春。 よろこび、ということばがめぐる。 あれはいつだっただろうか、 通い始めたばかりの茶道教室で 花咲き 鳥歌う の書をみて 生きよ、世界はうつくしい、 といわれているようで、 なみだがとまらなかった。 そんなことを思い出すような、 花咲き 鳥歌う ふたたび生きる、春。
世界に絡めとられるのではなく 自分にいながら、観る 自分にいながら、愛する 前のめりになるのでも 後ずさりするのでもなく 自分の中心につながって 真っ直ぐに伸びる その軸につながって
これまで、力を削ぎ落とすことで、 その質を手放すことで、 自分が願う状態を保とうとしてきたけれど、 それは、どうやら、ちがったみたいだ。 力の大きさはそのままに、 おなじだけの愛を、その対におくこと それが、全体をそのままに この世界に存在することだった。
いのちに運ばれて 気づいたら ひとつの森に たどり着いていた 地面から 大きな樹々を 見上げている これまでに生きた さまざまな 森の記憶を たずさえて 大きな流れにのまれ 根っこごと 流れてしまった ときも あった そして いま じっくりと そのときを待っている ゆっくりと しっかりと 大地にねざし その梢を 少しずつ また 風にたなびかせるのを