さとうマドカ

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  • こっちからみたお話シリーズ

    昔話や童謡をこっち?そっち?からの視点で書いた物語

  • 名曲あてがき小説シリーズ

    名曲を聴いて、イメージしたオリジナル小説を書いています。 冒頭に「♫アーティスト名/曲名」を表示しています。 実際に名曲を聴きながらお読みください。

最近の記事

親父の仕事

彼の仕事は私にとって実に興味深い物だった。 彼は どこの町にも必ず有る仕事をし どこの町でも大抵は一人で過ごし どこの町でも必要とされていた。 始めて行くと必ず寄る町の仕事。 私も例に漏れず彼の仕事の世話になった。 そんな彼に別れの挨拶をする際に仕事について聞いてみた。 「私は今日も、いつもと変わらない朝を迎える。 いつもと変わらない朝 いつもと変わらない準備。 今日も沢山の客がウチに来る。 私がこの仕事に就くために最初に学んだ事。 それは 外科療法。 次に薬学。

    • 小さな背中

      「あたしは、この町が嫌いだった・・・」 小さな鞄とトランクケースを引きずりながら、ナオはぶつぶつと独り言を言いながら駅からの道を歩いていた。 歩きながら、ふと目に映る小学校に懐かしさを感じた。 「ヨッコ元気かな・・・そういえば、あの子、結婚したんだっけ・・・」 幼馴染だったヨッコ。 いつも自分を、からかってばかりだったヨウジ。 泣いてばかりだったヒロ。 次々と幼かった頃の思い出がナオの中に蘇ってくる。 「結構、仲良かったんじゃん・・・何してるんだろ皆・・・」

      • こっちからみた「王様の耳はロバの耳」

        これは昔々のお話 町から随分と離れ、馬車がごく稀に通る道の脇、草むらの中に“ソレはあった” 「どうも、皆さんこんにちは。 いきなりですが自己紹介をさせて頂きます。 いやぁ別に、しなくても良いんですけどね。 しばらく私の愚痴を聞いて頂く事になるかと思いましてね。 自己紹介ぐらいは、した方が良いんじゃないかと考えまして…。 いや、でもやっぱり無くて良いかな? 先ず最初に語るべきは 私の話しを皆さんが聞いて下さるのは 今、この瞬間しかない、いや、コレが最後と

        • こっちからみた「赤ずきん」

          これは昔々のお話。 「たまげたねぇ!俺は自分の目を疑ったよ」 少々おお振りな動きを交えて彼は語る。 彼の後ろには大きめの暖炉。 見るからに新しく建て直した家の中には、昔から使っていたであろう古い木製のテーブルと料理の皿。 これでもかと壁に掛けられた写真には彼と"彼の獲った獲物"が飾られている。 「アンタもほどほどにしといておくれよ」 「うるせぇ!テメぇは黙ってろ!」 彼の奥方は、どうしようも無いねと軽く手振りをすると奥の部屋へ入っていった。 「す

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        • こっちからみたお話シリーズ
          5本
        • 名曲あてがき小説シリーズ
          3本

        記事

          こっちからみた「シンデレラ」

          これは昔々のお話 彼女は機会を待っていた。 魔女として生き、魔女として暮らす。 それは、普通に暮らす人々の何倍もの苦役を強いる物だった。 魔女として生きる為に彼女がした最初の事。 それは契約。 悪魔と呼ばれる物達との契約を結ぶ為に彼女は若さと家族との縁を差し出した。 見た目には八十を超える老婆に見える彼女。 だが実際には三十にも届かない女性である。 そうまでして得た物。 それこそが魔術。 何故そこまでして魔女に? 理由は簡単だっ

          こっちからみた「シンデレラ」

          こっちからみた「アリとキリギリス」

          これは昔々のお話。 「僕はバイオリンを弾くのが好きだった」 静かに降る雪の中、耳の側でエリーゼの為にが響く。 憶えている事は少ない。 でも、短くても幸せな人生だったと思っている。 一番小さな頃の記憶は、日の光を浴びた瞬間。 「なんて明るいんだ…」 兄弟は自分以外には居ない。 いや、正確には居たのかもしれない。 ただ、自分と良く似た姿に、何故か怒りとも言える感情が溢れてくる。 (だから、独りぼっちなんだな) そう自分に言い聞かせて来た。 少しずつ自

          こっちからみた「アリとキリギリス」

          こっちからみた「ももたろう」

          これは昔々のお話 彼は真剣に考えていた。 「・・・どうして、こうなった」 目の前には燃え盛る炎を背中に、屈強な者達。 肌の色は赤黒く、決して一対一でも出くわしたくは無いその姿。 そんな連中が見渡す限り、自分と仲間達を取り囲んでいる。 「クソ!どうして・・・」 あの時、あの瞬間に戻る事が出来れば…。 確かに仏心も在った。 一人で山の中を彷徨く一人の男の姿。 それは、仲間から追い出され、一匹狼として生きて来た自分と同じ様に見えた。 「もし、旅の御方」

          こっちからみた「ももたろう」

          名曲あてがき小説「小さな背中」

          ♫ SUPER BUTTER DOG/サヨナラCollar ----------------------------------------------------------------- 「あたしは、この町が嫌いだった・・・」 小さな鞄とトランクケースを引きずりながら、ナオはぶつぶつと独り言を言いながら駅からの道を歩いていた。 歩きながら、ふと目に映る小学校に懐かしさを感じた。 「ヨッコ元気かな・・・そういえば、あの子、結婚したんだっけ・・・」 幼馴染だったヨッコ。

          名曲あてがき小説「小さな背中」

          名曲あてがき小説「プロポーズ」

          ♫ FLYING KIDS/幸せであるように ----------------------------------------------------------- 夏真っ盛りの昼下がり。 白い百合の花束を抱えた一人の老人がそこに立っていた。 山の中に建つ老人ホーム「健寿館」 葉蔵は、この名前が嫌いだった。 「なんやねん。逆に健康やないって言うてるのと一緒やんけ」 着慣れないスーツに身を包み、背中にじんわりと汗を流しながらホームの前で立ち尽くしていた。 高校を卒業後、作

          名曲あてがき小説「プロポーズ」

          名曲あてがき小説「ある晴れた日曜日」

          ♫ Yellow Studs/僭越ながら -------------------------------------------------------------------- 小学校の昼前のグラウンド。 野球のユニフォームを着た男たちがダラダラとキャッチボールをしている。 「あっついなぁ・・・」 「うるさいねん。そんなん言われんでもわかってるわ」 「なんやねん。ピリピリしてんなぁ」 キャッチボールをしながら会話を続ける男たち。 「・・・ヒロキは、しゃあないねんて」 別

          名曲あてがき小説「ある晴れた日曜日」