『世界を、こんなふうに見てごらん』
動物行動学者、日髙敏隆の『世界を、こんなふうに見てごらん』
以前新聞で紹介されていたのを読んで、図書館で借りてきた。
この人の本は、何冊か読んだことがあって、虫や植物の雑学的なお話がおもしろい。
けど、この本はちょっと違ったテイスト。
10本のエッセイと、講演録からなっていて、著者の独特な世界観が垣間見れておもしろい。
「人間は真実を追求する存在だといわれるが、むしろ真実ではないこと、つまりある種のまぼろしを真実だと思い込む存在だというほうがあたっているのではないか。
まぼろしをまぼろしではないと思い込んでしまったものがイリュージョン。
そう定義すると、人間はほとんどイリュージョンだけで世界をつくっていることが見えてくる。」
「真理があると思っているよりは、みなイリュージョンなのだと思い、そのつもりで世界を眺めてごらんなさい。
世界とは、案外、どうにでもなるものだ。」
「人間の認識する世界はそういうものだと受け止めるいいかげんさがないと、逆に人間はおかしくなるのではないか。
かたわらにはいつも、これはイリュージョンだという悟性を持つこと。
ゆらぎながら、引き裂かれながら、おおいにイリュージョンの世界を楽しめばいいと思うけれど、結局はさじかげんなのだと思う。」
こんなふうに考えたことなかった。
ちょっと難しいけど、心にとどめておきたい。