『冬に映画を見ていると魚になったような気分になる』
今日、スーパーに出かけただけで汗ばみました。近くの桜の木が緑になっていました。
もう春なんですね。
今回は冬に見た映画を簡単に羅列させていただければと思います。
「夜空はいつでも最高密度の青色だ」
池松壮亮が非モテの屈折した劣等感を抱えた青年を演じていて、最高でした。
「まだ愛している」と言われる女性と、「愛していた」と言われた男性の話でもあります。
この辺の対比もよくて、全編通して現代日本に生きることの困難さがギュッと詰め込まれていて、途中ちょっと辛くなりました。
余談ですが、最近「犬も食わない」という尾崎世界観と千早茜の共作小説を読みました。なんとなく「夜空はいつでも最高密度の青色だ」繋がる空気感があるように感じました。
「ビジランテ」
入江悠監督作品を僕は無視してはいけないと思っている部分があります。
「太陽」や「日々ロック」ではさりげなく、描かれていたテーマが「ビジランテ」ではがっつり取り組まれていて、これを好きって言う人ほとんどいないのでは? となりました。
「ビジランテ」は自警団の意味で、地方都市を舞台にヤクザと政治家を敵に回した話です。
僕が勝手に思っている入江悠監督のテーマは「奪われる」で、人が何かを所持した時、それは必ず奪われてしまう。
奪う側の人間として登場する地元ヤクザを演じているのがラッパーの般若でした。
めちゃくちゃ恐かったです。
「生きているだけで、愛。」
本谷有希子の原作が大好きすぎて何回か読み返しているのですが、その度に「生きているだけで、愛。」の二人はこの後も付き合い続けるんだって思ったり、いや、この後別れたんだって思ったりしてきました。
映画は明確な結論を匂わせて終わります。
それが作中で何度か繰り返された停電の中で起こったことに痺れました。
「生きているだけで、愛。」は主人公の女性、寧子の生きにくさが、これでもかと表現されているのですが、映画では寧子の彼氏である津奈木の苦悩も描かれています。
それも良かったです。
「リバーズ・エッジ」
よしもとばななが影響を受けたと語る少女漫画家、岡崎京子原作の映画です。
物語の中心にあるのは一つの死体でした。
本来繋がらない筈のピースが死体によって、線を結んでいく過程は素晴しいものがありました。
監督が行定勲で彼の撮る映画の空気感と、音楽が僕は毎回大好きです。
「彼女がその名を知らない鳥たち」
沼田まほかる原作の映画です。
蒼井優と阿部サダヲが主演で一緒に暮しています。
その一緒に暮している部屋の雑多な感じが、まず良かったです。最近みた映画で言えば、「勝手にふるえてろ」や「生きているだけで、愛」の主人公たちの住む部屋のリアル感に通じるものがありました。
ちゃんと彼らが生きていると分かる部屋が映し出されるだけで、細部がしっかりとした映画なんだと信用することができます。
これを見て阿部サダヲを嫌いになる人類っているんだろうか? 僕は後半、陣冶(阿部サダヲ)! 僕は貴方のこと大好きですよ! って思っていました。
「さよならの朝に約束の花をかざろう」
ややこしい物語なのに母と子の縦軸で力技で見せつけられて、技術が高すぎるってなった作品。
監督は「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」の岡田麿里。
個人的に朝ドラっぽい空気を感じて、これはもっと長く、時間を掛けて語っていくべき物語なのでは? と思いつつ、ちゃんと終わりまで描ききっていて凄い。
あと、最後まで見た後に映画のポスターやDVDのパッケージを見たら、そういうことか! となります。
「教誨師」
俳優の大杉漣の最後の主演映画。
文句なく最高の映画。数名の死刑囚と対話をし続ける話なのですが、全員モデルがいるのかな? と思われるほど、死刑囚の人物たちが生々しい。
あと、ラストに語彙力を失う凄まじい何かがありました。
あれは何なんだろう。
僕は何を見せられたんだろう? となりました。
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