなかった。

おばあちゃんがアルツハイマーだと知り、おばあちゃんはデイサービスに通うことになりました。その頃は攻撃的な性格はおさまり、あの頃の優しいおばあちゃんに戻っていました。おばあちゃんが家にいる日は、水筒を入れてくれたり、車までお見送りに来てくれたりしました。

おばあちゃんの嫌がらせは、おばあちゃんの性格じゃなかった。悔しいですが、アルツハイマーの初期症状でした。

おばあちゃんは5年くらいのうちに悪化し、入退院もして名前も呼べなくなっていました。でも、施設にいるおばあちゃんのところにいくと、やっぱりおばあちゃんは笑ってくれました。

いつも私は、10代の頃にしてしまった態度の申し訳なさと、色々なことを忘れてしまったおばあちゃんを見て、涙をこらえるのに必死でした。

おばあちゃんは去年の3月に老衰で亡くなりました。

色々なことがあったけど、おばあちゃんを思い浮かべるとやっぱりいつもニコニコしたおばあちゃんでした。書いていても涙が出てきてしまいます。

そんなおばあちゃんに、あの時はごめんねってもう伝えられないから、わたしは手紙に全てを書いて棺桶に入れました。届いていて欲しい。

おばあちゃんの話が長くなってしまいましたが、

おばあちゃんにもらった記憶のあるものを食べた時、おばあちゃんを思い出します。地元農家さんの野菜売り場には、スーパーにはない野菜が並んでいる時もあります。それが、おばあちゃんのくれたもちとうもろこしでした。

おばあちゃんが亡くなってから、不思議と、地元のものっていいな、素敵だな、と思えるようになりました。それが、おばあちゃんを忘れない、そして何故か安心できるものになりました。

家で作る温かみのあるもの、化学調味料の少ないもの、地元の野菜や工芸品。

やっと興味が持てるようになりました。

今度は、お母さんやお父さん、そしてまだ元気な母方のおばあちゃんに、なにか作ってあげたいな、と思っています。

金額や便利さなんかじゃなく、心が幸せになるものを選びたいですね。それが一番の近道なこともあるから。



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